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マンガ「よつばと!」の世界の時間軸を現実の時間軸が追い抜く瞬間の記録

今回は、あずまきよひこさんのマンガ「よつばと!」の話。

「よつばと!」は18年にわたって連載が続いているマンガで、5歳の女の子「よつば」ととーちゃんの日常を丁寧に描き続けているマンガです。公式サイトの概要はこんな具合。

ちょっと変わった5歳の女の子「よつば」と、とーちゃんのふたり暮らしを中心に、まわりの人たちとの何気ない日常を描いた作品。 だいたい1日1話のペースで、物語はゆっくりと進みます。
国内コミックス発行累計1430万部。さらに14言語に翻訳され、世界27の国と地域で300万部発行。(※データは2021年)
世代を超えて読み継がれて18年のロングセラーコミックです。

よつばと!公式サイト https://dengekidaioh.jp/product/yotsubato/

そして2022年12月現在の最新刊は15巻(2021年2月発売)になります。

「よつばと!」第15巻の表紙

「よつばと!」の世界と私の現実世界の時間が交錯し、追い抜く瞬間を迎える

私が『よつばと!』と出会ったのはまだ学生だった頃。確か5巻~7巻辺りまで刊行されていたタイミングだったように思います。以来、私も15年以上、よつばと!を読んできました。

「よつばと!」の第1巻の第1話には”学校が夏休みに入る前日(≒7月20日くらい?)”という記載がありますが、最新の第15巻の収録最終話である第104話で、よつばとの世界は12月になっている描写があります。1巻から15巻で5か月弱の時間が流れたということになります。

とーちゃんの発言から12月であることがわかる。(よつばと第104話)

そして同じ第104話の以下のコマ。第104話はよつばのランドセルを買いに行く話。

(よつばと第104話から)

つまり「よつばと!」の世界では、よつばは来春から小学校1年生になるのを控えた12月ということになります。

ランドセルを試着するよつばのコマ(よつばと第104話から)

「よつばと!」を読み始めた頃は学生だった私も、就職し、結婚し、そして子供が産まれ、その我が家の娘も順調に大きくなり、、、。

来年の4月から小学1年生。

第104話のよつばと同じくランドセルを試着する娘。意識してやらせたわけではないですが、担ぎ方もよつばに似ているなぁ、、、と。

よつばが小学校に入る話が描かれるのは、まだまだ先のようですから、私と娘の現実世界と「よつばと!」の世界の時間軸は2022年12月が交錯するタイミングで、以降は「よつばと!」の世界を追い抜きます。

ランドセルを試着するよつばを見たとーちゃんの表情の↓コマ。

(よつばと第104話から)

どうすればこんなに内面を表す表情が描けるのか、、。このコマの後に続くとーちゃんの様子・描写が、また最高で、、、。あまりネタバラシするのもアレなのですが、よつばと同じ年の娘を持っているこのタイミングだと、自分の心とシンクロする描写。娘を持つ世の中の「とーちゃん」達はよつばと15巻の第104話に心を揺さぶられるはず。

娘が産まれてからは、実際の子育てと「よつばと!」がオーバーラップしてきますした。娘は私のことを「パパ」と呼びますが、私が娘と話すときの私の一人称は「とーちゃん」。「よつばと!」の影響です。そんな「よつばと!」の世界を「追い越す」と思うと感慨深いものがあります。

よつばと5歳娘の比較①:よつばが石集めをする海に、同い年の娘を連れて行ってみる

あまり湿っぽいことばかりなのも何なので。今年は娘の年齢がよつばと同じになることは分かっていたので、やってみたいことがあったのです。それは実際の5歳の娘とよつばの比較というか、5歳の娘を「よつばと!」の舞台に放り込んだらどんな反応をするのだろうか?という確認。これは娘が5歳である今のタイミングを逃すと永久にできなくなります。

再び第15巻の表紙。

「よつばと!」第15巻の表紙

よつばが石を持って、海辺を走っている絵。第15巻第100話でよつばが海岸に石を拾いにいくのですが、その時のシーンです。この海岸は第100話中の↓コマに地図があり、大磯町役場の南側の海岸であることがわかります。

Googleマップで示すとここ↓ 「こゆるぎの浜」という名前の海岸です。

この海に着いて、よつばたちが石拾いをしているシーンがこちら。

よつばと第15巻・100話より

見開きいっぱいに海岸が描かれ、よつばやとーちゃんたちが石を拾っている印象的なシーン。

この場所によつばと同い年の5歳の娘を連れて行って、どのような行動をするか観察しようと思います。娘には行く前に「よつばと!」の第104話を見せたり話をしたりせず、単純に「海でも見に行くかー!」とだけ言って、家から連れ出しました。

娘を「よつばと!」の舞台となった大磯のこゆるぎの浜に連れて行くと、、、。

よつばと第100話の石拾いの舞台となった大磯町のこゆるぎ浜。

おもむろにじゃりじゃり海岸を掘り返し、きれいな石を探そうとしていました!石探しが好きなのは子ども共通か。↑の写真も「よつばと!」に出てきそうなシーンっぽいぞ! 

、、、それにしてもこゆるぎの浜はすべすべで丸い石が多い海岸。娘は「よつばと!」第100話でも出てくる角が削れて丸まったきれいな色付きガラスを見つけたりして喜んでいました。

こゆるぎ浜の石の様子

あまり余計なことを言わず、自然体で娘の相手をしながら観察していると、石探し・石拾いは短時間で飽きてしまった様子です。娘曰く「貝殻を拾いたいのに、この浜には貝殻が少ない!」とのこと。貝殻もないことは無いのですが、以前連れて行った伊豆や三浦半島の海に比べると確かに少ないかな。あまりお気に召さなかった様子。

石を拾うために海にやってきたよつばとは、石拾いに対するモチベーションの差が相当あったようです。

波打ち際のよつば
波打ち際の娘

石拾いはともかく、靴がびしょびしょになるほど波打ち際で遊んだり、小さな川の河口で水路を作る砂遊び?をしたり。娘もこゆるぎの浜を堪能して帰ってきました。

こゆるぎの浜には「よつばと!」の第104話に描かれているシーンと同じ風景が広がっていて、よつばと同じ5歳の娘がその風景に入り込んで、はしゃいでいるのを見ていると、「よつばと!」リアルのようで、”とーちゃん”も楽しかったです。

よつばと5歳娘の比較②:5歳の女の子の絵本作り

「よつばと!」は5歳のよつばの世界なので、読み返していると、5歳の娘に通ずるものが多くハッとすることも多く、「このシーンは5歳児のこういうところを描いていたのか!」といった感じ・・・。例えば第15巻の中によつばが自作の本を作る話があります。

「よつばと!」第103話より。よつばが自作の絵本を作る。

うちの娘も自作の絵本を作っていました。

娘の自作絵本「うさぎちゃんのおはなし」

よつばが作る絵本の雰囲気がうちの娘の作る絵本の雰囲気が似ているのです。何が似ているかというと絵や文字というより、絵本の構成が、いかにも5歳児が作ったっぽい感じ。

よつばの絵本の流れ:(タイトル)にちようび→1P・かいじゅうがせかいをほろぼす→2P・よつばがきてやっつける→3P・らんどせるでがっこうにいく
うちのむすめ絵本の流れ:(タイトル)うさぎちゃんのおはなし→1P・きがあってミカンがぶら下がっている(ウサギは出てこない)→2P・みかんがおちる(ウサギは出てこない)→3P・ウサギがみずまんじゅうをたべる。

娘作の絵本「うさぎちゃんのおはなし」ですが、ミカンが落ちてくるシーン。

5歳の子供がその時の思い付きも交え、あまり前のページからの流れとか考えずに、好きなことを描いているめちゃくちゃな話の展開ぶり・構成になっているのが、妙にリアルなのです。個人差はあると思いますが、より小さい子なら絵本を作ろうとは思わないでしょうし、より大きい子なら連続性のある物語感が出てくると思うんですよね。この辺りの「5歳児あるある」感も楽しいです。

娘の存在は「よつばと!」の楽しみ方の幅を拡げた

実際に5歳の娘がいることは「よつばと!」を楽しむのにはやっぱり大きな影響があり、功罪(というと大げさですが)両方があるなと感じています。

良かったこと

実際の5歳の女の子の行動とか、それを見守るとーちゃんの気持ちとかが実感を込めて「よつばと!」を楽しめるようになりました。「よつばと!」が予め出題された問題で、実際の5歳の娘で答え合わせをしているようなそんな感覚。娘がいなかったら、こんな感覚を持つことはなかっただろうと思います。

微妙?になったこと

「良かったこと」の裏返しではあるのですが、私にとっては実の娘はやはり圧倒的存在。なので最近は「よつばと!」を読んでいても”実娘フィルター”をかまして、読んでいるような感覚が常にあるのです。純粋に「よつばと!」だけの世界を味わえなくなってしまったような。それだけ娘がしっかり育っているということなのですが、少し寂しくもあります。

一応、功罪として対比して書きましたが、プラスのほうが圧倒的に大きいですし、娘が5歳の世界から離れていくにつれ、「よつばと!」に対する実娘フィルターも薄くなっていくように思います。

娘は5歳から離れていくと思いますが、「よつばと!」読む私は、5歳のころの娘の姿をよつばに重ねて、この頃を思い出しながら読んでいくのだろうなと思います。

そんな楽しみ方ができるのは「よつばと!」が長く続いているおかげであり、そして産まれてきた娘のおかげでもあります。

「よつばと!」と出会った時は、こんな読み方や楽しみ方をすることになるとは、想像もしていなかったです。これからも今は想像もしていないような読み方・楽しみ方があることを期待して「よつばと!」を楽しんでいこうと思います。

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