貴船神社のあとは高雄の高山寺へ。いわゆる「鳥獣戯画」で知られる高山寺ですが、一方で世界文化遺産に指定される京都の17の社寺の中では案外地味な(私の独断)のお寺。私自身も鳥獣戯画は知っていましたが一方で高山寺といってもどのような建物があるかは予備知識は無し。
ここを訪れたいなぁと思っていたのは、阿川弘之氏が随筆で「秋の京都に来て拝観時間30分くらいしかないけど、タクシーを飛ばして高山寺を訪れた。短い時間だったけど、心が洗われる時間をすごした・・・」といったことを書かれていたのでどのようなお寺なのか見てみたかったのです。文章だけでその寺に行ってみたくなるのですから作家というのは大したものです。
さて、貴船神社から高雄に行くには車一台くらいの幅の林道並みの道を走ること40分。。。ようやくたどり着きました。なかなか山深い所にあるので観光客もあまりいませんでした。紅葉の頃はすごそうですが。。。
門をくぐり境内へ。杉と楓の巨木が茂る森閑な境内!目の醒めるような緑に溢れていました。清められた道を拝観します。大きな伽藍を持つ寺院のような建物自体からの迫力はないですが、どっしりと根付いているんだぜ、という迫力がみなぎっています。季節は夏の盛りを少し過ぎたところ。境内の木からはまさしく蝉時雨が降り注いで生き物たちの夏を楽しんでいる感が伝わってきます。
写真は金堂。こじんまりとした江戸時代に建てられたものだそうですが、お堂の前に楓がバランスよく配置され、緑と建物と調和が取れた素敵なお堂になっています。
境内の石垣。石垣にも苔が積もり、さりげないですが楓とはまた違う濃い緑のアクセント。
建築物ではなく、杉の巨木の圧倒的な太さが凛とした迫力を出しているんですね。その間に楓やコケの柔らかい緑から濃い緑のグラデーションが緑の雲のようにたなびいているように見えます。ちらちら見えるお堂の建物の茶色やそこに導く石段や石の道が、月並みな言葉ですが自然と人間の調和のあり方の一つの理想形を示しているような気にさせてくれます。
いやー、高山寺すばらしかったです。これは確かに紅葉の頃も見てみたいという気になります。あと商売っ気も良い具合にあり、なかなか心に響く鳥獣戯画グッズを結構売ってました。(私も手ぬぐいを買った。)でも縁結びや恋モノはないのであまり俗っぽい感じではないのがよかったです。
ひとつ気になったのが、国宝の石水院(鎌倉時代築!)に一般の拝観者も入れるのがすばらしい、一方で石水院は道路側に面しているので毛氈の上に座りぼんやりしようと思っても車やバイクのエンジン音がうるさくて、雰囲気を損ねていました。ただ文明の利器があるので老若男女も高山寺を訪れることができるわけで。私も車で来ているわけですし。。なんとも悩ましいですね。境内の奥のほうにある金堂では蝉時雨の音のみが聞こえました。
次は京都旅行で見つけた面白そうなものを少し紹介します。
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