サイト内に広告が挿入されています

アザラシと野鳥を求めて天売島へ渡る!~2022年5月北海道日本海側アザラシ紀行②~

2022年5月の北海道のアザラシ旅記録の続きです。(ひとつ前の記録は↓こちら)

留萌市で野生のゴマフアザラシを観察した後、国道239号線を北上し、羽幌町を目指します。

次の目的地は日本海に浮かぶ天売島で、この島に渡る船は羽幌港から出ます。

天売島は日本海に浮かぶ面積が5.47㎞2ほどの小さな島。同じ北海道の離島である利尻島や礼文島に比べてマイナーかもしれません。が、私が北海道の離島で最も好きな島がこの天売島です。アザラシもさることながら、景観が素晴らしい上に、野鳥・特に海鳥も豊富で、そして観光客は少なめなのんびりな雰囲気なのがとても良いのです。

なので、今回の旅行で最も楽しみにしており、計画を立てるときの最優先にしたのが、2008年以来、14年ぶりとなる天売島への上陸でした。

ちなみに先回の2008年に訪問した際にはものすごい数のアザラシがいたのですが、この時の記録は、忙しさにかまけてまとめないまま、14年経ってしまいました・・・。が、その前の2006年に訪問した際の記録はちゃんと作っていたのでリンクを張っておきます。

天売島をはじめて訪問したのがこの2006年。16年前。その頃に生まれた子が高校生になっていると思うと、、、自分も年を取ったな、、、と思います。

天売島行きの船は季節によって、一日の本数が変わります。10月から4月末の連休までは朝9:00発の1日1本。なので、それなりに冬の天売島を楽しもうと思ったら宿泊が必須。さらに、冬季は日本海は荒れがちで、欠航のリスクがあります。私も冬季に何回かアタックをかけては、欠航で跳ね返されております。。。また、天売島に渡ったものの翌日船が出なければ島に閉じ込められることもありうるので、この辺りが天売島の孤高さを高めている所以かもしれません。

今回の旅は5月の平日。5月の連休期間は船の本数が多いのですが、連休以降の5月は一日2本体制になり、羽幌港発8:30発の便と14:00発の便。なので、5月なら朝の便で天売島に行って、午後の便で帰る、、、といったような日帰りでの天売島行きも出来てしまうわけで、格段に便利になります。

詳しいタイムテーブルは羽幌沿海フェリーの公式サイトをどうぞ。

運航ダイヤ

羽幌港のフェリーターミナル

さて、今回私が乗るのは午後の羽幌港発14:00の便。朝に羽田を飛び立ち、新千歳空港からレンタカーを運転すれば、羽幌港の14時には余裕で間に合います。このような芸当ができるのも高速道路網がかなり整備されたから。北海道内の高速道路網の発達はおそろしいものがあります。この日も留萌で野生のアザラシを眺めて30分以上道草しましたし、昼食などを途中で購入したりしましたが、13:00過ぎには羽幌港に着いてしまいました。

以前来たときのフェリーターミナルはもっと四角ばった昭和チックな素敵な建物だったと思うのですが、今風なオサレな建物になっていました。(旧ターミナルの写真は以前のレポートに載っていました。緑の四角い平屋の建物で、大きなオロロンチョウの像が建っていました。今調べたら2013年に新しいターミナルになったようです。)

ターミナルの中には羽幌町の観光案内所が設置されていました。

この日は5月の連休が終わった後の平日だったので、案内所窓口は閉まってひっそりとしていました。天売島・焼尻島のパンフレットや海鳥を中心とした自然情報なども掲示されていて、なかなか面白いです。ウミガラス(オロロンチョウ)もだいぶ見られるようになったようです。

ターミナル内で、懐かしいものも見つけました。。。

このトドの生首剥製くん(正式名称はトド太郎君)は以前の古いターミナルでも見た記憶があります。サイト内検索をしたら、2006年10月の焼尻島レポートに載っていました。新ターミナルにも無事に引っ越しさせてもらえたようでよかったです。、、、しかし改めて、インパクトのある展示です。

出港の時間が近づき、天売島へ渡る船へ。

乗船する船は「おろろん2」。これは16年前と同じ船。この船、船首の赤い「天」マークがかっこいいんですよね。天売島の「天」かな。

羽幌港を出港し、いよいよ天売島へ

定刻通り14:00に羽幌港を出港。徐々に離れる羽幌港フェリーターミナル。

ゆっくりと岸から離れ、しかし後戻りできない出港シーンは、どの船であってもなんともいえない余韻があります。私は船出のときはデッキに出て、小さくなっていく港やその背景の街を眺めるのが好きです。こういったところにも旅の非日常感はあるのだと思います。

多客期・フェリーが点検中などに就航する高速船”さんらいなぁ2″も羽幌港内に係留されていました。

羽幌港内から外海へ。本日は天気は雨がぱらつく曇り模様ですが、風はそれほどでもなく、波はそれほど高くなさそうです。

羽幌港から撮影した上の写真。うっすらと島影が二つ写っていますが、左側が目的地の天売島、右側が焼尻島。フェリーは羽幌港→焼尻島→天売島→焼尻島→羽幌港という順番で運航されます。

というわけで、天売島に行く人も、途中で焼尻港に自動的に立ち寄ることになります。

焼尻島も天売島に劣らぬ大変素晴らしい島。私も3回ほど訪れたことがあり、大群のアザラシを見たこともあります。

今回の旅行では、明日、午前の便で天売島を発ち、焼尻島で途中下船して、焼尻島内を回って午後の便で本土側に戻るつもりです。ということで焼尻島は明日のお楽しみ。

船は焼尻港を出港して、天売島方面へ。

天売島が大きく見えてきます。航路から見る天売島はバランスのとれた端整な姿の島なのです。結構標高があるのが見て取れます。

ほどなく天売港へ入港。この赤い屋根の角ばったこじんまりとしたフェリーターミナルも、頼りなさげな下船口の移動通路も以前と変わらず、本当に懐かしいです。天売島に帰ってきたよー!と叫びたい。

絶景の天売島内を散策

天売島は↓のような島。

この地図は国土地理院の地図で、少し拡大するとより詳細な等高線が出てきますが、天売島で、標高が低いのは港の一部分だけ。港から一気に標高20mくらいまで駆け上がり、大体人家は島の西部~南部半分くらいまでの標高10m~20mくらいの海沿いに集中しています。そして自然が豊富な北側海岸は海沿いから高い崖になっていて、最高地点が180mくらいのアップダウンが続く細い道が島を一周しています。
2006年の時は折り畳み自転車を持ち込んで激坂を登ったりしていましたが、今回は港で原付バイクを借りました。いやー動力機付きの乗り物は快適でした。

さっそく島を周ります。

天売港を出て1分。振り返るとフェリーターミナルやフェリーが見えます。すでに船のアンテナ(?)程度の高さになっているのがわかると思います。

北側海岸へ行く道から集落を見下ろす。もう結構な高さですよね。焼尻島がきれいに見えました。

そして天売島の周回道路の風景は集落を外れるとこんな具合。

幅員2mほどの小さな道が、低木や草原地帯の間を伸びていきます。これが周回道路の北側半分くらいです。ハイシーズンは一方通行になります。

周回道路から何か所か、海側断崖に設けられた展望台に行くことができます。

↓は観音崎展望台。人間の世界というよりは、歩道も含めて周りは海鳥たちの楽園(道の上の糞跡のすさまじいこと!)

不意に来た人間にカモメたちがミャーミャー泣いてきます。さすがに向かっては来ませんが、周囲に人間は一人もいません。海鳥たちのほうが存在感が圧倒的に大きいので、若干怖い。斜面に設けられた小屋が展望台です。

観音崎展望台から島最西部の赤岩方面を望む。海から切り立った断崖になっている天売島北側の厳しい地形がわかります。

この海に面した切り立った断崖は海鳥たちの格好の巣作りの場。天敵に襲われにくいですし、そもそも天売島はキツネがいません。人間が持ち込んだネコが天敵になりますがこれもだいぶ数を減らしたそうです。天売島の海沿いの断崖は海鳥たちの繁殖の楽園になっています。

↑この写真では左に営巣するヒメウとオオセグロカモメ(多分)。

14年ぶりの赤岩灯台へ

観音崎展望台を後にしてさらに西へ。この辺りから道はアップダウンを繰り返しますが、それだけに景観がとても良いのです。

両脇は木はまばらになり細い道が西へ向かって延びるだけの胸がすくような景観。他に人もいないのでこの景観を独占です。(島の人はまず用事がなければ来ない。島の北西部には日常生活を送るのに必要な施設は何もないので。。。)ぶいーんと風を感じる原付の走りが気持ちいいですね~。

そして北西端の赤岩展望台に到着。

この灯台の脇をくるっと回るような遊歩道も2008年と変わっていない。確か以前来た時もこんな感じでした。

赤岩展望台の周辺はウトウの巣だらけ。地面にぼこぼこ巣穴がある異様な風景も相変わらず。

遊歩道を振り返ると、焼尻島が見えました。

そして展望台へ。赤岩展望台は、海の断崖の上にあり、遊歩道から階段を何段か下りて到達するのですが、高所恐怖症の方はちょいと怖いかもしれません。屋根などもありませんしね。

遊歩道の階段の上から展望台を写真に撮るとこんな具合です。

写真の下の四角いところが展望台です。当たり前ですが、しっかり造られていますし、柵もそれなりの高さがあるので、落っこちる心配はありませんが。断崖の上にあるので結構怖い。

赤岩灯台でゴマフアザラシの声と海の変化を眺める

さて、16年前にアザラシを眺めた岩場方向を眺めてみると、やっぱりゴマフアザラシが転がっていました。すでに夕方に差し掛かり、アザラシは岩場に転がったりしてのんびりしているのがほとんど。ただ展望台からアザラシが転がる岩場までかなりの距離がある(500-700mくらい?)ので、写真にはかなり厳しい。

誰も来ない赤岩展望台に座って、双眼鏡でゴマフアザラシを眺めたり、海から崖の上まで舞っている海鳥や営巣している海鳥の様子を眺めます。

この日は天気はいまいちでしたが、夕方の風は穏やか。海鳥の甲高い鳴き声に交じって、時折「ガー」というか「ボー」というかアザラシの叫び声がかすかに聞こえてきました。

小一時間も展望台に座って海を眺めているとすっかり夕方の雰囲気に。天売島からロシアまで何もない西の海に日が沈んでいきます。

朝に羽田を出て、その日の夕方に、たまにアザラシが吠える声のBGM付のこんな風景を独占できる旅も悪くないです。来てよかったな、、と思います。

日の入りまで、赤岩展望台で沈む太陽を見ていたかったのですが、実は夜もイベントがあるので、そこそこに宿へ入ることにします。

80万羽のウトウの帰巣の様子を見に行く

宿で夕飯を取り、夜のメインイベントであるウトウのナイトガイドツアーに参加します。ウトウというのは善知鳥とも書く海鳥(詳しいのが気になる方はwikipediaのウトウの項目を参照ください。)。

天売島はそのウトウの世界最大の繁殖地。天売島では40万ペア(80万羽)が繁殖するそうな。80万ですよ。新潟市とか相模原市といったちょっとした政令市の人口と同じくらい。鳥取県の人口より多い。これだけの数の単一種が一か所に集まって繁殖してそれを人間が比較的手軽に見られる場所というのは、そうないはず。

ウトウは朝早く巣穴(↑に載せた赤岩周辺のあの穴の写真)から飛び立ち、海に出て魚を捕って、夜になったら海から巣に戻ってくるのですが、ナイトガイドツアーでは、夜に巣穴に戻ってくるウトウの様子を観察しようというものです。
ガイドツアーでは、ウトウへの人間の影響を抑えつつ、無人地帯である赤岩周辺で安全に、間近にウトウの帰巣の様子を見ることができます。

大型のバンが宿泊している宿に迎えに来てくれて、他のお客さんととも赤岩灯台へ。ほどなくついた赤岩灯台付近。ほぼ日は落ちており、極かすかにうっすら周りが見える位の明るさですが、異様な雰囲気になっていることがすぐにわかります。バサバサ鳥が飛びまくっているんですもん・・・。

フラッシュは使えないので、30mmのF1.4レンズで、ISO6400、シャッター速度を1/15に固定して赤岩灯台のほうを撮った写真がこちら↓

この黒い点みたいのがすべて海から帰巣してくるウトウ。ものすごい数のウトウが飛び回っていることがわかると思います。

ちなみに灯台は消灯しており、街灯なども一切なし。ウトウはこの真っ暗のなかどうやって飛んできて、自分の巣穴を見分けているのかな、、と思います。

ガイドさんが道沿いのガードレールに一部スポット的なライトをつけてくれました。イタドリの中をウトウがちょろちょろ動き回っていますが、これもものすごい数!

これもフラッシュは使わず、F1.4固定でISOをあげて撮影。以下の写真もフラッシュ無しで撮影です。

↑写真でも3羽か4羽くらいのウトウが写っています。

中にはサービス精神旺盛な個体がいて、目の前に飛び出てきてくれました。人間を見ても、「若干戸惑っている?」くらいの様子で、こちらから派手な動きをしなければ、あまり逃げませんでした。

海で捕まえた小魚(イカナゴ?)を何匹も口にくわえています。くちばしの根元の突起と白い眉毛のように見えるのがウトウの特徴。白い眉毛のような飾り羽根のおかげでかわいく見えます。

結構な数のウトウがそばに寄ってきてくれます。陸の上ではよちよち歩くのでかわいいので、見ていて飽きません。80万羽のウトウが毎日餌をとり続けられる豊かな海がずっと続いていってほしいな、と思います。

小一時間くらいでツアーは終了し、宿に戻ります。翌日も天売島のアザラシ旅は続きます。

天売島旅行の続きはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました