パラオのダイビング旅行記もページ数が二桁に突入しました。なるべく手短にまとめようとは思うのですが本当に書きたいことが多く、難儀をしています、、。
さて、ブルーコーナーを後にしてやってきたのは、ジャーマン・チャネルと呼ばれるポイント。ここはマンタを狙うポイントですが、先回のエントリの末尾に書いたとおり私は船上待機。。。みんながマンタサーチに潜っていくのを船から見送ります。
今日も良い天気で海や島影が綺麗、、、、。みんなが潜っていってしまった後は暇です。昼寝でもしてればいいのでしょうが、何かもったいないと思うし、あまり乗り物の上では寝られない質なのです。
そういえば今日は一眼レフカメラを船内に持ち込んでいる事を思い出します。これは行き帰りに船の上から海鳥や島の写真でも撮ろうかな、と思って持ってきたのです。付けているレンズは標準レンズの50mmですが、PLフィルターも持ち込んでいるし、海中のマンタの姿を船上から撮ってみようかと思います。昨日のマンタを観察した様子だと勢い余って海上に体の一部をちらっと飛び出させるようなやつもいたようですし。
船の縁に立って海を見ていると、海面には変な波が立っています。マンタがウロウロしてダイバーも大忙しなのでしょう。ダイバーが吐き出す泡が多い辺りの海域にマンタがいるのかなと踏んでカメラを構えます。
こんな具合でダイバーの吐く泡かマンタの起こす水流か何かで海面が荒れています。
いっしょに船上待機をするパラオ人船長。この写真でも真ん中らへんの海面の様子が周りと違っているのが分かります。
水面に注視していると、、、
!!海面近くまで上がってきたマンタの腹と思われる白い影が見えます。いいですね、この調子でヒレの一部でも海上に出してくれればいいのですが。。。
これは船の近く。お腹の模様も見えそう。
しかしなかなか海上にはマンタは出てきません。海の中にいる生き物だしなぁ、、、と半分諦めかけていたのですが、次の瞬間!
海中からの勢いよく飛び出てきました!
完全に体が空中に出ています。こんなにジャンプするとは思わなかった・・・。マンタの目が見えます。
この写真でははっきりマンタの目が写っています。
空中に飛び出ていたのは一瞬。着水の瞬間、豪快な水しぶきが上がります。
マンタは海に戻っていきました。パラオ人船長も「MANTA!!!」と叫んで嬉しそう。50mmのレンズでは大分遠かったのと、いきなりの出来事だったのでピントが甘めなのが少し残念。
再び、マンタのジャンプに備えて、私はカメラを構え続けます。
じりじりしながら待っていると、こういう白い模様が見えると緊張が走ります。
その刹那!何か大きな音がして、水しぶきが上がっりました。カメラのシャッターボタンを押し続けます。この一眼レフカメラとは8年の付き合い、機体はロートルもいいところですが、その分、扱いは馴れてしており、瞬間的に反応できるくらいの練成しております。
お、マンタ飛び出た!!!!、、、、、あれ?なんか変だぞ???
、、、、ダイバーのフィンでした。このフィンの持ち主は再び沈んでいきましたが、これ、安全停止せずに水面に上がってきたってことですよね、まずいような気がしますが、、、。
結局、船上待機中にマンタが海上に飛び出たのは写真を撮った一回だけでした。40分くらい一眼レフを構え続けるのは腕は結構しんどかったですが、マンタが海面に飛び上がる姿をカメラに収められ満足です。
船に戻ってきた同船の皆さんに伺うと海中にはマンタが10匹くらいいて、凄かったようです。船上待機をしているとその凄さを分かち合えないのがちょっと寂しい。まぁ昨日も同じ場所で10匹近くのマンタを見たし、海中の風景はそこまで条件は違わなかった、、、はず(^^; 私は海中にいるダイバーが絶対に見られない海上にジャンプするマンタの姿を見たので、負け惜しみではなくあまり残念な感じはしません。
港方面に撤収します。レギュラーダイビングはこれで終わり。我々はこのあとのオプションダイビングに参加予定で、これがパラオのダイビングの最後になります。あっという間だな。。。
※以下、マンタのジャンプが気になったので日本に帰ってきて調べたことや私なりに考えたことです。
・マンタが海上にジャンプするというのは、八重山にいた頃に私も聞いたことがあり、八重山でもたまに見られる現象のようです。
・2016年1月31日現在、googleで”マンタ ジャンプ 石垣”、”マンタ ジャンプ パラオ”、”manta jump Palau“、”manta German channel jump”とgoogleの画像検索しても空中に飛び出ているマンタの写真は見つからないので、↑に載せたマンタがジャンプした瞬間の写真は、我ながらかなりレアではないかなと思います。
・一方”マンタ ジャンプ”、”manta jump”で同じようにgoogleの画像検索をすると、エイがジャンプしている写真がたくさん見つかります。しかし、これらの大半はマンタ(オニイトマキエイorナンヨウマンタ)のジャンプではなく、イトマキエイのジャンプの写真だと思います。マンタとイトマキエイは姿は似ていますが、別種ですし、なにより大きさが全然違います。マンタのほうが圧倒的に大きい。
マンタとイトマキエイは、大きさが異なるほか、口周りの特徴が違います。マンタは”オニイトマキエイ”という名前のとおり、口の周りの角のような左右のイトマキ(頭鰭(とうき)と呼ぶそうです)が、互いにくっつくらい大きい。イトマキエイの頭鰭は前方へ突き出ている程度です。(マンタにもイトマキエイにも個体差はあると思いますが。)
そして口の位置もマンタは下唇が発達して体の前正面に向かって開くのに対し、イトマキエイは下唇は発達せず、腹側に開いています。
このサイトに載せてきたマンタの写真を使って説明するとこんな具合。パラオのマンタも右下の石垣のマンタも、下の赤で囲んだように頭鰭の左右がくっつけられそうなくらい大きいです。
イトマキエイの写真は持っていないので、googleの”イトマキエイの画像検索”にリンクを貼ってみます。
長々と書いてきましたが、改めて”マンタ ジャンプ”、”manta jump”の画像検索結果を見ると、角のような頭鰭がマンタにしては小さいエイの写真がほとんどであることに気付きます。またこれらのエイが飛んでいる写真を見ると、体の幅の2倍以上飛んでいる写真もあります。これがマンタだとすると、マンタの体の幅は3~5mほどなので、ジャンプの高さは6~10mになります。マンタは重さが1~3トンありますので、さすがにこの高さを飛び上がるのは厳しいのではないか、、、と思います。いや飛んで欲しいし、本気を出せばいけるのかもしれませんが、3トンの塊を海上から10mの高さまで打ち上げるエネルギーは、、、相当なものです。
ちなみにイトマキエイ(Mobula Ray)がジャンプをしまくる現象は有名で、英国のBBCがこのジャンプを撮影した映像がyoutubeにありましたので、紹介しておきます。メキシコのバハ・カリフォルニア辺りで撮影されたもののようです。
これを見ると、ますますマンタ ジャンプ”、”manta jump”の画像検索に出てくるエイはMobula Rayに見えてきます。映像に出てくるMobula Rayの頭鰭はマンタに比べるとやっぱり小さいですし。イトマキエイも見た目はマンタに似ていますし、単独だとスケール感を把握しにくいので、これらの映像を見ると、名前や姿が一般によく知られている”マンタ””Manta”がジャンプしていると誤解されているのではないかと推察します。
・”これは絶対マンタのジャンプだろ”という写真が少ないのは、お客さんもインストラクターさんも、立場は違えどダイバーってやつは海の中でマンタを見るのが普通の意識。もし海面をマンタが跳ねてたら”早く海に入ってマンタを見に行こう”と思うのが極々自然な感覚で、海上を跳ねているマンタを狙ってカメラを構えたりしないわけです。またダイビングに使うカメラもハウジングや防水ケースに入れており、でかく重くなっておりますし、船上で振り回そうとは思わないです。さらに海中に持ち込むつもりのない一眼レフの高価な機材を海水で濡れてしまう恐れがある船内に積極的に持ち込む人も少ないです。そんな事情で船上からマンタを撮ろうなんて思う酔狂なダイバーはほぼ皆無だった。
→マンタは海上を跳ねると言われている割りにはその瞬間を収めた写真があまり無かった、、、と推察します。私も偉そうなことをいえる立場ではなく、この日の朝の出発前に”海上の鳥の写真でも撮ろうかな”とふと思ったので一眼レフを船に持ちこんでいましたが、この日以外は一眼レフはホテルにおいておりましたし、またジャーマン・チャネルで船上待機をしたのも偶然でした(もし本日2本目ダイビングがジャーマン・チャネルだったら間違いなく海中に潜っていた)。このマンタのジャンプの写真は偶然の産物だったのでした。
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