2022年の春頃、室蘭市は市役所本庁舎やスキー場や美術館、そして市立室蘭水族館など8つの老朽化がすすむ公共施設のあり方を検討する、、という方針を表明しました。
市立室蘭水族館はゴマフアザラシとゼニガタアザラシを飼育する北海道内最古の水族館。私自身も訪問したことがあり、こじんまりとしていますが入場料も安価で施設との距離感も近く、市民の皆さんに密着している好印象な施設でした。2005年以来、17年もの間にご無沙汰しているので、あまり大きな顔はできませんが、これが廃止となったら寂しい。
室蘭市が老朽化の進んだ公共施設の在り方を検討し、意見募集を実施
室蘭市の当初の公共施設のあり方の方針案では、市民生活への影響や代替施設の有無から、対象8施設を4つのグループに分け、優先順位をつける案を低支持していました。優先順が高い1グループは市役所本市庁舎や給食センターなど。室蘭水族館は西胆振地方に代替施設が存在し、統廃合可能である優先順は4段階の3番目のグループに分けられていました。(おそらく登別マリンパークニクスが代替可能な施設、とされたのだと思います。)
この方針案が示された上で、室蘭市のウェブサイト上で令和4年5月18日から8月31日まで意見募集がなされたのでした。
そして、先日、意見募集が終わり、その結果が公表されました。結果を拝見すると、集まった意見のうち、かなりの割合が水族館への意見で、その内容は「水族館の存続希望」が圧倒的な数。これを受けて水族館は存続と決定されました。すごい!
18年前の室蘭水族館の初訪問時には客が私一人で、ちょっと怖いとすら思ったのでしたが、この状況は泣けます。
この意見募集の意見提出可能者は、室蘭市民に限られず誰でもOKでした。水族館好きな人、アザラシ好きな人で意見を出された方も多いと思います。
ただ、私自身は意見の提出はしませんでした。何より市立水族館の存続は、室蘭市・室蘭市民の皆さんの判断が最優先にされるべきと考えまして。数年に一回行くかどうかの私みたいなのが無邪気に意見を出すのもな気が引けるなぁ、、、と。
市外在住でも市立室蘭水族館のファンの方はたくさんいるわけで、「好きなものが消えゆくのを黙って看過できない」というお考えで市民ではないけど意見を送る、という行動も当然理解し、尊重します。私ももっと定期的に市立室蘭水族館を訪問していたら、意見を出したと思いますが、さすがに17年間行っていない&室蘭市民ではないやつが「存続希望」と意見を出すのは申し訳ない、、、ということでございます。。。
提出された水族館の存続を求める意見が熱すぎる!
意見募集の結果は以下の室蘭市のサイトで意見のとりまとめ資料も生の意見もすべて公開されています。(この透明性・公平性も素晴らしい。当たり前のことかもしれませんが。。。)
結果は、水族館の存続希望意見が圧倒的多数。
ここに寄せられた生の意見が熱すぎて本当に泣けます。
2005年以来、17年ほど市立室蘭水族館に行っていない私みたいなのが、勝手に感動するのもあれなのですが、ここまで多くの方の圧倒的支持を取り付ける市立室蘭水族館の皆さんの努力・活動に想いを馳せ、そしてその水族館の想いをしっかり受け止め、「水族館の存続希望」の意見を送りまくる室蘭市民(+α)の皆さんの想いに泣きました。
公表された結果を見て、特にすごいな、と思った点や感動した点は以下のような点です。
「公共施設のあり方に関する意見募集結果まとめ」で心がうずいたところ
公共施設のあり方に関する意見募集結果まとめ(PDF:597KB)を読んで心がうずいた点
・「各施設の利用状況」の中で、水族館は「毎週」「月数回」「年数回」が多数で、ほぼすべての意見投稿者が利用したことがあるという点。他の施設に比べ明らかに利用頻度が高い。
・「【問10】市の考え方(案)などに対する意見・自由記載」で意見672件中、298件が水族館に対する意見で、これも他施設に比べ圧倒的多数。
なお「回答者の住まい」は、64%が室蘭市民、7%が近隣の登別市民、4%が伊達市民、その他(札幌などの道内自治体や本州など)が24%。
つまり、大多数が室蘭市や近郊の市民が占め、その他市民はほどほど、、、といったところでしょうか。全国から各分野の”外野”から圧倒的多数の意見が押し寄せる、、とかではなく、室蘭市民を中心としつつも、外野の意見もそれなりに入る、という現実的な比率かなと思いました。
「いただいた意見の内容全文」で感動したところ
「いただいた意見の内容全文(PDF:819KB)」は、全48ページで構成されるのですが、19~41ページという22ページが水族館に対する意見。水族館への意見が圧倒的量を占めています!
私は水族館に対する意見部分は全部読みまして、そして勝手に感動していました。市立室蘭水族館の関係者でも何でもないのですが。。
・意見を拝読すると、現役市民、昔住んでいた市民、近隣の自治体に住んでいて水族館をたまに利用する方、子育て世代、子育てが終わったであろう年上世代、多分アザラシや水族館などが好きなその筋の方、、、などなど、提出された方の属性が分かるような記載もあるのですが、属性問わず「水族館を無くさないでほしい」という意見のオンパレード。改修希望だったり、建て替え希望だったり、その存続形態へのご意見はいろいろあるようですが、とにかく何らかの形で水族館は残してほしい圧が高い。
・現役で通われている方、家族との思い出の場所、帰省したら行く方など、自身の体験や思い出や、「大切な場所だから無くさないで欲しい」という意見がたくさんお送りありました。実際に行かれた思い出や経験を交えて「存続して」となっているので、各意見の説得力がすごい。さらには「もうすぐ子供が産まれるので、通いたい」といったような、未来を絡めて存続希望を出されている意見が何件もありました。未来の市民・市政のために公共施設のあり方を検討する、、という今回の意見募集に対しては最強の説得力を誇ったのではと思いました。
・そしてこれが最も感動した点ですが、単純に「続けてほしい」や「行政で何とかして」といった意見だけではなく、水族館の存続に向けたアイディアや提案が含まれている意見がたくさんあること。実現性はともかく、市立室蘭水族館の存続を我が事として捉えて、何かできることは無いか、一生懸命に考えられた提案がなされているのです。提案内容は、入場料の値上げ(の受け入れ)から、クラウドファンディングの活用、近隣にある道の駅との連携、お土産や食べ物屋の提案、、、などなど多岐にわたっていました。
市立室蘭水族館は公共施設のあり方の理想の姿か
今回の公共施設の存続の検討→広く意見募集→圧倒的存続希望多数→室蘭市が水族館の存続決定、、、という一連の流れは、本当に素敵なものを拝見できました(←偉そうな感じであまり好きな表現ではないですが、他に表現は思い浮かばない。。。)
公共施設のあり方、特に市営の地元密着型の公共施設のあり方の一つの理想を体現されているように感じました。
市立室蘭水族館の関係者でも何でもないけど、嫌なことがあっても、この生意見を拝読すれば元気になれそうな気がします。
上述のとおり、今回の意見募集には私自身は意見は送らなかったのですが、このような室蘭市民の皆さんの熱い想いを拝見し、私も市立室蘭水族館を応援したい気持ちが強くなりました。
やはり2005年以来、17年間ご無沙汰なのは、自分でもちょっとどうなのよ、、と思いますので、まずはなにより再訪しなければですね。また行かなければならない北海道の施設が増えました。
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