八重山の地酒というと、もちろん日本酒ではなく、泡盛になります。石垣では「島」とか「島酒」とか呼ばれています。居酒屋で「しま」というと100%の確率で石垣産の泡盛が出てきます。日本酒王国の新潟産まれの私ですが、こっちに移り住んでからは専ら泡盛です。泡盛はアルコール度数が30度くらいあるくせに安い安い。30度600mlで600円しない。安く酔っ払うにはたまりません。ラッパのみする日が多いです。
泡盛は沖縄県全体にいろいろな銘柄があるようですが、八重山には八重泉、請福、宮の鶴、白百合、泡波、玉の露、於茂登といったものが主なものでしょうか。八重泉、請福がもっともポピュラーな銘柄で、泡波についてはプレミアがついているようです。泡波は味がいいというより作る数が少ないので希少性が高いのでしょう。
これら八重山の泡盛の中で私が断然支持する泡盛が池原酒造所の作る「白百合」です。この白百合は突き抜けた個性を持つ芳醇な酒です。白百合とgoogleで検索してみてください。あ、白百合 泡盛で検索しないとどっかのお嬢様学校っぽいのしか引っかからないかも。
出てくるサイトを開くと多分「土臭い味」「カビ?」といったような白百合という清楚な名前からは想像できないような評判・口コミが出てくると思います。それは正しい評価ですし、私もその評価が正しいのは認めます。でも、そこがいいんですよ。どんな酒か想像力がかき立てられませんか?
八重山の人にさえあまり好んで飲まれない白百合です。飲み会で請福・八重泉が快調に消費され、空きビンが量産されているのに、白百合を頼んだとたんにみんなのペースが落ちる現象を引き起こす白百合。おじいの匂いがすると呼ばれる白百合。プレミアがつくわけも無く普通に地元の酒屋・スーパーで3合瓶が530円くらいで売られている白百合。飲み屋で白百合を頼んでいる人を見るだけでなんか友達になったような気分になれる白百合。居酒屋で普通に白百合を飲んでいるだけで島の知らないおじいから褒められてしまう白百合。
白百合にも古酒(クースー)と呼ばれる何年か熟成した高級タイプの商品と普通の安いタイプがあります。高級タイプは土臭い個性はそのままですが、やっぱりまろやか。個性は普通の安いタイプのほうが上と私は思います。違う言い方をすると古酒タイプは丸くなった晩年タイプ、普通の安いのは尖がっいて、すれ違う人を片っ端から傷つけているようなタイプ。漢なら尖がった生き方をしているほうを選択してしまうのは性ですよね。私がおすすめするのも断然、普通タイプです。多分日本で最も強い個性を持った酒の一つではないかと思います。白百合のような漢になりたいものです。
皆様、白百合をいかがですか。
ちなみに八重山のスーパーでは普通に置いてありますが、沖縄本島の知人に聞いたり、自分でも本島のスーパーや空港のお土産店を覗きましたが白百合はほとんど売られていません。でも新潟の実家の近くの酒屋にはなぜか置いてありました。せっかくお土産で新潟に持っていったのにがっくりした思い出があります。白百合はやはり読み切れません。
そんな白百合を使って八重山スタンダードを造ってみました。何を造ったかはこちら!