先回のエントリで紹介したとおり、分譲団地の一室を購入しました。購入したのは築40年オーバーの団地の一室です。
部屋を買ったあと、周りの大抵の人に築40年以上の部屋を買ったと言うと「なぜそんな古い物件を買った?地震は大丈夫なの…?」と言った目で見られます。まぁ当然の感想でしょう。数ヵ月前の私なら同様に思うだろうなと思います。
古い団地を購入したのは何個か理由があります。万人におすすめできるとは到底思えないし、古い団地でも無条件で購入するべきとも思いませんが、私が考える不動産としての団地の魅力を記しておきたいと思います。こう考えたら古い団地という選択もありかもな、というくらいで団地の購入を検討している方の参考になれば幸いです。
団地は古い!
古いことが団地の魅力になりうるのではないかと考えます。団地の耐震性は以前のエントリーで書き、そこそこは問題無さそうだと書きました。耐震性はそれなりにあるとしても、築40年も経っている建物をわざわざ買うメリットがあるのか?と思うのが普通です。
しかしその古さこそが団地の魅力であり、そこが買いの条件の一つになると私は思います。
1)物件売買価格が安い
当然、ぼろいので物件売買価格が安い。言わずもがなのでこれはさらっと流します。
2)修繕費・管理費が安い
40年前に建てられた低層住宅ですから、共用の電気設備が驚くほど少ない。エレベーター・自動ドア・機械式駐車場、、、すべて無いので、管理費や修繕積立金がマンションに比べて安い。団地にもよると思いますが私の団地の場合は両方とも月一万円以下です。
3)安定した住環境が既に形成されている
「いま、団地は『住みごろ』を迎えています。」団地が気になり始めた頃、妻が買ってきた以下の本に書いてあった言葉です。
この本は団地が好きで、実際に団地で暮らしている人たちの暮らしぶりが載っていますが、なかなか一口に団地といってもいろいろな暮らしぶりがあって面白い、と同時に、借金を背負って高いマンションを買うくらいなら家を団地の安い部屋に抑えて、その分ほかの事にお金を注ぎ込みたいという我々と似たような選択をしている人もいるという事実に私たちも勇気付けられます。
帯の文の団地の『住みごろ』ってなんでしょう?団地は何十年か前に山や土地を切り開いて大規模造成をしたものが多く、当時は造成地の上に住棟が要塞のように建つ殺風景な風景、自然破壊の代名詞のようなものだったと思います。
しかし時は流れ、21世紀。団地を建てまくっていた当時の日本住宅公団がアホみたいに(褒め言葉です)植えた団地内の街路樹は、植栽から数十年の時を経て大きく成長し、ゆったりと配置された低層建築中心の団地の屋根に届くくらいです。私が購入した団地は緑にあふれていると言っても過言ではありません。緑の中で暮らすのはやはり気持ちいい。これが団地を買った大きな理由の一つ。周辺環境が抜群です。
私の団地内で先日撮影した写真です。季節になるとはツツジがきれいに咲きます。その他、街路樹の下は車の来ない歩行者専用の遊歩道です。
なかなか緑が濃い季節です。土地はゆったり配置されており、建物は古いけど、古くなる時間が経ったからこそ形成された美しい住環境です。
4)資産価値はこれ以上下がりにくい。
築40年~50年も経っているということは現代日本の不動産業界では、建物そのものに資産価値はほぼ無いと考えて良いようです。よって資産価値が今以上に大きく下がることは考えにくいです。
新築の一軒家やマンションは一回住めば中古扱いになってしまい、新築からの資産価値評価額の指数関数的な低下は泣けてきますし、資産価値が下がる物件にローンを払いつづけるのは悲しい。新築と、入居済み5年の差は大きいのです。一方、団地は例えば築42年が築47年になったところで大して評価額は変わりません。あえて言ってしまえばもう誤差の範囲です。
5)資産価値はむしろ上がるかも?
これは九割方妄想ですが、むしろ古い団地の部屋が今の売買価格の何倍にもなる資産価値を持つかもしれません。
私は、古い団地の売買価格は一戸当たりの区分所有権の土地の価値がほぼすべてで、その他、雨露がしのげるあまり資産価値がない家(部屋)がオマケで着いているようなものだと思っています。
団地は広い敷地に低層が建築されている場合が多いですから一戸当たりの土地の所有権が広いのです。我が家も延べ床面積以上に土地の区分所有面積が広い。
団地は建物の古さから、当然建替えの話がでています。建替えは結構ですが、その費用もまた莫大にかかります。そのまま現団地の所有者だけがお金を出し合って建替えたら一軒の負担が何千万円にも及ぶかもしれません。
これでは現実的な建替えはできないので、おそらく団地の建替えは現住民の負担軽減のために団地の余りある建ぺい率を利用して、現在の団地より建物を密集・高層化して部屋を増やし、今の団地住民の入居以外に新しい部屋を売ってその利ざやで建替え費用を賄って現住民の負担はそこそこに抑えるのが現実的ではないかと思います。現にそのように建替えた団地もあります。
このような過程で建替えが上手く進むためには団地外の方々に高く部屋を買ってもらうという大前提があります。建替えですから、その新しい部屋の価格は簡単に言えば立地が良いかで価格が決まります。駅まで徒歩圏内とかですね。逆に言えば不便な立地の団地は思うように売れないこともあるかと思います。
しかし、団地の街路樹を切り払って高層の建築物に建て替える、、となったら団地の魅力は下がってしまうような気もします。低層の団地と木々は仲が良いです。古い団地の建替えは今後全国的に進むと思いますが、建替えで樹齢50年近い樹を伐ることになったら惜しい。
、、、と、このように古い団地もそれなりに良い、そのままの姿が良いと考える人もそれなりにいるから、古いマンションの建替え話が進まないのかもしれません。
古い団地を建替えたといしても次の50年後には、再び緑あふれる団地になっているかもしれませんが、私の場合はさらに50年後には多分死んでいるか、生きてても相当ヨボヨボなわけです。。。50年後というのは、私に子どもが産まれたとしても、その子どもが今の私よりも年寄りになっている未来。
それならいっそのこと建替えが決まったら、自分の新しい部屋の権利を売り払って、もともとの購入価格の何倍かの現金を手にして三浦半島の海近くに家を買って毎日スノーケルやダイビングをして、美味しい魚を食べて、菜を育てて暮らす、、、という妄想も悪くない。
結果どうなるか分かりませんが、これ以上資産価値が下がらないというのは精神衛生上とても良い団地の魅力であると思います。
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