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兵どもが夢の跡~魚類飼育展示館(旧ひろお水族館)~2006年8月25日

 あらかじめ書いておきます。去年閉館したひろお水族館ファンの方にはかなり痛い内容も含みます。その辺を見たくない方は以下は見ないほうが良いかもしれません。

 昨年の11月に営業を修了したひろお水族館が魚類飼育展示館として再び公開されるとの事なので行ってまいりました。展示館の開館期間は11月3日まで で、開館時間は10時~15時。アザラシは一部の個体が他水族館に譲渡され残りの個体も譲渡準備をすすめているものの、今年度に限り見学可能とのことで す。

 訪れた日は快晴、抜けるような青空の下、午前九時頃旧ひろお水族館前に到着します。そして変わった風景に驚きます。かつてあった入場門と遊具設備がきれいに撤去されていました。

 


以前の入場門があった辺りから水族館本館方向の風景です。


遊具が設置してあった辺り。
跡には夏草が茂っていました。
かすれた「↑水族…」の文字を見るとしんみりします。

 

 続いて旧水族館の本館に向かいます。営業は10時からとなっていますが門が開いていたので9時半頃入場しました。どうやらお客さんは私一人の様子。建物は以前のひろお水族館と変わりはありません。が、アザラシプールにはやはり以前とは細かい点で異なっておりました。

 

 まず1つ目、ショー用のアザラシが乗る台が撤去されていました。
 2つ目、アザラシプールは地下の廊下から見ることができる造りになっているのですが、廊下にあったアザラシの救護や個体の特徴を著したパネルは全撤去。写真の通り殺風景な廊下になっていました。
 3つ目はこれはたまたまかもしれませんが、一番印象に残ったことです。私が以前2回ほど営業中のひろお水族館を訪れたときはプールの水がものすごくきれいだったのに、今回訪れた際は水が汚なかったことです。

 私は現役のひろお水族館は夏休み真っ只中と営業最終日の風景しか知らないので人があふれているイメージを持っていただけに、水の汚れたプールに客が己のみというこれまでのイメージとは正反対の状況にかなり戸惑います。さらに8月の真っ青な空がかえって痛い。

 そしてアザラシたちはというと、一見以前と変わらないように見えましたが、ちょっと感じが変わっていたような。以前人間が来るとガラス越しにイー君が 寄ってきていたものですが、今回は全く寄ってきませんでした。環境が変わってしまい(正確にいうと飼育する側の人間が変わってしまって)アザラシたちも変 わってしまったのでしょうか。一頭だけ素人目ですが痩せ過ぎなのでは?というアザラシもいました。


動画(1.32MB)

アザラシプール地下。以前、側面の壁にあったアザラシに関する掲示はほぼ全て撤去されて殺風景になっていました。


動画(1.18MB)

水上から見たアザラシプールの様子。


動画(1.14MB)

水中のアザラシの様子。


水面に顔を出したアザラシ。


動画(3.04MB)

アザラシの隣人、トドのごんた君。
水の中で息を吐き出していました。
アザラシより豪快です。


舌を出すごんた君。
ごんたはかなり高齢のトドで彼の引き取り先も
なかなか見つからないようです。

 私は現在のこちらの職員さんを批難するつもりは全くありません。現職員さんは多分今年から慣れない職場で慣れない作業を現状況の範囲で一生懸命やられていることだと思います。(でなければアザラシは死んでいるでしょうから)
 しかしですね、ここのアザラシを見ると、人間が関わってしまったアザラシは人間を含めた環境が変わってしまうとその変化をもろに受けてしまう、一回人間 が関わったら最後まで責任を持って面倒を見ないといけないんだなー、と感じました。そして動物の展示施設というのは職員さんと動物の関係があって成り立っ ていると思いました。

 そういう意味でこの施設はひろお水族館の建物を使っていますが旧ひろお水族館とはまったく別の施設です。以前のひろお水族館を知っている方はこの施設の訪問にはかなりの覚悟が必要かと思います。

 


旧水族館本館。
わかりにくいですが「魚類飼育展示館」のプレートが掲げられていました。


魚類飼育展示館内部の水槽。
「マツカワ(カレイ科)など漁業資源増養殖に活用するため」の施設のはずですが、この通り南方系の魚も飼育されていました。彼らもアザラシと同じく「居残り組」なのでしょうか。


アザラシプールの一つは既にサケ科の稚魚がたくさん泳いでいました。


誰もいないアザラシプール前。
営業最終日はここに入りきらないほどの人がアザラシショーを見ていたことを思い出します。


アザラシプール前。

 


地下通路から地上に出る所。空は晴れていましたが複雑な気分です。

 

 現在の魚類飼育展示館に残っているアザラシは比較的高齢だったり視力を失っていたりとなかなか引き取り手が見つからないアザラシのようです。
 以前のアザラシの保護に携わっていたような意識の高い職員さんが去り、今年度に限り海獣の見学が可能という状況から、私が危惧しているのは、 「残されたアザラシたちの引き取り手が現れない場合、強引に海に放して有耶無耶にしてしまうのではないか」ということです。環境が変わると彼らにストレスがかかるとはいえ、良い引き取り施設が現ればいい のですが…。
 ひろお水族館が本当の意味で閉館できるのはこういった問題が全て解決したときでしょうか。

 一時間ほど滞在し10時半頃に退場します。その間、私以外にお客さんは一人も来ませんでした。

2006年8月31日作成

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