ブルーコーナーでギンガメアジの壁のような群れを見た後、やってきたのはジャーマンチャネル。英語で書くとGerman Chanelで”ドイツの水路”。ここはパラオが日本の委任統治領になる前、ドイツの植民地だった頃に、サンゴ礁を掘った人工の水路近くのポイントです。(ジャーマンと言いつつ、この水路はアメリカがこの水路を作ったという説もあります。また大戦中にアメリカがこの水路を日本軍が通らないように工作したという話もありまして、実際はよく分かりません。アメリカなら自分が作った水路ならアメリカンチャネルとか命名しそうなものですが、、、。水路をどこが作ったかはこのサイトの内容に関係ないので先に進みます。)
航空写真を見ると水路の存在がはっきり分かります。
船からは名高いセブンティアイランドも見えます。天気も良くなってきて海も空も良いコンディション。
海の上から写真を撮ると海底の岩礁や砂の白さがわかりますが、このポイントのうりはサンゴではなくマンタ!マンタとなると3ヶ月前に石垣島・川平石崎でこんなマンタを見ているので、マンタなら容易なことでは驚かないぜ、、、と思いながら海に入ります。
、、、海に入ると、透明度は10~15mくらい。ものっすっごい濁っています。”こんな海じゃ見通しも利かないしマンタ見られるのかな、、、”と思っていたのですがやっぱり違いました、パラオの海は。
濁りの中からぬっと現れました、マンタ。立派なマンタが近くまでやってきますし、しかも何匹かいる様子。
↓では適当に撮っても5匹のマンタが写りました。
インストラクターさんによると、この日のマンタは7匹までは数えたが、+2~3匹いたかも、、、とのことでした。
それにしても、濁りが強い。写真を撮ってもこんな具合に濁りが写り込んでしまいます。
写真を撮るには濁りは勘弁してほしいものですが、この濁りがマンタがここにたくさんいる理由で、濁りの原因はプランクトンでこれはマンタの餌なのです。マンタがここにやって来るのは食事のためで、口を大きく開けて海水と一緒にプランクトンを吸い込み、鰓でプランクトンを濾しとって食べており、余分な海水は鰓裂(上の写真で腹側の列状になっている穴)から排水しています。先の石垣のマンタは口は閉じて鰓の穴も閉じているので、餌を食っている時ではなかったのでしょうね。
↑ は撮影後、明るさだけ調整し縮小した写真ですが、画面全面にプランクトンが白・ピンク・黒の粒々状に写っています。黒いプランクトンはマンタの好物 なので、インストラクターさんはこいつの濃度や潮の流れを読んでマンタが来そうな方向に我々を誘導していたそうな。ついでに言えばこの日は大潮、大潮の上 げ潮時にこのポイントでマンタの捕食行動が見られる可能性があり、ベストな時間帯に水の中に入ったとのこと。すごいな。。。
マンタは餌のほうが大事なのか、人間を全く気にしない様子で近くを泳いでいきます。人間にも馴れているのでしょうね。泳ぐ様子を動画に収めてみました。(0:10や0:35辺りに超接近されています。)
この日のマンタは海水を大量に飲み込むため、高速で泳ぎまくっているのですが、濁りの強い海の中からいきなり巨体が現れるので人間はちょっとびびります。
マンタの上を船が通りますが、気にしている様子はない。彼らにとっては当たり前の光景なのでしょうね。
動画2本目。0:25や0:50辺りの捕食のために海中をぐるんぐるん廻るマンタがおすすめです。
このジャーマンチャネルはマンタの見られるポイントとして有名ですから、いろんなショップのいろんな国籍の人とすれ違います。この日も多くのダイバーがおり、他のショップに紛れ込んでしまわないように自分のインストラクターさんを見失わないのも結構大変なくらいのチーム数です。私も何度か他の国の人をフィンで蹴飛ばしたり蹴飛ばされたり、ぶつかったりぶつかられたりで、そういった意味でもなかなか熱いダイビングでした。
ここの海に来るのはマンタ(+それを見にくるヒト)だけではありません。プランクトンは多くの魚類の食べ物ですから、マンタ以外の魚もやってきます。
なかなかの密度の魚の群れがやってきました。
やってきたのはマダラタルミの大群です。さっきのブルーコーナーにもいたやつら。
マダラタルミも口を開けてプランクトンを食いまくっている様子がよく分かります。マダラタルミの目は大きな黒目のみで、顔に表情がないのでちょっと不気味。それらが一斉にゴッポゴッポと口を開けたり閉じたりしながら大群で突っ込んでくるので、マンタとは違う迫力があります。むしろ怖い。
この日の海の無茶苦茶さを象徴するのがこの一枚。
↑写真ではマダラタルミの群れの奥にもっと細い魚の塊玉があり、さらにその奥の写真右側には口を全開にしたマンタがいて、人間の吐き出す空気の泡柱まで移っています。↓では
マンタの進行方向を読んでカメラを構えていたら魚の群れに遮られてしまいました。魚が多すぎてどうにもならないのは初めての体験でした。
この辺でタイムアップ。海面へ浮上です。このポイントはマンタは餌を食べるため高速でグルグルしているし、魚の大群もやってくるし、人間のダイバーがそれらをおっかけ、物理的にどつき合い、呼吸で吐き出す泡柱が立ちまくりで濁りも強い中泳いだので、巨大な洗濯機に放り込まれたような50分間でした。
この日はここで終了。港に戻ります。
帰港中に見かけたブイに止まるアジサシの仲間。図鑑を見たら南の海域にいるオオアジサシに似ていますが、種類まではわかりません。
港に戻る船に揺られながら今日を反芻すると、朝の沈船あまつ丸、運よく野生のハシナガイルカを見て、ブルーコーナーでギンガメアジの大群を見て、↑のジャーマンチャネルのマンタで締める、、、パラオダイビング初体験の王道を行けたかな、と思います。
お店に到着後、明日(3日目)のダイビングの相談。何を相談するかというと、明日の早朝ダイビングの行き先です。
昨日のあまつ丸に続き、太平洋戦争の戦跡ポイントとして旧日本海軍戦闘機の代名詞ともいえるゼロ戦が海底に眠るポイントにも行ってみたいと思ったので、早朝のゼロ戦ダイビングをリクエストしたのです。しかし、明朝は私がリクエストしたゼロ戦ポイントのほかに海中鍾乳洞に行くコース予定されている様子。私自身も鍾乳洞も面白そうだなぁ、、、と迷っており、2日目の夕方に最終決定して欲しいとお店側から言われていたのです。
鍾乳洞近くではちっこいマクロな生物が見られるかも、、とのことで、同行している妻はそちらにも興味がありそう。ですが、次の一本は私の100本目のダイビングになるので、行き先の決定権は私に譲る、とのこと。私も鍾乳洞には興味はあるのですが、鍾乳洞は数十年単位では大きく変化しないだろうけど、ゼロ戦は戦後70年が経過し、風化も激しいだろうし、急速に地球上から失われているだろうし、、ということで初志貫徹してゼロ戦ポイントを選択しました。
*ここまで書くと、私が自分の興味のままにゼロ戦を選んだかのようですが、妻は”永遠の0”から入り、私の書棚にあった”坂井三郎 空戦記録(上・下)”、柳田邦男氏の”零式戦闘機”を読破、ゼロ戦を設計した堀越二郎氏の著書”零戦”を自分で購入してきました。なので女性には珍しく(?)、ゼロ戦実機にも興味を持ち合わせており太平洋戦争戦跡・ゼロ戦ポイントに行くのを嫌がるでもなく、、、なのでこの辺のポイント選択は円満に決定されております。
さて、ダイビングショップを出て夕飯を食べに行きます。もうコウモリは食べなくて良いよね、、、ということで、ダイビングショップの2階にあるクレイマーズカフェに入りました。このお店は○○料理と謳っている店ではないですが、強いて言えば欧米系のハンバーガーやチキン料理などが多かったです。スタッフも客層も欧米っぽい方が中心でメニューも英語。
この写真は妻が頼んだハンバーガー。ハンバーガーがでかいしデフォルトで揚げたイモが大量についてくるのが米国っぽい。ただハンバーガーの味はとても良く、妻曰く”これまで人生で食べたハンバーガーの中で最高の味だった”とのことなので、パラオに行かれる方にはコウモリを体験された次の晩以降の夕飯におすすめです。立地も海に面していて気持ちいいお店でした。
さて、長くて濃かったパラオの二日目もこれで終わり。明日は早朝からゼロ戦を見に行きます。明日も濃い一日になりそうです。
コメント
たびたびコメント失礼いたします。
先ほど同じ団地住まいではないかとコメントしたものです。
ぴぃすけさん、パラオへダイビング旅行に行かれたのですね。
なんと私もパラオへ行ったことがあります。ただし4歳の時なのでほぼ覚えていません(涙)
父がパラオに仕事で海外赴任していたので夏休みに1ヶ月ほど行ってたそうなのですが、ビーチで逆立ちをしたこととプールで溺れかけたことしか記憶にないのです。
パラオの海をもう一度私に見せたいと父は未だに話しています。
なんだか共通点が多くて、嬉しくて勝手に興奮状態です!笑
九州に単身赴任されることになったのですね。
地震もあり、遠い場所で大変なことも多いかと思いますが、新生活も体調に気をつけえお過ごしください。
やあちゃんさん、こちらにもコメントありがとうございます。
パラオの海は最高でした。生き物の豊富さや美しさもありながらも歴史の陰影もあり、いろいろ考えさせられるところもありました。
是非お父様とパラオの海に行かれてください!我が家の両親にも海外を見せたいですが、どうも保守的で海外より北海道の方が良いとか言うので、ある意味やあちゃんさんがうらやましいです。
私はダイビング目的で行きましたが、ダイビングをしなくてもスノーケルやビーチで遊ぶだけでも十分楽しめる海かと思います。
地震の方もご心配いただき恐縮です。わたしのいる地域はあまり揺れず被害は皆無なのが幸いですが、やはり地域の方には熊本地方に縁ある方も多く、他人事ではないです。収束していって欲しいですね。。。