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カナダのアザラシ猟2013 

さて、春先になるとアザラシ界隈で騒がしくなるのがカナダのアザラシ猟の反対運動。2006年くらいからたびたびこのブログやアザラシ本サイトの掲示板でも取り上げて参りました。
これはアザラシ猟に反対の署名を集めてカナダに送付をするので当サイトにも協力してほしいというような話が来たことがきっかけで、私も興味をった事が理由です。

それからいろいろ自分で調べて、自分なりに考え、現段階ではカナダのアザラシ猟は反対すべきものではないと判断しているので、この手の反対運動への協力はすべて断っています(とはいえ私はアザラシ猟を積極的に推進をしたいわけでも無いです)。

このアザラシ猟の問題ですが、これに関する私の問題点は至ってシンプルで“猟の対象であるカナダのタテゴトアザラシが減少しているか、いないか”です。

で、この点に関してカナダ政府のサイトにはアザラシが近年増えているというデータが載せている(http://www.dfo-mpo.gc.ca/fm-gp/seal-phoque/reports-rapports/facts-faits/facts-faits2012a-eng.htm#harpのEstimated recent population trends of northwest Atlantic harp seals.のグラフ)

一方で、アザラシ猟の中止を求めている側からはアザラシの増減に関する数字が出ていないと認識しております。ので、私はアザラシ猟には反対ではないのです。

一応グーグルとかで「アザラシ猟」とかで検索してこのサイト来られる方もいらっしゃると思いますので過去の関連記事にリンクを貼っておきます。

ポールマッカートニーが怒られました。(「カナダのアザラシ猟反対運動」には反対の管理人より 2006年3月9日

「アザラシ猟反対」は正しいのか~2009年のカナダのアザラシ猟~ 2009年4月25日

冒頭に書いたとおり、この手の野生動物の保護と利用問題は至ってシンプルで「持続的な利用が可能か否か」のみが論点と思いますが、アザラシは可愛いシンボリックな動物なので、どうしても感情的に残酷とか毛皮いらないとかそんな話が出てきます。

毛皮に関しては革製品を利用したり肉を食べたりしていることと一緒かと思いますので、アザラシか牛や豚馬で線引きする必要はないでしょう。人間は何かの生物を殺さないと生きていけないのは動物である限りの業でしょうし。
またアザラシの猟法が鉤の付いた棒で殴り殺すというものであり、見た目がなかなか凄惨であるため、感情的に受け入れがたいという意見もあります。一見凄惨ではありますがこれは以前のエントリでも書いたとおり、一撃で即死させる猟法のようです。

またこれも以前書きましたが、猟法が気に入らないなら猟法の対案を示すべきで、猟自体の中止を求めるのは論理的に飛躍しています。猟法も銃殺が良いのか薬殺が良いのかガス殺が良いのか、わかりませんが、運搬の手間や安全性、周辺環境への影響を考えると、現在の撲殺が最も理にかなっているように思います。

下の画像はカナダのアザラシ情報を集めているときに見つけた一枚のポスター。
save.jpg
このポスターが投げかけるアザラシ猟反対運動に対する強烈なアンチテーゼに対応できるアザラシ猟反対の理屈はあるのでしょうか。「アザラシや牛を含め生物利用は一切ダメ」という理屈は成り立つかもしれませんが、それをしちゃったら人間は生きていきませんし・・・。

↑のポスターを解説をするのも無粋な気がしますが
vealは「肉用の子牛」の意。sealと掛詞になっているんでしょうね。つまりイヌイットの女の子二人が「肉用の子牛を守ろう」というメッセージを掲げています。で「Avoid cultural prejudice(文化的偏見をやめよう)」という言葉がついています。


==以下4/4の夜追記==
と、ここまで書いてアザラシ掲示板でゴマスケさんより補足を頂きました。(以下掲示板より引用)
「カナダのアザラシ猟について少し補足を。
愛護団体は、たしかにアザラシ猟を批判していますけど、それはロシアや中国などに輸出される商業捕獲であり、
イヌイットの伝統的な猟は認めています。(捕鯨に関しても同じ)
ですから、一部の人がいうように「文化」からアザラシ猟を認めるべきという論は成立しにくく、すれ違いになっていると思われます。
とはいえ、人は動物たちと同じく他の生き物の命を奪って生きなければなりません。どこかで折り合いがつけばいいですね。(引用終わり)

投稿いただいた通り、例えばアザラシ猟に異を唱える急先鋒の団体であるIFAWのサイト(http://www.ifaw.org/japan/node/58051)にも「IFAWは、持続可能な水準で実施されている限り、そして必要のない苦しみを最小限に抑えるために合理的な予防措置がとられる限り、先住民の人々が食糧、衣服、その他自分たちが使う製品のためにアザラシを殺すことに反対はしません。」とあります。
イヌイットの女の子のポスターに関連しますが、イヌイットの伝統的な猟と保護団体との軋轢は今は無いのかもしれません。

ここからはさらなる追記になりますが、カナダの2013年のアザラシ捕獲情報をさらっても大々的な動きは見られないです。
例えばこちらでは「For the first time in almost 20 years, the International Fund for Animal Welfare won’t be sending a team of observers out on the Atlantic sea ice during the spring seal hunt.(ほぼ20年ぶりに、IFAW(国際動物福祉基金)は、春のアザラシ猟の間に大西洋海氷上のアザラシ猟オブザーバーチームを送り出すことはありません。)」とありますし、こちらには「The Department of Fisheries and Oceans has yet to set this year’s total allowable catch. (カナダの水産海洋省は今年の総漁獲可能量を設定していない。)」とあるのでアザラシの毛皮自体が儲からなくなり猟自体が縮小しているのかもしれません。

私自身は冒頭にも書いたとおり別にカナダのアザラシ猟に積極的に実施してほしいというものでもないのですが。。。

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