今回の話題は腕時計の話で、CASIOが出しているアウトドア時計のプロトレック(PRO TREK)。プロトレックは公式サイトによると1994・1995年辺りに初代モデルが売り出されて、新モデルが今でも投入され続いているロングセラーシリーズです。
アウトドア用なので防水機能は当然として、気圧計・温度計・方位計などが搭載され、最近のモデルでは電波時計、太陽光発電による充電機能、GPS機能等々も搭載され、アウトドアの特に登山に必要な機能が売りのシリーズです。タイドグラフなど海アウトドア機能が充実したモデルもあります。
プロトレックのPRT-50とPRT-500
さて、このプロトレックには、90年代後半に発売された”PRT-50”というモデルがあります。私も約20年程度前に購入し、何度も電池交換を繰り返しながらも、今でも現役で動き続けていて着用しております。とっても頑丈です。
現行のプロトレックシリーズ然り、同じCASIOのG-SHOCK然り、アウトドア時計は見た目がごたごたしがちですが、このPRT-50はボタン操作により各種情報をデジタル表示で文字盤に浮かび上がらせるタイプなので、通常時の見た目は比較的シンプルであって、大き目なアナログ時計な外観。
2か月ほど前にPRT-50を称える記事を書き、私のPRT-50を掲載しました。
実はこの記事を掲載して以降、PRT-50に改めてドはまりしてしまい、2019年12月20日時点ではPRT-50とほぼ同じ機種のPRT-500を合わせて合計9個体を所有しております。我ながらやりすぎた感もありますが、大人の資金力って素晴らしい!(^^)
なぜこんなにも買い集めたか、実は9個体を並べてみると、同じPRT-50/500でも微妙に細かな違いがあることが分かりまして、90年代後半のプロトレックの傑作機であるPRT-50/500の記録を残していきたいと思いました。
なお、この記事にはPRT-50やPRT-500が売れると私の懐に入るようなステマの類の仕掛けはありません(^^; PRT-50/500は前世紀に生産を終えた時計ですので…。
PRT-50とPRT-500の違いは?
さて、PRT50の紹介という本題に入る前に片づけておかねばならないのが、PRT-50とPRT-500の違いです。この2機種はどこが違うのか正直なところ、よくわかりません。私はPRT-50を5個、PRT-500を4個持っておりますが、時計のサイズは一緒、機能も同じです。(後ほど所有している個体を全部載せた写真が出てきます)
シャッフルして、見た目だけでPRT-50かPRT-500か当てろ、と言われたら勘で当てるしかない、、、くらいのレベルで一緒。
所有している9個はそれぞれ異なる細かな点はあるのですが、その相違は型番によって系統立てて説明できるものではなさそうなのです。おそらく発売した当時は何らかあってこその型番の違いだとは思いますが。。。(以下、PRT-50とPRT-500の両方を指すときはPRT-50/500と表記します。)
さらに私は所有しておりませんが、中古品を販売しているサイトでPRT-501、PRT-505という型番で、写真で見た感じの外観は同じモデルも確認しております。またコラボモデルや限定品モデルはPRT-50XXX(Xには任意のアルファベット)という型番になります。見た目で若干異なるところはありますが、中身は一緒だと思われます。
PRT-50/500の魅力と不満点
PRT-50/500の魅力は上にも少し書きましたが、以前の記事で書いた詳細な魅力を再掲します。
①アウトドア用のプロトレックシリーズにもかかわらず時計の文字盤がシンプルなところ。
アウトドア時計は圧倒的にデジタル時計のほうが多く、そして大きくてでかい時計が多いのです。(当然過酷な環境下で視認性を優先したら、重要ではあると思いますが、、、)そんな中、PRT-50/500のアナログ時計??と思わせるような外観、特に金属ベルト個体の比較的フォーマルで美しいシルエットは他の新型プロトレックにはない魅力です。
②デジタル表示情報がアナログ時計の文字盤・針の上層に表示されるところ。
現役のプロトレックシリーズをはじめ、アナログ時計の文字盤の一部にデジタル表示用の液晶パネル窓を配置し、情報をデジタル表示できる時計も多く売られておりますが、長針や短針の下にデジタル表示が来る機種がほとんどで、針の位置によってはデジタルの情報が見にくい場合があります。PRT-50/500ではデジタルの情報はアナログの文字盤や長針や短針の上に表示されるので、針にデジタル表示の情報が干渉されることはありません。細かい点ですがこれは使い勝手がいいのです。
③PRT-50/500のアナログの時計とデジタルの時計は独立して動いているところ。
海外ではアナログは現地時間に設定し、デジタルは日本時間というような設定が可能なところも地味にうれしい。
④おそろしく頑丈
PRT-50/500を作っているのはG-SHOCKを出しているCASIOで、さらにアウトドア用と銘打っているプロトレックシリーズなので頑丈な作りになっているのは想像できますが、それにしても私が20年前に買った個体も、最近になって入手したものも、みんな元気に動いているのがすごいなと。本体は元気だけど、ベルトのほうが先にへたってしまうのが、このモデルの定番のようです。
こんな特徴からか発売から時間が経っているにもかかわらず、未だに愛用している人が多いモデル。他の方のサイトで「まだ使っています」「電池を交換してまだまだ頑張ってもらいます」的な記事も多く、同志の記事を見るとうれしいものです。
また中古品市場でも、この時代のCASIOのプロトレック機種の中では比較的、高値で取引されています。
と、ここまでは賛美ですが、不満点もあります。見た目が若いというか、やっぱりおっさんがスーツにこの時計をつけるのははちょっと、、、と思ってしまうんですよね。この気持ちを以前の記事から引用するとこんな感じ。
とはいえ、この90年代の若さもある意味、惹かれます。やっぱり中二時代というのは、まだいろいろ世の中のことがわからなくて、視野が狭いからこそ根拠のない希望を持っていたあの頃の無敵感・高揚感を思い出させてくれます。
もう少し見た目が落ち着いたPRT-50/500もあります。本体はグレーでベルトも金属のものは落ち着いた印象。
PRT-50/500の発売から20年以上たっている現在、これらの機種を入手しようとしたらネットオークションや中古品販売サイトをこまめに見て一点物の中古品を狙うしかありません。これが価格も状態もバラバラ!そして時計そのものの見た目もそれなりに違います。これを集めるのが面白く奥深く、気づいたら9個になってしまいました。せっかくなので9個を並べてみるとこんな感じ。
なかなか壮観。これらはすべて機種番号はPRT-50もしくはPRT-500になるものなのですが、細かな仕様が異なることはお分かりいただけるでしょうか。次項ではこの細かな相違を解説したいと思います。ちなみに上段左・上段右・中段左・中段右・下段右がPRT-50、上段真ん中・中段真ん中・下段左・下段真ん中がPRT-500です。
PRT-50/500のバリエーション解説(文字盤・ベゼル・裏蓋の違いなど)
文字盤のインデックス(時刻目盛り)の違い
まずは文字盤の違いです。実はPRT-50/500にはインデックス(時刻目盛り)のバリエーションは3種類あり、それぞれのインデックスの文字が金色と銀色という2種類で3×2=6種類あります。写真で一覧にするとこんな具合。
上段左は「アラビア数字・金色文字」、上段右は「アラビア数字・銀色文字」、中段左は「12.3.6.9がアラビア数字で残りはバーになっているインデックス・金色文字」(←の銀色文字verの存在はネットオークション出品物で確認済み)、下段左「バー・金色文字」、下段右「バー・銀色文字」。なおバータイプのものは数字タイプに比して短針・長針が細くなっており秒針のデザインも異なります。
↑の写真ではちょっと金色と銀色の文字がわかりにくいかと思って拡大写真を用意したのですが(↓)、あまりわかりやすくならなかった(^^: 左が金色文字・右が銀色文字です。
ベゼルの方位目盛り
続いてベゼルの方位目盛り。ガラス(風防)の周りにある方位磁針のような環状の部分です。これは確認できたのは3種類。
上二つは銀色、下のものは金色です。上二つの違いは北を指す「N」が黒か赤かの差です。金色のほうでNが赤いものがあるかは未確認です。所有している9個のうち、方位目盛りが金色のものは1個だけなのでレアなのかも??
ベゼルのボタン名表示パーツ
方位目盛りのさらに外側にあるベゼルの各ボタンの表示やセンサーカバー部分にも何種かあります。
上二つは同じ落ち着いた濃い目のグレーですが、センサーカバーや装飾ピンの金属パーツが金色と銀色の違いがあります。下の段のやつは黒色ベースでオレンジ色で「SENSOR」と書いてあるタイプ。
裏蓋
続いては裏蓋のバリエーション。着用していると目に見えない裏蓋にもバリエーションがあります。
私の手元にある9個のPRT-50/500からは6種類の異なる裏蓋があることがわかりました。上段左はスタンダードなPRT-50のものでステンレス製。上段真ん中だけ、他と光の反射の様子が違いますがこれはPRT‐500のチタンモデルのもの。上段右はPRT-500のステンレスモデル。下段はすべてステンレス製で、いろいろな団体との限定モノやコラボもの。下段一番左はパンダのマークでWWF。下段真ん中は国際スキーインストラクター連盟(ISIA)、下段一番右はブラックバスの刻印とBASSING GEARとあるので、バス釣りとのコラボ(?)もののようです。
ちなみに本体の重さはチタンモデルは41g、ステンレスモデルは45gで、約1割ほどチタンモデルのほうが軽いです。(重さは家にあったTANITAの家庭用スケールで計測)
ベルト
ベルトは↑の本体以上にバリエーションは種類は多いと思うのですが、ヘタるのも早いのでオリジナルで状態の良いものは残っていないです。私が20年ほど前に購入したPRT-50のベルトも革とナイロンの複合素材で作られており、購入後2~3年くらいでベルトが劣化して切れてしまいました。そんな中、何個か紹介します。
一番上はプロトレックのロゴマークが入った金属ベルト、真ん中はコラボのロゴが入った金属ベルト、一番下はバス釣りモデルのウレタンのベルト。
PRT-50/500のベルトは純正品は革や布素材のものも多いのですが、革や布は汚れがたまりやすいので中古で買ったとしてもあまりそのまま使いたくない素材ではあります。なので新しいものに交換する方は多いのではないかなと。ベルト幅は20mmで、汎用品が使用可能です。
ELバックライト
暗いところでも視認できるELバックライト。通常のPRT-50やPRT-500だと明るい水色に輝くのですが、ここにイラストが浮かび上がってくる限定モデルもあります。
左はバス釣りモデルでブラックバス。真ん中はWWFとのコラボ製品でピューマ?チーター?大型のネコ科の動物です。右もWWFモデルでアルマジロ?センザンコウ?が浮かび上がる。
確かに90年代後半頃はG-SHOCKでも、このような限定モデルやカップルモデルのようなものがたくさん出ていたように思います。バブルの残り香って感じがします。
本体ケース
本体ケースの色も数多くあります。持っているモノを並べたのが以下の図。
左上はPRT-50のスタンダードモデルで、濃い茶色です。右上は国際スキーインストラクター連盟のモデルで濃紺、中段左はWWFとのコラボモデルで黒、あとは灰色。これ以外の色もあるようです。
PRT50/500を自分好みにカスタマイズする
さて、上で紹介した通り、パーツごとにバリエーションがある、、、ということは、パーツを取り換えて自分好みのPRT50/500を作ることもできるということです。
特にベゼル周辺のプラパーツは精密ドライバーだけで部品を外すことができます。
外すのは簡単。
本体の右側(龍頭側)部分は2本のネジでパーツがくっついている。このネジ2本を外せばパーツは外れます。
本体左側(センサー側)部分は4本のネジでパーツがくっついています。
なお、方位表示部分の回転可能なパーツ(ベゼル)はネジでは固定されていません。上二つのねじ止めパーツを外した後に、本体と方位表示部分の隙間をこじって外すことができます。ただこのベゼルは元に戻しにくい個体もあり、あまり外すのはお勧めしません。
私がメインで使用する2つのPRT-50/500の紹介
さて、紆余曲折を経ながらも私が常用するPRT-50/500は以下の2つのものです。上で紹介した方法でパーツを若干入れ替えています。
左は仕事でもつかえるかも(?)ということで、なるべくフォーマルっぽくしたものです。インデックスは数字タイプで銀色、ベゼル周りの色も黒Nの方位目盛り、ベルトも金属にして見た目の派手さは抑えました。見た目はシンプルっぽい時計を装いつつも、中はプロトレックで、「温度も気圧も高度も測っちゃうぜ!」というギャップがいいなと。。。まぁあまり測る機会は多くはないのですが(^^;
右は遊び用。金具多めの濃茶の革製のNATOバンドは私の好み。さらにベルトに方位磁石を付け加えて中二感マシマシもできます!
茶色の革ベルトに合わせるのため、ケース本体は茶色。文字盤はアラビア数字で、金色。この本体はもともと私自身が20年ほど所有しているPRT-50で、やっぱりこの個体を使いたいという思いもありました。上述したベゼル外側のパーツのセンサーカバーにオレンジ色で「SENSOR」と入っていた部分のパーツは交換しました。
液晶の情報を表示してみました。
実際の山にもっていくなら、ベルトをウレタンかナイロンの軽くて耐久性が高い実用的なものに交換するのもありかな。
9個のPRT-50/500の気圧計・温度計の個体差を検証
せっかく9個のPRT-50/500があるので、気圧や温度計の個体差を見てみました。温度・気圧計測モードにしてから、並べて屋外に30分ほど放置した後の状態です。家に転がっていた同じプロトレックのPRT-40とPRW-1000Jも一緒に並んでもらいます(最右列)。
結果は以下のとおり。
9.5℃/1006hpa | 9.8℃/1012hpa | 10.2℃/1003hpa | PRT-40:10.6℃/975hpa PRW-1000J:11.8℃/1002hpa |
10.0℃/1004hpa | 9.4℃/999hps | 9.2℃/998hpa | |
9.8℃/1012hpa | 9.9℃/1017hpa | 9.9℃/1012hpa |
高血圧なものもいれば低血圧なのもいます。
ちなみにこの日の14時50分の関東地方のアメダスデータの値は東京(9.0℃/1015hpa)、横浜(8.0℃/1012hpa)、海老名(9.2℃)です。我が家はちょうどこの3点の中間くらいな位置にありますが、標高は東京・横浜のAMEDAS観測地点に比べて30mくらいは高いのでAMEDASデータより気圧は低めになっているはず。(気圧は約10mで1hpa下がる。)
センサーの調整はしていないので、あまり意味がある数字ではありません。正確な気圧・温度を知るのは案外難しいですが、何かの機会に調整したいと思います。
2020年代に1990年代発売のPRT-50/500を入手するには?
もし2020年現在、PRT-50やPRT-500を入手を試みる場合、ヤフオク・メルカリなどのCtoC系のネット通販が手っ取り早い入手先になります。私が最近買い集めたのもこの手のサイト。発売から20年ほど経っていますが、そこそこ数は出た機種ですし、上述の通り頑丈なので、今でも売られている玉は多いです。値段状態を問わなければ常時5個くらいはヤフオクかメルカリで販売されていました。
難しいのが相場感(どのくらいの状態なものならどの程度の価格が妥当か)です。正解はあってないようなもの。自分が気に入った物なら買ってしまう以上のことはありません。が、なんとなくの私の感覚としては、オーソドックスなPRT-50/500の稼働品なら5,000円程度、本体がシルバー(こちらのほうが人気が高そう)だったり限定品だったりなら6,000~8,000円程度、チタンモデルで金属ベルトの稼働品だとさらに人気があるので10,000円オーバー、あとは状態によってはさらにそれ以上もあるか、、、といった感じかなと。
PRT-50/500が超えられない時間の限界
90年代の終わり頃に売り出されたPRT-50。恐ろしく頑丈で2019年でも動いているものが多数です。今後全く故障しないで動き続けるとしても、実は製品としての限界(?)が設定されてあり、それは2039年12月31日23:59:59です。
なぜならばこの時計で設定できる西暦幅は1995-2039年。どんなに中身の機械が元気でも、この製品には2040年以降は存在しません。あらかじめ設定された寿命が44年で、現在はその24年を過ぎたところで残り20年です。そう考えるとなかなか切ないものがあります。
2040年以降もアナログ時計部分は使い続けられるし、西暦年も無視するならば、デジタル部分も使い続けられます。
しかしそこまでやられたら、この機種を発売したCASIOさんの収入にはつながらないので、それはそれで問題か、、、とも思います。丈夫で頑丈な時計を出して、長持ちすればするほど製造メーカーの新たな収入を生み出さないというジレンマ。そういった意味では本機の2039年のような限界の設定は「さすがに40年くらい使ったなら新たな商品を買って欲しい。。。」というメーカーの想いなのかもしれません。
ひとまず、私のPRT50/500には、2020年代もまだまだ頑張ってもらおうと思います!
コメント