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佐渡の野生のトキを見つけるということ

ここ4回のエントリーにわたり、佐渡の自然に放鳥されたトキを見に行った記録を掲載しました。

https://pixisuke.com/archives/715

佐渡に行く前は、私も「まぁ遠めでも一羽くらいチラッと見ることができればいいかなぁ、見られなくてもしょうがないかな」くらいに思ってましたし、さきほど同行した妻に「佐渡に行く前にトキは見られると思っていた?」と聞いてみたところ、「絶対に見られないと思ってた。(私が)前夜から大騒ぎでいろいろな物資を準備して、夜通しで横浜から新潟まで運転しているのを見て『何張りきってんだ、見られるわけ無いだろ、バーカ』と思ってた。」とのことでした。

結果として、これまで紹介したとおり、朝に佐渡に渡って夕方に発つまでに島内にいる約90羽のうち、10羽くらいは見てきたのですから、それなりに運が良く成果を上げることができたと思います。
佐渡に旅行に行く時に「トキを見たい」という方が検索をしてこのブログにたどり着くこともあると思いますので、トキ捜索の感想やちょっとしたコツを書いておきたいと思います。


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まずトキを見つける話の前に、トキの観察ルールがあるので紹介しておきます。佐渡観光協会のサイトにトキの観察ルールが掲載されております。熟読し厳守されてください。

簡単に言えば①トキに近づかない②車内から観察する③大きな音や光を出さない、が三原則のようです。

さて野生動物と遭遇するには、相手はある程度行動がパターン化されている(「寝る」と「食う」のサイクルはそうそう毎日変わるものでは無い)ので、相応の準備をすれば、ある程度は遭遇確率を上げることが出来るのではないかと思います。

この辺の感覚は本業の野生のアザラシを追っかける嗅覚と一緒です。むしろトキは情報が多いのでアザラシを探すのに比べても、それほど難しくはなかったです。生き物を探す嗅覚は対象動物が違っても役立つな、と思いましたが。
「トキと会えたのは嗅覚の訓練の賜物です」と書いてしまうと元も子もないですので、明文化が可能なトキと会えた「勝因」を書いておきます。

・情報収集をがんばろう。
当然ながら佐渡のどこにでもトキがいるわけでは無いので佐渡に行く前にトキの情報を集めます。どういうところにいるのか、何を食べるのか、どの辺で目撃されているのか、行動時間はどんな具合か等々。野生動物の情報収集をしないで見に行くのは地図を持たずに知らない街にいくようなもんです。行き当たりばったりで見知らぬ街の美味しい店に入る確率は下調べした場合に比べればはるかに下がることは自明です。

情報収集はどんな野生動物を見に行く際にも共通な準備だと思いますが、トキはこの情報収集は非常に楽にできる対象動物です。なぜならトキは人間の手によって野生復帰事業がなされているという手前、生息情報がかなりの精度で把握され、ある程度公開されていますし、さらにマスコミの注目度が高くさまざまな報道発表がなされており情報がそろっていますから。
具体的に言ってしまえば、行政機関系の以下のサイトによってどの辺にトキがいるか大雑把に示してくれているのです!野生アザラシに比べてもなんとも親切なものです(^^)

放鳥トキ情報:大雑把ですが放鳥トキの分布情報やどの辺でよく見かけられるかを示した図面がある。時の個体識別情報なんかもあるのでプリントアウトして持っていくと楽しいかもしれません。

・トキのたより:ここも大雑把ですが最近トキがどこで見られ何をしていたかが掲載されている。
なお、佐渡のトキの保護関係の施設で働かれている方や観光関係の方にトキがどこにいるか聞いても、ピンポイントに「あそこに行けば見られるよ」というような答えはおそらく出てこないと思います。
これは意地悪や嫌がらせでもなんでもなく、トキは野生復帰を目指している半ばの事業であり、デリケートな面を含んでいるということと、また相手はコントロールが出来ない動物でどこにいるかという保証がまるで無いということからであり、至極当然の対応です。

上記のようなサイトの空間スケールレベルの情報でも出しすぎなんじゃないかなという気がしないでもないですが、いろいろな専門家や機関が検討してこの程度なら出しても問題ないということなのでしょう。上記サイトは粗いスケール情報ですが東京23区の1.5倍の広さを持つ佐渡島をトキを求めて回る事に比べれば、このくらいの情報でも相当トキに近づいています。

私が見たのは上記サイトの分布情報のうちトキがいる可能性が高いエリアの範囲内で、かつ何羽か異なる個体を見たので、偶然トキがよく利用する場所に行きついたのではないかと自分では思っております。)

その他、トキに関する報道情報や新聞情報なども出来るだけ集めておきます。私の訪問でも「ハクチョウとトキが一緒にいるのが目撃されている」という直前の報道情報が役立ちました。
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・季節を考えよう
トキは自然の中で暮らしているので、当然四季の影響を受けます。トキ自身も季節によって姿を変えます。トキ保護センターのサイトによると1~8月はトキは繁殖期で上半身は灰黒色。8~1月はほぼ白色。(このブログに掲載してあるトキ写真は11月に撮影ですから白いわけです)また春~初夏は営巣期と子育ての時期。
これを踏まえてトキを見慣れていない人が佐渡に行くのはワンチャンスしかないとして、トキを見つけることが出来る可能性が高いのはいつなのか、考えてみましょう。

まず冬ですが、佐渡は日本海側の新潟県。当然雪が降ります。地面が真っ白になっちゃったら白いトキは見つけにくいだろうな、と単純に思えます。もう少し考えると、さらに雪が降ったら雪道の運転は大変だろうな、と思うでしょうし、雪国の方はトキがいるような田んぼや森の近くの道は除雪されないだろうな、と思うかもしれません。さらに日本海側の新潟の冬の海は大荒れで佐渡汽船が運休になることもあるんじゃ無いだろうか。。。といろいろ想像が膨らみます。どうも冬は厳しそうです。

冬の佐渡には実際に行ったことがないので↑の想像のすべてが正しいかどうか分かりませんが、可能性はなるべく考慮しましょう。正解じゃなくてもいいのです。とにかくトキを見つけにくい要因と見つけやすい要因を考えて、マイナスが少なく観察しやすいのはいつなのかというのを考えればいいのです。
では春はどうでしょうか。春~初夏はトキの営巣~産卵・出産の季節。この頃のトキは非常に神経質になっているので、なるべく近づくのは遠慮したほうが良さそうです。色も白から灰色っぽい色になっていると思いますし、案外目立たないかもしれません。

繁殖期が終わる夏頃は?夏はトキ本体からではない難しさがありそうです。トキがいるのは森や田んぼの周り。夏は田んぼの稲や草の生育も旺盛で丈の高い草が生い茂ります。森も緑が濃い季節。トキの背の高さくらいは覆いかぶさってしまうかもしれません。そんな事情で、慣れていない人がトキを見つけるのは難易度が高そうです。
稲刈りが終わる秋はいかがでしょうか。稲も刈り払われ田んぼの植えは相当見通しが利く状態になります。田んぼは稲刈りが終わり土や刈れた稲の茶色と少し出た雑草の薄い緑色が中心ですが、トキは真っ白になっている季節で目立ちます。気候も比較的安定しており、台風でも来ない限り、佐渡汽船の欠航はまず無いでしょう。
私はこの稲刈りが終わった頃~雪が降る冬前を狙って佐渡に上陸。実際、トキを見つけましたが、これが他の季節だったら見つけられたかな、、、と思います。


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あとトキを見つけるに必携といってもよい物が双眼鏡です。ご飯は1日くらい食わなくても死にませんし、服も一日くらいは着ていなくても風邪や肺炎になるくらいで病院にいけば何とかなるかもしれませんが、双眼鏡が無いことにはトキを見つけることは出来ないといってもいいくらいの重要な道具です。双眼鏡は、あらゆる野生動物を見に行くときは必携の道具と言ってもいい物です。

とはいえ特別な双眼鏡は必要ありませんし、いきなり何万円をするような高い双眼鏡を買う必要も全くありません。

双眼鏡を選ぶコツはこちらにも記載してあります。

トキも増えてきていますので、このくらいで行けると思います。ぜひ美しいトキを堪能されてください。

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