3~4月はゴマフアザラシの出産シーズン。全国各地の水族館・動物園で出産ラッシュで、アザラシ界隈が賑やかになっています。
なかでも静岡県にある伊豆・三津シーパラダイスでは2023年の3/18、3/19、3/22と立て続けにゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生しました。
伊豆・三津シーパラダイスは天然の海を仕切っている非常に広い屋外プールでアザラシを飼育しており、これまで見てきたアザラシ飼育施設の中でも好きなプールのベスト3に入りますし、観察する人間側の受け入れキャパも大きく、赤ちゃんゴマフアザラシも比較的落ち着いて見ることが出そうです。混雑している中、赤ちゃんアザラシを見に行くのも大変だな、と思いますが、伊豆・三津シーパラダイスのプールなら行きたいところです。
伊豆・三津シーパラダイスは2020年8月に訪問しているのですが、この時は天気が悪くて消化不良気味だったこともあり再訪したいとも思っておりました。
プロローグ~三津シーに行くのは4/8一択だった2023年の春~
一方で、我が家の事情として、今年の春に我が家の娘が保育園から小1になるので、何かと慌ただしく、今年の春はアザラシの追いかけを行わず、大人しく過ごしている、、、といったことを先回のエントリーで書きました。
ただですね、4/7(金)に小学校の入学式があって、この日は午前中に解散、、となると、4/7の午後から2.5連休。。。!なので、4/8(土)に思いっきりはしゃいでも、4/9(日)は休むことができます。4/8に三津シーパラダイスに行ってしまおうかしらん。。。という想いがむくむくと沸き上がります。
そして、決め手となったのは↓の4/8(土)のベストすぎる潮位の巡り!を見たとき。
伊豆・三津シーパラダイスのアザラシプールは上に書いた通り天然の海を仕切っているので、潮の干満の影響を思いっきり受けます。2023/4/8(土)は大潮で、海の潮位が大きく動く日。そして上の潮位表のとおり、朝の6時頃に一番潮が高くなり(満潮)、開館時間の9時にはまだまだ潮が高めの101cm、そして一気に潮が引いていき、太陽が高くなる12時から13時くらいに干潮を迎え、13時の潮位はわずか13cm!
これはどういうことになるかというと、比較的アザラシたちが活発そうな朝早めの時間帯は、プールの水が深く、赤ちゃんアザラシが泳いでいる姿を見ることができる確率が高そう。
そして、アザラシが昼寝をすることが多い気だるい昼の時間帯では、海水が思いっきり引くので、砂浜や岩礁が露出して、そこでごろごろ転がってアザラシが昼寝をする姿を見られそう。
昼は太陽光も強い時間帯なので、晴れていれば砂浜に転がって毛が乾いているアザラシたちの姿を見ることができる、、、という流れの予想を立てました。
そして、天気予報ではこの日の静岡県沼津市は晴れ!、、、もう行くしかないっ。
さて、行く決心をしたものの、私一人で勝手に行くわけにもいかず、家族たちの同意を得る必要があります。
↑の予測のとおり、開館と同時に入館したいので、我が家は6時半くらいには出発しておきたいところ。しかし、我が家の大人勢は年度末・年度初めの仕事で疲れ切っており、妻を土曜の朝6時半発の行動に付き合わせるのも申し訳ない。
アザラシ関係で家庭の不協和音を響かせるのは私も心外なので、一計を立てることにしました。まず4/7(金)から作戦開始。この日は午前中に入学式に出た後は学校は解散なので、午後はフリーに。妻には「年度初めの仕事が溜まっているなら仕事に行ってきたら。自分が娘を見るので、、、」と提案します。
で、仕事に行く妻を見送ったのち、今度は娘を私の部屋のパソコンの前へ。伊豆・三津シーパラダイスの赤ちゃんアザラシの画像をネットで見せながら、
「アザラシの赤ちゃん見たい?」「今なら見られるようだけど行ってみたい?」「ただ母ちゃんは仕事で疲れているから、父ちゃんと二人でも良い?」「そして遠い水族館だから朝早く出発になるけど良い?」と、畳みかけ翌日早朝から水族館行きの気分にさせます。
”早朝から娘の面倒は見るけど、その代わり好きに行動させてもらう作戦”です。娘はアイスやおやつ、そのほかいろいろなツールを使えば、ある程度は行動のコントロールができるので、大人の妻よりは扱いやすい。父親と遊んでくれるのもあと数年でしょうし。
妻には「明日は娘の面倒は自分が見る。朝早めに家を出て水族館に行ってくる。娘も父と二人で早朝水族館へ行くつもりになっている。」と連絡しておきます。これで、準備万端整いました。
朝の伊豆・三津シーパラダイスでゴマフアザラシの赤ちゃんを見る
前置きがずいぶん長くなりましたが、このような紆余曲折を経て、2023年4月8日に伊豆・三津シーパラダイスへ。しろたんのぬいぐるみとお祖父ちゃんの鴨シー土産でもらったアザラシのポシェットを装備した娘を車の後部座席に乗っけて6時半過ぎに我が家を出発です。ぬいぐるみとポシェットに本物のアザラシの赤ちゃんを見せるそうな。。。
東名高速+伊豆縦貫道を使えば、東京I.Cから三津シーまでの127kmのほぼ全線が高規格道路になるので、最速で1時間半程度で東京都心から着くことができます。東名高速が渋滞がないという状況は早朝などに限られるとは思うのですが、東京西部・神奈川県からは関東地方の茨城や千葉の水族館より、アクセスしやすい水族館と思います。
この日も9:05くらいに伊豆・三津シーパラダイスに到着します。水族館正面に掲げられている「イルカ飼育発祥の地」の年季の入ったレリーフに襟を正して入館します。
入館し、アザラシのいるプールに直行します。アザラシが暮らしているのは自然の海を仕切った広いプール。飼育アザラシはゴマフアザラシ一種のみ。キタオットセイとカリフォルニアアシカと一緒に暮らしています。
広いプールを見渡してみると、、、。
赤ちゃんアザラシが母親アザラシと一緒に泳いでいました!
母ちゃんと泳ぎを特訓中のようです。
産毛が残っている白色が強い個体は一番後に産まれた3/22産まれの個体だと思われます。顔周りは白い産毛が抜け落ちてきてゴマフ模様が見えてきています。
産毛に覆われたゴマフアザラシの赤ちゃんのふわふわの毛の質感は独特で、むしろ水の中で揺蕩っている時の写真のほうが質感は伝わるかもしれません。
もう一頭きれいなゴマフ模様の小さな個体が泳いでいました。
よく見ると白い産毛が残っているところもあるので、この個体が3/18産まれの個体だと思われます。(3/19産まれの個体は残念ながら3/30に死亡。。。)
水位が高めではありますが、プールの際には砂浜も出ていて、子供アザラシは上陸したり、また泳いだりせわしなく過ごしていました。子どもが落ち着かないのは人間もアザラシも一緒だな、と。
砂浜に上陸し、接近する子ども2頭。
赤ちゃんアザラシが陸に上がるとこんな具合。背中の分水嶺を境にきれいに5:5で産毛の分け目が現れます。
普段、距離のある野生アザラシ撮影に四苦八苦しているので、水族館のアザラシまでの距離の近さが新鮮。写真のクオリティは脇に置いておいて、単純にアザラシの表情を大きく写すのは楽で、笑ってしまうほど。楽しいですね~。
そして、赤子アザラシは被写体としては隙が無いというか、ちょっとした動作や目線があったときにシャッターを切れば、そこそこ絵になってしまう写真が大量生産できるとんでもない被写体ということがよくわかりました。。
100%被写体のおかげで、良さげなアザラシ写真が量産されていくので、途中から「いつも野生のアザラシ撮影で苦労しているのが何なんだっ」的な感じで、天邪鬼的に逆切れしたり。
これは伊豆・三津シーパラダイスのプールが天然の海を仕切っている屋外にあることから、より自然の海に近い構造であること、そしてこの日の天候や潮汐の条件に恵まれた、というのもあると思います。
しかし良さげな写真はよく撮れるのですが、良い写真というかオリジナルな写真はかえって難しいと感じました。被写体がドーンといるだけに、どこかで見たような写真感も強いし、別に自分じゃなくても誰か撮りそうだよね?的な。
徐々に「撮っている」から「撮らされている」感も感じてきたのですが、そこで微妙にありがたかったのが、お供につれてきた娘の存在。何か話しかけたり聞いてたりしてくるし、他の所に行こうとちょろちょろするので、その度に気分は少し変わったり、娘と話しながら写真を撮ったり、少し引いた立ち位置を保つことができました。
娘の赤ちゃんアザラシデビュー戦。動物園・水族館に連れて行くと、数秒だけ生物を眺めては次から次にいろいろな動物や魚を求めていきがちなのが子供で、我が家の娘もいつもはそんな感じではあるのですが、赤ちゃんアザラシはやはり違うのか、そこそこ長い時間とどまってじーっと観察していました。小さな子でもじっくり見ることができたのも伊豆・三津シーパラダイスのキャパの素晴らしさだと思います。
この日の伊豆・三津シーパラダイスのアザラシが暮らす辺りからの風景がまた素晴らしい。
この日は春霞の駿河湾の向こうに富士山もきれいに見えました。こんもりしているのは粟島で、ここにも水族館(あわしまマリンパーク)があります。あわしまマリンパークもアザラシがいるらしいのでいつか行ってみたい。
ゴマフアザラシの授乳の風景
砂浜に転がっている母子アザラシたち。しばらくすると子供アザラシが母アザラシのお腹の辺りを探り始めました。授乳ですね。見られるとはラッキーでした。
砂浜に転がる母アザラシのお腹なので砂だらけですが一生懸命に乳を飲んでいる様子。
頑張って飲んでいます。ゴマフアザラシの授乳期間は2~3週間らしいので、もうすぐ授乳期間も終わりのはず。
そして衝撃だったのが↓の私の訪問日の翌日の公式Twitter情報。
産まれてから2週間ちょいですが、もう30kgもあったのか!母乳しか飲んでないのにもかかわらずそこまで赤ちゃんが大きくなるということは、母親の体がその分小さくなっているというか、母アザラシは文字通り身を削って子育てをしているのですね。
ゴマフアザラシの育児期間は2~3週間。短期集中で一気に育て上げてしまう戦略で、人間のように寿命の1/5~1/4くらいを親に面倒見てもらう生物とは取っている戦略が違います。どっちがいいかはともかくとして。。。また、オスが子育てに一切参加しないのも、アザラシと人間の違いでもあり。アザラシから見れば、オスの私が小さな娘を連れているのはありえないことです。
アザラシの給餌の様子
大人のアザラシ+同居のキタオットセイ・カリフォルニアアシカの餌時間がやってきました。
赤子2頭はまだ母乳生活なためか、単純にまだ擦れていないのか、スタッフさんがやってきてもそんなに反応しない様子。
餌を食べるゴマフアザラシ。餌は模様から推測するとサバを与えていたようです。
給餌のついでにスタッフさんに写真を撮られる3/18産まれの個体。カリフォルニアアシカも寄ってきた。
カリフォルニアアシカが赤子ゴマフの横を通り過ぎる。アシカはほぼ気にしていない様子、赤ちゃんアザラシも目線で追っていたくらい。多分職員さんがアザラシ周辺にいたので、餌が欲しくてアシカが寄ってきたのではないかなと思います。
餌をもらうカリフォルニアアシカ。すんごい黒光り。。。
換毛期のゴマフアザラシの様子
春はゴマフアザラシの換毛期でもあります。古い毛が抜けて新しいきれいなゴマフ模様になっていきますが、まだちょい早めだったのかな。伊豆・三津シーパラダイスは換毛期初期という感じ。
娘が「白いおひげのアザラシがいる!」と指さした個体↓
なるほど、、確かに白い鬚のような感じ。
この白い鬚ように見えるのも新しい毛でこの個体の表面をアップで撮影すると、、、。
新しい毛が次から次に生えてきている様子。
↓この個体も目の後ろ、耳の後ろから一部きれいなゴマフ模様に変わってきていました。
↓こちらの個体はもう換毛が終わったのかな、きれいなゴマフ模様です。(若そうな個体だったから、もともときれいだったのかも?)
昼下がり、砂浜で昼寝するゴマフアザラシたち
さてさて、陽も高く上がり、気温も上がってくると、アザラシもお昼寝モードに入ってきたようです。事前の潮汐情報通り、海水も引いて、プールの砂浜の面積も広がり、アザラシがごろごろ転がることができる場所が増えてきました。
3/22に出産して育児中のメスゴマフアザラシ。大あくびしていました。子育てお疲れさまです。。。
母と子で並んで転がってお昼寝。
子の幸せそうな寝顔。
↓3/18産まれの子も夢の中へ。一部残っている産毛がフワフワです。
波打ち際に思い思いの格好で転がるゴマフアザラシたち。
↑寝こけるゴマフアザラシたちの横をハクセキレイがとことこ歩いていました。
赤子アザラシも波打ち際で転がって、昼寝。微妙に波が顔に当たるので集中できなさそうに見えるのだけども。
大人も子供もこんな感じ。暖かい春の陽気なので致し方ない。
動きの緩慢な昼下がり。見ているこちらも眠くなります。
ゴマフアザラシだけではなく同居のカリフォルニアアシカもこんな具合。
ちっこいのが大きい個体の背中に顔を乗っけて寝こけていました。親子かな?
動きも乏しくなってきたので、そろそろ潮時。この日は夜には飲みに出る予定もあり、さっと帰れるのも伊豆・三津シーパラダイスの良いところです。
この日は娘には赤ちゃんアザラシの鳴き声も聞かせたかったのですが、これも実現することができました。娘は英才教育のおかげか、アザラシが出てくる某アシベ少年のアニメが好きです。私もこのアニメは好きなのですが、ゴマフアザラシの赤ちゃんは高い声で「キュー」と鳴かないことは伝えたかったのです。
退館後、娘に「ゴマフアザラシの赤ちゃんはキューとは鳴いてなかったでしょ?」と聞いたら、小さな声で「うん」と頷いていました。
この日は開館から15時くらいまで伊豆・三津シーパラダイスに滞在していたのですが、アザラシの他にもいろいろな動物を見たり、餌をやったり、ショーを見たり、堪能しました。その様子も載せたいのですが、だいぶ長くなってしまったので、その記録は次エントリーでまとめたいと思います。
コメント