書斎用の椅子探しの様子を紹介した先回に続き、今回はダイニング用の椅子探しです。
椅子選びではブランド名や価格より、座り心地・腰痛予防を最重要視するという方針は書斎用椅子でもダイニング用椅子でも変わりません。
なので、基本的にはお店に出向き、実際に座ってみて座り心地を確かめる、、、というのを繰り返して椅子を選びます。
試し座りのためにいろいろな店に出向く
書斎用の椅子選びの際は、オフィスチェアの品ぞろえが素晴らしいWORKAHOLICさんので、めぼしいオフィスチェアを集中して試座しましたが、ダイニング用の椅子は種類も桁違い。なので椅子選びをしていた昨年の初夏の頃の週末は、家具店・デパート・椅子メーカーショールームから近所のホームセンターまで出向いて、椅子に座りまくる日々でした。
椅子選びは見た目から選ぶのも楽しいですし、実際に試しに座るという行為も、馴れてくると合わない椅子は座った瞬間に”違う”とわかってきますし、座った瞬間の印象は良くても5分くらい経つと妙に違和感を覚えることも。ちょっとした構造の差で体に合ったり合わなかったりだと思いますが、椅子は似たような形に見えても座り心地は千差万別で、同じ椅子でもその人の体型や癖によって椅子の評価は変わると思われます。
そんな中、私の印象に残った椅子を思いつくまま順不同に書いていこうと思います。
実際に試し座りした椅子たち(国内メーカー編)
マルニ木工
広島が本拠の国産家具メーカー。特に惹かれたのは、代表ブランドの”HIROSHIMA”。板座の美しい椅子でした。椅子探しの初期の頃に出会ったので、座りやすさに驚いた記憶があります。あとラビットチェアは可愛い。さすがにおっさんが座るにはアレですが。
天童木工
こちらは柳宗理など日本の気鋭な作家やデザイナーの品を多くを製作している会社。団地が産まれた頃の戦後日本の産業界、工芸界の気概が受け継がれているのも惹かれます。東京都の港区のショールームがあります。しかし、ショールームのチェアを一通り座りましたが、座り心地でもデザインも私が惹かれるものはなかった・・・。
有名なバタフライスツールは、とても美しいけど腰痛持ちの私にはリラックスして長時間座っていられる感じではなかったです。バタフライスツールは長時間座って仕事というより、見て楽しむもの、ちょっと休憩をするような時や玄関で靴を履くような際に腰を下ろすのに適しているのかもしれません。
カリモク家具
こちらも国産家具の大きなメーカーの老舗。デザインは結構好みな椅子が多かったでしたが、座り心地で私に合うのがなかったのが無念。。。
柏木工
飛騨高山のメーカーさん。ここも椅子の種類は多く出しております。私にはウィンザーチェアの”シビル”がとても座り心地が良くお金を出してもいいかなと思いました。
ニトリ
外しちゃいけない、”お値段以上”の商品。確かに他の椅子メーカー品に比べると、とんでもなく安い。この値段でこの品が買えるのか!?と驚きます。しかし、値段やメーカーのイメージの偏見無しに実際に座ってきましたが、あまりピンとくるものはなく、、、でした。悪くはないのですが、ずっと座っていたい、購入したい、と惹かれる椅子はなかった。
無印良品
近所にあるので他の買い物のついでに寄ってみました。まぁ椅子メーカーではないですから上述の家具・椅子メーカーが作る椅子に比べれば微妙なのは仕方ないのかと思うのですが、値段は強気な設定でした。
いのうえアソシエーツ Awaza
”腰にやさしい日本の椅子を届けたい”というキャッチフレーズのAwaza。期待して試座したのですが、、、。なぜか私には全く合わず、むしろ腰が痛くなって5分も座っていられずでした(´・ω・`)日本人平均に比べれば私が大きいからかな・・・?
Awazaの名誉のために書いておきますが、腰痛には個人の指向があるので、この商品が全ての腰痛持ちの人にとってダメということは全くありません。単に私に合わなかったのだと思います。
飛騨産業
神谷町に大きなショールームがあるキツツキがトレードマークの家具の老舗。会社名のとおり飛騨高山が本拠のようです。
ここは販売している椅子の種類が多く、好みの椅子がたくさんありました。全て木でできているKISARAGIは綺麗でしたし、座り心地も悪く無かったです。でも、私が一番惹かれたのはウィンザーチェアのNEWMCKINLEY(ニューマッキンレイ)の座り心地。この商品はショールームでも隅っこにあり、デザインも結構好みがありそうなので、おそらく売れ筋商品ではないと思いますが(失礼!)非常に座り心地が良かったです。背もたれも座面も大振りな椅子で、でかい私の体を包み込むような座り心地で、いくら座っていても疲れなさそうな素敵な椅子でした。このメーカーも購入の候補です。
宮崎椅子製作所
飛び込みで入った椅子屋さんに多くの展示品があり、どれも個性的で面白い椅子ばかりで惹かれました。ここもたくさんの製品を出しているのですが、No42(北欧のカイ・クリスチャンセン氏の椅子の復刻)、DC09、DC10というモデルは記憶に残っており、デザインも座り心地も非常に素晴らしかった!調べてみると徳島県の会社のようです。購入の候補です。
日進木工
こちらも飛騨発祥のメーカーさん。が、あまり私の体に合う椅子は見つけられず、印象に残っている椅子がないです。相性が悪かったのかな。。。
実際に試し座りした椅子たち(海外メーカー編)
PP MOBLER
ハンス・J・ウェグナーのデザインした椅子を作るデンマークの有名ブランド。その名もズバリなモデル「The Chair」は1950年の発売から60年以上も売られています。米国大統領候補ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンがこの椅子に座り、討論会を行ったことで有名です。
さすがに外国メーカー製らしくゆったりとした大振りの椅子。座り心地も素晴らしかったのですが、お値段もさすがの60万円超でした。腰痛持ちの私としては椅子には金に糸目はつけない、、、といいたいところですが、さすがにこれは予算オーバーです(^^;
発表から時が経ち、このオリジナルの数分の一の値段のコピー商品が特に日本のネット通販で氾濫しまくっています。
ハーマンミラー
書斎用の椅子選びに出てきたアーロンチェアを作るハーマンミラー社はアーロンチェアとは性格が違う有名な椅子をもう一つ造っています。それがイームズのシェルチェア。ただシェルチェアはオフィスチェアのアーロンチェアとに比して、座り心地で引き付けられるものではなかったのと、デザインも我が家の団地っぽくないので、残念ながら購入候補にはならずでした。
しかし椅子としてはとても面白いもので、やはりその辺の椅子とは違うオーラがあります。そしてこの椅子も、本物の値段の数分の一のコピー品が大量にネット通販に溢れています。まがいものを数千円の値段で売られたらオリジナルのメーカーはたまったものではないでしょう。正規品の新品でも5万円以下から売られていますので、それくらいなら正規品を買おうよ。。。と思うのですが。
カールハンセン&サン
ハンス・J・ウェグナーデザインのYチェアが有名なブランドです。Yチェアも当然試しました!その座り心地は、、、悪くなかったけど決め手に欠けるというか、、、。これなら国産メーカーの椅子のほうが私の体に合うものがあったかな、という感じでした。
これもジェネリックという名目でコピー製品が出まわっている人気椅子。しかし正規品でも10万円前後で購入できます!
IKEA
忘れちゃいけない家具界の巨人で黒船。ここも何の偏見も抱かないように、まず値段もデザインも全く考えず、頭を空っぽにして、横浜港北店においてある椅子の座り心地を片っ端から試していきます。
しかし残念ながら気に入るものが無かった。この値段で一つの商品として販売できるIKEAは素晴らしいと思いましたが、一方で値段相応に造りが雑な点も目につく。そういうのを見てしまうと、例えば家に帰ってきたらそのような椅子が待っていることを想像すると若干切なくなる、、、。
なお椅子とは関係ないのですが、椅子探しで久しぶりにIKEAに行ったら、日本の家屋に合いそうな日本風というか、従来の”北欧万歳”以外の商品が全体的に増えてきたかな、という印象を持ちました
名品椅子のジェネリック・レプリカ・リプロダクトと称する劣化コピー椅子は購入しない
特に海外の名品椅子(本サイトで取り上げたThe ChairやYチェア、シェルチェア)は、発売から時間が経って意匠権が切れており、これをなんのひねりもなくコピーした椅子を「ジェネリック」とか「レプリカ」とか「リプロダクト品」とかとか、かっこつけて呼ばれていますが、要は劣化コピー商品・パクリ商品が特にネット通販で格安で売られている状態にあります。シェルチェアはハーマンミラーの正規品も5万も出せば買えるのですが、数千円程度のコピー商品があふれています。
劣化コピー家具の販売自体を断じたい訳ではなく、購入されている方がオリジナルの存在を知っているのか、どのような経緯でそのオリジナル製品ができてこれまで売られているのか、そしてその商品のパクリと認識して購入しているのか、、、が一番の問題だと思うのです。薬のジェネリック薬品は薬剤師がジェネリックであることを説明して了解のもと売っていますが、椅子ではどうなのよ?と。
私は名作椅子をデザインしたデザイナーとそれを商品化して世に出したメーカーには敬意を持ちますし、一方その苦労の決勝を労せず横からかすめ取ろうとする劣化コピー製作会社は滅んでしまえ、と思いますし、劣化コピー商品が家でまっているのを毎日見るのは私は嫌なので、この手のゴミ商品には手を出さないことにしました。
まとめ~結局どの椅子を買う?
結局、椅子の購入候補はマルニ木工、柏木工、飛騨産業、宮崎椅子製作所の製品。国産メーカーの品ばかりが残ってしまいました。
我が家のリノベーションでは漆喰の壁、洗い出しのタタキ玄関、檜や杉の床に畳に古建具が使われています。日本の在来工法や材料が使われていますし、そもそも建物が団地ですし、結局椅子も国産物のほうがしっくりくるのかもしれませんね。
ちょっと椅子探しからは外れますが、こんなに細かく椅子探しのことを書いているのは、私が椅子を探すときに、ネット情報が少なく難渋したので、書いておけばどなたかの何かの役に立つかもと、思ったのもあります。
気に入った椅子やメーカー見つけて、ネットを検索すると、家具屋さんの”◯◯が入荷しましたー”的な記事くらいしか引っ掛からなかったのです。家具屋さんは当然その商品を売ろうと思っているわけで、基本的にはその椅子を褒めることがメインでしょう。それぞれの椅子のオーナーさんの熱い想いや、「オーナーさんがなぜその椅子に辿り着いたか」に私は興味があったのですが、あまり見つけることができませんでした。
このサイトは椅子製作会社やメーカーがバックにいるわけでもないので、感じたままに書きました。ここに書いたのは私の主観であり、各椅子やメーカーさんの商品がフィットするかは、大きな個人差があると思います!
私に合わないからといってその商品がダメなわけでは全くないです。
さてこの新居の椅子選び記録ですが、次回は再び書斎の椅子選びに戻りたいと思います。
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