サイト内に広告が挿入されています

閉館日のひろお水族館 2005年11月3日

2005年11月3日、北海道十勝南部の広尾町にあるひろお水族館が閉館することになりました。私は夏の訪問でひろお水族館に別れを告げ、閉館日のお祭り騒ぎには加わらないつもりでしたが、前日ゴマスケさんの管理されるアザラシMLでひろお水族館について投稿をされている方がいて、その投稿を拝見して いるうちに急に行きたくなりました。。。というわけで行ってきました、ひろお水族館。

ひろお水族館へ

前日阿寒を出発し襟裳岬で車中泊、早朝の襟裳岬で野生のゼニガタアザラシを見た後、ひろお水族館に到着です。ひろお水族館前に着いたのが8時10分頃、閉館日とはいえ、9時開館なのでまだお客さんは誰もいませんでした(^^;
なぜこんなに早く来たかというと、本日 の水族館はおそらく大混雑するであろうから朝のうちに入園して混む前に帰ってこようという魂胆からです。

閉館日の朝

8時10分に着いてもやることがありません。数枚の写真を撮った後は門の前に座って開館を待ちます。バイトの若い高校生の兄ちゃん、姉ちゃんが続々集結し ます。
9時頃開館しますが、私のほか数人の「水族館好き」「アザラシファン」といったような私と同好の香りがする雰囲気を持つ方のみのお客さんという、かなりコアなお客さん構成で開館します。地元の普通のお客さんは朝から並んだりしませんわな(^^;


開館前のひろお水族館門前
「長い間ありがとうございました」の看板が掲げられていました。


同じく開館前の遊園地。
この遊園地は閉館後取り壊されるのかな。
水族館本館はこの奥、はるかかなたにあります。

ひろおのアザラシたち

開館後、早速入館しアザラシプールに直行。まだ朝ということでお客さんも少なくアザラシたちものんびりしていましたが、閉館日なのでマスコミが来ていて、こう言っちゃなんですが、彼らがかなり目障りでした。通路にでかい機材を置いたり、断りも無く客を撮ったりするなよ!ってなもんです。おそらく道内のローカルニュースに使ったのでしょうね。マスコミ関係が全員このような人たちではないとは思いますが…。

夏の記録にも紹介したとおり、ひろお水族館のアザラシプールは地下から水中のアザラシを眺めることができるようになっています。このプールが完成したのは1983年のことだそうで、20年前からこのようなプールを作っていた着眼点はすごい。当時としては画期的な展示だったのではないでしょうか。あの旭山動物園のアザラシプール改修の際にも、ひろお水族館のプールを参考にしたと聞きました。


まだお客さんがあまりいない水族館本館。


動画(5.4MB)

泳いでいるアザラシたちです。


動画(580KB)

クラカケアザラシの子供のクララ。
顔がネズミに似ていると感じるのは私だけかな?(特に横顔)
彼女は春に保護され、閉館後も海に帰る訓練を行い彼女を海に帰してから、ひろお水族館は正式に(?)閉まるそうです。


ゼニガタアザラシ。


動画(1.6MB)

お客さんをじーっとみるイー君(12歳・オス)


動画(3.6MB)

ホース遊びをするゴマフたちです。
ショープールなのでコスケとカービィとスモモが写っています。

アザラシたちは相変わらずの様子。「閉館?何それ?」というような感じで、ずもーっとプール内を泳いでいます。いつものようにホース遊びをするアザラシもいれば、いつものようにガラス越しに人間を観察しているアザラシもいます。お客さんも少なくあまりにもいつもの通りなので閉館日な雰囲気ではありません。それでも通路に置いてあるノートには閉館を惜しむ声が綴られ、本当に閉館するんだなーと改めて思います。私も一筆書かせていただきました。


お客さんの熱い想いがこもったノートです。


動画(1.0MB)

勢いよく泳ぐショープールの面々。

それでも10時を過ぎた辺りからお客さんも徐々に増え始め混雑してきます。園内には出店が出て子供には風船が配られ、閉館でさえなければ素敵な休日な雰囲気なんですけどね。
記念に何か買って行こうと思い水族館本館の売店に向かいますが、残念ながら売店は閉まっていました。前もって閉店したような雰囲気です。

11時のアザラシショーが始まるまでアザラシの写真や動画を撮ったりしてすごします。それにしてもここの水族館のアザラシたちは爪が長い!夏に来た時も同じ感想を抱きましたが、今回も改めても驚きます。実は先々週アザラシに詳しい方と道内のアザラシについて話し込んだ時も「なんでひろおのアザラシの爪は長いんだ!」という話題になりました。そんなことを思いつつアザラシたちを眺めます。


ひろお水族館のアザラシたちはこのように爪が長いのです。


陸に上って眠そうにしているクラカケアザラシの子供・クララ。


動画(3.4MB)

クララとゴマフの子供。
クラカケアザラシを見ることができる施設は全国でもここだけだったので閉館は残念ですね。


ゴマフの子供ですね。

最終日の海獣ショー

ショーを開始する11時が近づくにつれアザラシプールの前に人垣ができ始めます。既に先行して閉館していたラッコ館の屋上から海獣ショーを眺められることに気 付き、「こりゃいいな」と思ってラッコ館の屋上に陣取っていました。一回トイレに行って戻って来る間にラッコ館の屋上にも人垣ができ始めている状況に少々驚きました が。

11時のショーの始まる直前には超満員の人によって海獣プールは囲まれてしまいました。ショーの開始前にあらかじめ注意事項が係りの方から伝えられま す。アザラシを刺激しないように子供に配られた風船は手に短く持つということ注意がありましたが、これは本日ならではですね。

そして11時、海獣ショーの始まりです。まずはトドのゴンタ君のダイビングとジャンプ。続いてアザラシショーに移ります。が、本日は超満員のお客さんに 囲まれたせいかアザラシ達が少々落ち着かないようでした。台にじっとしていませんし、プールに戻ることもしばしばです。途中お兄さんが、海獣舎の屋上から撮影したマスコミのカメラに退く様に指示します。

アザラシ達はお客さん側と反対側のアザラシ舎の屋上から撮影していたカメラが気になっていたようです。マスコミのカメラが退いた後は比較的スムーズにショーは進行しました。
この職員さんとアザラシたちの努力の賜物のショーもなくなってしまうと考えると残念ですね。施設そのものが消えるということ以外にもこのような目に見えない価値 もたくさん消えていくのでしょう。海獣ショーが終わるとたくさんの拍手が送られていました。


動画(23MB)

ショーその1
満員のお客さんに囲まれて始まったアザラシショーです。
続きは右の動画です。


動画(11MB)

ショーその2(左の続きです)
職員さんとアザラシたちの訓練の賜物だったショーもこの日が最後になります。長い間お疲れ様でした。


動画(6.5MB)

トドのゴンタ君のショー。ゴンタ君の巻き上げる水しぶきの大きさ。


たくさんの人が訪れたひろお水族館の営業最終日でした。

さてショーが終わると、午後になりいよいよ最終閉館が近づき、名残を惜しむお客さんがかなり増えてきました。私は混雑に巻き込まれるのが嫌だったので、閉館時刻前にひろお水族館を後にしました。次は今年の営業最終日のおびひろ動物園に向かいます。

帯広に向かう最中、車の中でひろお水族館についていろいろ考えましたが、残念ながらも現状のひろお水族館を見ると閉館もいたし方ないのかなと思います。

通常料金・大人900円は大都市圏の一見さんが多いところならともかく、広尾町という小さな自治体で、一般の家族連れが頻繁に行くには辛いラインか。年間パスポートのようなものもないですし。場所も交通の便が良いと言えるところではなく、行くとなると一日がかりで行かなければならない人が多いのと思います。人口の少ない地域ですので地元のリピーターを獲得しないとやっていけないような場所ですし。辛口ですが…。

しかし、この辺りの運営については何とかなるような気もします。完全黒字は難しいにしても、、、。一度閉館してしまうと、それまで築いてきた有形無形の財産は無に帰してしまいます。ひろお水族館は意欲のあるスタッフにも恵まれていたようですから、それだけに非常に残念です。
図書館が無料で使えるように、特に公営の水族館・動物園は無料に近い料金で運営してくれてもいいのですが、判断が難しい。水族館・動物園は教育施設の一種として考え れば、人がたくさん訪れるならば優良施設施設と言えるでしょうから。予算が無いなら無いなりに心をわしづかみにするような展示をして、「予算がありません。ここの展示を改善するために寄付をしてください」という立て札と募金箱を置いておけば結構お金が集まるんじゃないかなー、などと素人アザラシファンは 思ってしまいますが。。。

少なくとも「採算が取れない」という理由で公営の水族館・動物園といった類の施設が閉館になるような事はなくなって欲しいものです。そりゃ採算を採れるこの手の施設はそうそうあるものではないはず。ひろお水族館が公営なのかは微妙かもですが。閉館時に際してヤフーニュースに取り上げられてい ましたが「町の補助金がカットされる」とあったので半公営のようなものなのかな?
今後ひろお水族館の施設は高級カレイ(だったかな?)の養殖施設になるそうです。

=以下は追記・好きなことを言っています=

黄金道路(国道336号・広尾~襟裳岬。作るのに大金が投じられたためこの名前)の覆道一個分の予算を回してくれたらひろお水族館の何年分の補助金になるのでしょう。町からは年間2500万円の補助金が出ていたそうですから10年分ではきかないで しょうね、30年分くらいにはなるような気が…。黄金道路では、海沿いに覆道作って開通してありますが、その山側にでかいトンネルを掘って道の付け替えをしています。落盤も多いし地震も多い場所なので道を付け替えるなとは言いませんが、札幌~釧路・帯広を結ぶ大動脈国道よりも立派なトンネルが連続していて驚きまし た。あんなばかでかいトンネルいるのか。

あと広尾は大きな港を持っているし漁業も盛んな場所です。申し訳ないですが海・港のイメージが強くサンタクロースなイメージは持てません。実際に広尾に 行っても「何でここでサンタ?」と思いました。サンタといったら寒いのと海より森なイメージがありますが広尾は太平洋側で北海道の中でも比較的暖かそうな ところだし。寒い森の多い道北の音威子府とか中川とか幌加内とかがサンタならしっくりきそうです。
余計なお世話ですがサンタクロースよりも地元産業に関係のある水族館の方でがんばったほうが良いような。アザラシについては定評がありますし襟裳岬の野生ゼニガタアザラシも近いし。まぁアザラシファンだからそう思うのかもしれませんが…。

2005年11月5日作成

コメント

タイトルとURLをコピーしました