「アザラシ猟反対」は正しいのか~2009年のカナダのアザラシ猟~

2009年のカナダアザラシ猟の記事を見つけました。

カナダで今年2期目のアザラシ猟、捕獲制限は6万頭超
【4月9日 AFP】カナダで8日、今年2期目のアザラシの商業捕獲が解禁された。

毎年春先に行われるこの猟ですが、上記記事によると今年の総捕獲頭数は33万8000頭とのこと。

カナダのアザラシ猟については何回かこのブログでも扱ってきました(たとえばこちら)が、この猟について超簡単におさらいすると、カナダのニューファンドランド島周辺等でタテゴトアザラシを捕獲するものです。これに対し、グリーンピース、IFAW、PETAといったいわゆる「動物保護団体」が反対し、カナダ政府に対し猟の中止を求めています。

海獣、特にアザラシが好きで、このような海獣サイトを運営していると、時折「カナダのアザラシ猟中止に向けて協力を」的なコンタクトがあるので、私のアザラシ猟に対する思いやスタンスを書いておこうと思います。

アザラシ猟に対する私のスタンス

日本国内でもカナダにアザラシ猟を中止するように求める署名活動を行っているサイトもあり、当サイトにもアザラシ猟の反対運動への協力を掲示板やメールなどで求められたこともあります。しかし、このカナダのアザラシ猟に対して私は、アザラシ猟そのものには反対ではありません。よって、このサイトでもカナダのアザラシ猟への反対活動を行ったり、その活動に協力するつもりはありません。

もちろん個人的にはタテゴトアザラシの毛皮を欲しいとは思いませんが。。。

今後もアザラシ猟に対するいろいろな考えを持つ方が訪れると思いますので、カナダのアザラシ猟に対するこのサイトの考えを整理しておきます。まず、カナダのタテゴトアザラシは毎年数十万頭単位で猟が出来るくらいの個体数がおり、増加するアザラシの「食事」によって漁業の対象魚類が減少しているという話もありますし、カナダには猟をするだけの種々の事情(猟によって収入を得ている猟師さん等)もあるでしょうから、異国から事情がよく分からない者が異議を唱えるのには相当慎重になるべき、と考えます。
私はこの猟の是非を判断する唯一の基準は、タテゴトアザラシが減少し、絶滅に向かっているか否かという一点のみと考えております。タテゴトアザラシが減っているという客観的なデータがあれば猟を含めアザラシの数を減らす行為には反対いたしますが、今のところ、そのようなデータを私は把握しておりません。

さらに、アザラシ猟反対派が唱える猟に反対する理由に、私を納得させるものはありません。
時に猟時における凄惨な画像に対する感情論のみが反対の根拠になっていることも見受けられますが、猟法が凄惨であるという理由だけで猟そのものに反対とする、というのには私は同調しません。仮に猟法に問題があるなら、アザラシ猟の中止ではなく、猟法の改善を求めればいいだけの話です。ただ猟法についても私は問題ないと考えます。

アザラシの猟法は本当に残酷?見た目に惑わされるべきではない

アザラシ猟自体は銃殺、もしくは金属が先に着いた棒(かぎさお・ハカピック)で殴り殺して行うようです。銃はともかく棒による殴り殺しが動物虐待ではないか!という理由で反対される方も多いようです。確かに人間の目から見れば凄惨な光景です。
でもアザラシ猟を行っている(行っていた?)ノルウェーの大使館のサイト(http://www.norway.or.jp/policy/environment/marine/sealing.htm)には「アザラシは、速やかに痛みを伴わない方法で殺すことが規定されています。猟の道具で許可されているのは、ライフル銃と特別なかぎざおのみです。成長したアザラシはライフルで、子アザラシはライフルまたはかぎざおを用いて殺します。かぎざおによる猟は原始的に見えますが、動物を速やかに殺すには最も適しています。」とあります。
よってカギサオによるアザラシを殴り殺す一見凄惨な猟法も私は問題は無いと思います。

「アザラシが生きたまま皮がはがされている」という情報はデマ?

カナダ連邦漁業海洋省も「Canadian Seal Hunt – Myths and Realities(カナダのアザラシ猟-神話と現実)」というサイトを掲載しております。

猟の反対派が猟法が悲惨とする根拠としてよく言われる「生きたまま皮を剥いでいる」という主張が真っ向から粉砕されており、その猟法も「人道的」であると書かれています。カナダ政府の言い分も100%正しいかどうか判断できるほどカナダのアザラシ事情に詳しいわけではないですが、反対派の意見ばかりではなく猟をする側の情報も知って双方を鑑みて判断するべきでしょう。とりあえず機械翻訳ででも良いと思いますが、上記カナダの政府サイトは一見の価値ありです。

繰り返しますが、猟法に問題があると考えるなら上記サイトの内容に対し、反対の根拠を述べ、問題の無い猟法を提示するのが筋と思います。

アザラシ猟自体は一般的な日本人から見ると、見た目が凄惨なので残虐な猟だ!と直感で思うのも分かりますが、猟の方法については上記の通りノルウェーやカナダ政府のような記載もあります。実は他の動物の利用のほうが非人道的かもしれませんし、どっちが残酷か比べはこのブログの主旨とは関係ないですが、日本人の感覚で「よくわからないけど見た目が悲惨そうだから」という理由でアザラシ猟に反対するのは安易でしょう。猟法に納得できない、問題があると考えるなら、猟法の対案を反対派は出すべきと思います。どんな猟法なら納得するのかは私もわかりませんが。。。

「アザラシ猟による経済活動は、他の産業に比べて小さいからやめればよい」という主張もおかしい

またアザラシ猟自体の経済収入の話をすると「アザラシ猟による収入は猟師さんの年間の収入の数%だから無くなっても大したことない。」という主張を見たことがあります。とんでもない話です。この話、例えるならば「日本のある漁師Aさんのカツオ漁による収入はAさんの年間収入の数%だからカツオはとっちゃだめね」と他国の人から言われているようなもんです。アザラシ猟はカナダでは合法的な経済活動です。それを他国の人が収入面に占める割合を指摘して収入を閉ざさせることは自分の身に置き換えると理不尽さが実感できるのではないでしょうか。同様な論法で国民総生産や漁業収入等に占めるアザラシ猟の割合が低いから猟の中止を求めるという論法には賛同できません。この辺は日本における捕鯨と一緒の構図かなと。

感情論だけでアザラシ猟に反対することについて

「感情論だけで反対するのが何が悪いのか」、「かわいいアザラシが殺されているのは無条件で受け入れがたい!」といった方もいるかと思います。いろいろな考えがあると思いますし、その感情自体は尊重し、否定しませんが、といって、賛同はしません。アザラシに対する感情論だけで他人(例えばカナダの猟師さん)を悪人のような扱いをしたり、猟師さんの収入を脅かしたりすることは、少なくとも私にはできませんから。

毛皮といったぜいたく品が無くても人間は生きていけるというのも分かりますが、毛皮で線引きをするのはやはり感情論な気がします。いろいろな動物を殺しているのは日本の食糧事情でも同じでしょうし。食肉は?魚を食べるのは?プランクトンを食べるのは?植物は・・・?

要は感情や考えの押し付けはお互いに良くないのではないかな、と思います。

私自身は以上のような考えですが、ヨーロッパでは違うようで、アザラシ猟が残酷という理由で毛皮の禁輸法案を可決しようとしています。(http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090417-OYT1T01122.htm)記事中には「欧州でのアザラシ禁輸の動きは、「かわいそう」という世論に突き動かされており、」とあります。これに対し「カナダ政府は、アザラシ猟反対派の主張が「感情論ばかりで根拠がない」(ゲイル・シェイ漁業海洋相)とし、禁輸で捕獲量が減ると、アザラシが増えすぎて生態系破壊につながると警告している。」としております。この記事にある情報が全て真実なら、私はカナダ政府の主張のほうに理があると思います。だって生態系のバランスを崩すほど増えているんでしょ?カナダ政府側ももどんなデータからアザラシが増え過ぎていると主張しているのかは知りたいところです。

というわけでこのアザラシ猟を中止するかしないかの焦点はいたってシンプル、タテゴトアザラシの数の増減のみだと考えています。猟であれ他の要因であれ、減って、絶滅に向かっているなら反対、それ以外なら猟に反対はせず持続可能な利用をすべきと思います。

まとめると、私はアザラシ猟を積極的に推進したいというほど強い動機を持っているわけでもないのですが、「アザラシ猟を中止させようとする」動きには反対です。

このようなアザラシサイトを運営していると、結構「アザラシ猟中止に向けて協力を」的なコンタクトがあるので、改めてスタンスを明確にしておきました。

 

備考)カナダ漁業海洋省のサイトはアザラシ猟の情報がたくさん掲載されております。
たとえば「Seals and Sealing in Canada (カナダのアザラシとアザラシ猟)」カナダのアザラシとアザラシ猟を紹介するページです。「Canada’s 2009 Seal Hunt(カナダの2009年のアザラシ猟)」今年のアザラシ猟を紹介するコーナーですね。またSearchで「seal」と検索をかけると実にたくさんのページがヒットします。私もすべてには目を通せていませんがカナダの中でもこのアザラシ猟は大きな関心が持たれているのだなと思いました。興味のある方はぜひ読んでみてください。

コメント

  1. 「血を模した赤い絵具を塗って横たわる」

    スペインはバルセロナのカナダ商務官事務所前で3月15日、動物の権利擁護団体アニマルナチュラリス(AnimalNaturalis)のメンバーが、半裸の体に血を模した赤い絵具を塗って、カナダのアザラシ猟に抗議したそうです   カナダのアザラシ猟は毎年、春先に行なわれる

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