2022年の1月中旬に箱根園水族館に行ってきました。若干遅ればせながら2022年の”アザラシ初め”です。それにしても海獣のいる水族館に行くこと自体が本当に久しぶりです。ブログの記録を遡ったら、2020年8月の三津シーパラダイス以来のようです。
箱根園水族館はこれまで訪問したことがなかった施設なので、ワクワクして行ってまいりました。
箱根園水族館に入館
箱根園水族館は芦ノ湖畔に西武鉄道グループが建設した観光施設群”箱根園”の一角にある水族館です。
施設は水族館単館で成立、、というよりは、観光施設群の一つに水族館がある感じ。なので、水族館の入口も控えめです。
エントランスに入って、目に入るのが大水槽。
山の中の水族館なのに、なかなかの量の海生魚類がいる水槽です。
大水槽は沈船に魚が群れているイメージ。
宮古島やパラオの沈船ダイビングを思い出します。確かに沈船のような構造物は魚の住処になっていました。
箱根園は日本で最も高い位置にある海水の水族館だそうです。個人的にはやはり海水系の魚のほうが見ごたえがあるというか、”水族館!”という感じがします。この海水は同じ西部鉄道系列の三津シーパラダイスから箱根園水族館まで海水を運んでいるそうです!
すごいですが、一方でせっせと海水を海抜0mから726mの高さまで運搬して水族館を維持するというのは、かなりのエネルギー消費量だと思いますので、地球環境への影響を考えると若干後ろめたい気分になってしまいます。水族館は芦ノ湖の畔にあるので、この湖水を使って人工海水、、、にする方がコストがかかるだろうし、非現実的か。。。
水族館の水槽や構造は、”箱根・芦ノ湖畔にあるリゾートの施設群”という位置づけからして、”昭和”な観光地の香りがむんむんしまし、そのイメージ通り、施設も古め&小さい印象です。
大水槽以外は淡水魚展示が中心。箱根園水族館は、近年淡水魚館を閉館し、全体的にスリム化したようなので、おそらく維持コストがかかる海水展示を縮小し、その空いた水槽に淡水魚を入れたのでしょう。淡水魚展示ではガーとかアロワナとかあの手の魚がいたと思います。(この手の海外産の鑑賞淡水魚は興味が薄くあまり覚えていない。。。)
ただ淡水魚展示で興味深かったのは、箱根園水族館が立地する芦ノ湖ならではの外来魚コーナー。芦ノ湖は日本で最初にオオクチバス(ブラックバス)が放流された湖です。
この水槽はおそらく以前はサンゴ礁の魚の展示水槽だったと思われます。擬岩がノウサンゴのようなサンゴそのものですし、照明も妙に明るいので、光合成をおこなう褐虫藻が体内にいるサンゴやイソギンチャク用の物のように見えますので・・・。
ノウサンゴ(の擬岩)を背景に泳ぐ、オオクチバス。自然界ではありえない取り合わせに若干切なさを感じます。コスト削減は仕方ないとはいえ、せめて背景は芦ノ湖っぽくできればいいのにな、、、と思いました。
ただ、明るい照明のおかげでブラックバスを改めてまじまじと見ましたが、なかなか大きくて、見ごたえのある魚だなと思いました。
アザラシプール
水族館の屋内はこのくらいにしてアザラシを見に行きます。水族館本館を出て、屋外のアザラシプールへ。水族館本館から若干距離があり、不思議な動線ではあるのですが、途中鯉がいる池やガチョウに餌が与えられるコーナーなどを経てアザラシプールコーナーに到着です。
プール前に飼育アザラシの紹介がありました。
バイカルアザラシは高齢のオス・アッシュ君とゴマフアザラシは若いメス2頭でぼたんとひまわりの計3頭。
アザラシプール外観はこんな具合。
この広さで3頭飼育なら、アザラシ飼育施設の中でもかなりゆとりがある施設です。
左がバイカルアザラシ。右がゴマフアザラシ。上から見ていても水がきれいとわかるプールで、見ていて気持ちよくなるプールでした。
アザラシショー
ちょうどタイミングよくショーの時間。
ジャンプを披露するゴマフアザラシ。ぼたんかひまわりかは失念。
箱根園名物の”温泉アザラシ”を披露して終了。
温泉アザラシは小道具とアザラシの組み合わせがポイントだと思いました。高齢アザラシが、プールの中で、あまり動かず水中に立ったように、じっとしている様子を見ることはちょいちょいありすからね。とっかりセンターでもそんな具合なアザラシがいたのを覚えています。
アザラシプール水面下部分(おすすめ!)
アザラシショーが終わったので、水族館本館に引き上げようかと思ったのですが、アザラシプールの下に向かう階段が設置されてあることに気づきました。
アザラシは地上で見ると緩慢な生物ですが、水中で見るとなかなか素早く動いており、印象がガラリと変わりますので、これは期待大で水面下部分へ。
そしてやはり水面下のアザラシの様子は面白かったです。
ゴマフアザラシのメス。ぼたんかひまわりかは不明。後ろ足の指というか鰭というか、全開にして力強く泳いでいました。
水中からガラスのこちら側の様子が見えているのかな?目が合った!
ショーでも緩慢な印象だった高齢おっさんアザラシのアッシュ君も体にピタリと前足をくっつけた姿勢で泳ぎまわっていました。
この水面下の様子を眺められる通路には年季の入ったアザラシの解説がありました。
バイカル主体で書いてあるので、アッシュ君が来てから作られたものかな。
結局この水面下のアザラシの様子を観察できる通路に長期滞在してしまいました。訪問が1月だったので、山の中の箱根にあるので、外は寒いですしね。。。
この日は平日で人も少なく、結構なスペースが取られているアザラシの水面下の様子を観察できる通路が貸し切り状態になることも。
アザラシの写真を撮るのに夢中になっている父親にくっついてきた娘。飽きてきているようで、仰向けのような変な格好でアザラシプールを眺めていました。
娘には早期の海獣関係の英才教育を施そうとしてきましたが、残念ながら娘の好きな動物ランキングでは、アザラシは、カワウソ、ホッキョクグマ、ゾウやライオンなどに比べてはるか下位になりそう。。。まぁ嫌いではないようですが。
コツメカワウソ展示
その他、箱根園水族館で気になったもので、水族館本館からアザラシプールに向かう導線の途中にある、一見すると倉庫風の建物。壁にある「コツメカワウソ」のポップな文字が気になります。
カワウソが普通の事務机ような机?台?の上に立っていました。なかなかないですよね、こういう普通の部屋のようなところにいるカワウソ。カワウソは水族館本館の入り口すぐのところにも別の展示ありました。
箱根園水族館の印象や所感のまとめ
さて、箱根園水族館の印象や所感のまとめです。
施設は箱根・芦ノ湖畔に設置されており、周辺の施設ともども、形態も昭和な観光地の香りが強い施設でした。いわゆる昭和の観光地は何か客寄せパンダ的な施設をドーンと建てて、「さぁ楽しめ!」的な雰囲気があったと思いますし、まさに箱根園水族館というのはそのような施設だったと思うのです。
現在の地方観光は、その土地ならではの物を楽しんだり、味わったりしようという流れがあり、そのような取り組みに成功している所が賑わっているように思いますし、そのような観点では「山の中の箱根・芦ノ湖畔に来て、わざわざ水族館に行かなくても。。」となってしまうかもしれません。スタッフさんたち個々は頑張って、少しでも良い展示にしていこうと試行錯誤されている感じを受けるだけに、いかんともしがたい施設の規模感や老朽化が気になってしまいました。
関東には海沿いに強豪水族館も多くそろっていますし、(ぱっと思いつくだけでも、葛西臨海水族園、横浜・八景島シーパラダイス(ここは箱根園と同じ西武グループの運営)、しながわ水族館、新江ノ島水族館。。。)そ、伊豆・箱根エリアで考えても下田海中水族館・三津シーパラダイス(ここも西武グループ)があります。山の中にあるという立地を考えると、これらの施設と真っ向勝負するのは難しいことは想像できます。
大人の通常入館料1500円も施設規模から考えるとかなり強気な設定で、”箱根”という巨大観光地の一見さん狙いだからこそ可能な設定な価格。ちなみに同じ西武グループ系列水族館の横浜・八景島シーパラダイスや三津シーパラダイスは年間パスポートを設定・発行していますが、箱根園は年間パスポートの設定はありません。
なお、周辺の西武鉄道グループの施設である箱根遊覧船や箱根駒ヶ岳ロープウェイのセット券などがあるので、周辺で観光するならセット券にした方がお得になります。私も後述するロープウェイとセット券で入館しました。ロープウェイとセット券で2500円だったかな?
と、以上のような印象でした。国内外から来る一見の観光客狙い色が強い施設と推察しますが、コロナの影響で国内外の遠隔地からの客も減っていると思われますので、どうなるかな。
箱根駒ヶ岳ロープウェーに乗る
このサイトは一応海獣のサイトなので、箱根園水族館を先に紹介しましたが、実は箱根に行った主目的は”ロープウェイに乗る”ことで、箱根園水族館に行ったのはついでだったのです。
この箱根を訪れたのはコロナのまん延防止等重点措置が関東に発動される直前の1月中旬頃。この日は諸事情により、5歳の娘の面倒を私一人で見なければならないのでした。
娘に何をしたいか聞いたところ、「ロープウェイに乗りたい!」とのこと。ちょいちょいお出かけ先でロープウェイを見かけることはあるのですが、まだ乗せたことはありません。箱がロープにつながって、登ったり降りたりしているシステムに惹かれるのはわかります。私も子供のときは同様だったので。いつかボリビアの首都のラパスに行って、ロープウェイの交通システム(ミ・テレフェリコ)に乗せたいところですが、まずはこの日は娘の希望どおり、ロープウェイに乗りに行くことにしました。
さて、神奈川県内のロープウェイといって、真っ先に思い浮かぶのは箱根のアレです。
箱根山戦争の小田急系列の拠点施設の一つで、強羅から大涌谷を通って芦ノ湖畔まで行くやつ。距離も日本最長クラスで、乗りごたえ十分。途中で乗り換えがあるのも珍しいですし面白いです。さらに芦ノ湖畔から海賊船の遊覧船に乗ったら楽しいだろう、、、と思ったのですが、このロープウェイは2022年1月から3月まで定期点検工事で一部区間が運休。その期間は代替バス輸送になるとのこと。ロープウェイに乗りに行くのに代替バスに乗るわけにはいきません。
箱根にはもう一つロープウェイがあります。
こちらは西武鉄道グループ。箱根山戦争の西武グループ側の中核施設。個人的には小田急のロープウェイより西武のほうがマイナーなイメージですが、ロープウェイの山麓側の駅付近は上述した箱根園水族館を含む観光施設群が整備されており、箱根園水族館は未訪問施設で気になっていました。
なので今回はこちらの西武系列のロープウェイに乗る&水族館に行くことにしました。
箱根駒ヶ岳ロープウェイは、二つの大きな箱が山麓と山頂を行き来する交走式と呼ばれるタイプ。
箱根駒ヶ岳ロープウェイは通常価格は往復1800円。私は箱根園水族館とのセット券が売られていたのでそちらを購入しました。
眼下に芦ノ湖、天気が良ければ富士山や駿河湾・相模湾を眺めながら一気に高度を上げます。
ロープウェイの箱にはアザラシの絵が描かれていました。箱根園水族館のアザラシをイメージしているのでしょう、多分。
写真からもわかるとおり、かなり古めの施設です。運行開始は1963年(昭和38年)と約60年前!箱(搬器)は1986年(昭和61年)の35年前です。東海道新幹線の開通・前の東京オリンピック開催年が1964年(昭和39年)ですから、それより先輩。
ロープウェーで登った駒ヶ岳山頂は標高1300m超。山麓駅より600mほど高いのでそれなりに寒い。この日は草が霜で真っ白になっていました。
頂上駅の周辺は、散策路が少し整備されて、箱根元宮神社があるのみ。かつては山頂にもスケート場やロープウェーとは別ルートで山頂に来られるケーブルカーなどの観光施設が整備されていたようですが、これらの遊興施設はすべて撤去されています。
圧巻なのが、ロープウェーの頂上駅そのもの。駅を出て振り返って素で「廃墟?」と思ってしまいました・・・。
ごらんの通り外観はボロボロ。開業当初から60年近くこのままなのか?山頂で気象条件も厳しい地だと思いますが。。。箱根という一流の観光地にもかかわらずこの体裁。建物は大きく、往時の賑わいが偲ばれますが、現在一般に使われているのは乗り場のある1階と2階のトイレのみのようで、かえって痛ましい。
頂上駅の内部も昭和の雰囲気満載。
トイレの案内一つを見ても古いですよね。どこかのローカル線の駅がこんな感じならむしろ好きなのですが、、、。
水族館やロープウェイを含め箱根園周辺の西武グループ系列の施設では老朽化・施設の陳腐化を繕おうとしているけど、繕いきれない様子が見て取れるのです。現場の職員さんは頑張っているのだろうけど、もはや職員の頑張りだけではフォローしきれないものがあり、切ない・・・。
ロープウェーや海賊船の更新を表明した小田急グループとは対照的であります。
箱根山戦争の勝者はどちらか見て取れるように思いますし、素人の利用者目線で考えると戦争ではなく共存していただいた方が相乗効果が生まれ、観光ルートも複雑にできたように思います。例えば箱根駒ヶ岳ロープウェイも箱根ロープウェイと接続するようなルートを作ってロープウェイ網で周遊できるような形にしても面白かっただろううし、遊覧船も西武グループの遊覧船だけが箱根園に接岸するのではなく、海賊船(小田急系列)も寄ってくれれば、箱根園の訪問者も増えるだろうと思いますし、また観光ルートも複雑化して選択の幅が広がり、面白くなっただろうと思います。
企業グループの戦争になるとそう悠長な事を言ってられなかったのだろうと思いますが、駒ヶ岳の山頂にかつてあった遊興施設に想いを馳せ、廃墟寸前になっている箱根駒ヶ岳ロープウェイの施設、老朽化にあえいでいる箱根園の施設群を見ると、利用者目線では切ないものがあります。
娘のほうは楽しかったようで、「ママもロープウェイに乗せてあげたい!」と言っているので、また箱根に行って小田急グループのほうのロープウェイに乗ってこようと思います。
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