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【北海道は小さい】地図の北海道は実物より大きく描かれている!「北海道の広さネタ」の取り扱いには気を付けよう。

挑戦的なタイトルですが、今回は「日本の地図で描かれている北海道の大きさは実物以上に誇張され描かれることが多いので、地図に騙されて実物以上に北海道をでかく認識しないように気を付けよう」という話です。

別に北海道をディスるつもりはありません。北海道の広さ・広大さを称える「北海道すげー!」という記事やSNS投稿が溢れている昨今、私はむしろ北海道はそんなに大きくないアピールをして、「え、北海道ってそんなに小さいの?そんなら札幌のついでに網走とか釧路とか稚内とか行ってみようか?」という人を増やしたい。北海道のさらに地方にも注目してほしい、、という目的のためです。
(私も北海道に7年ほど住んでいて、今でも年に数回は北海道の地方に行っている北海道をこよなく愛しております。)

”北海道の大きさ”を実物以上のサイズに誤解させる日本の地図事情

さて上には「地図が北海道の大きさを誇張して描かれている」としましたが、そんな書き方をした背景から始めます。

北海道は全都道府県の中では、ぶっちぎりで広さ1位の都道府県であることは事実ですが、日本でよく使われている地図は、北海道の実物以上の広さがあるかのような刷り込みを我々の深層心理に植え付けようとしてきます。これは印象操作、陰謀と思うくらい。インターネットやSNS上で北海道の広さや距離ネタで、北海道の広さを称えるような記事の中には、そのような陰謀・印象操作を鵜呑みにして記載しているような記事もあるので、気を付けましょう。まずはその印象操作の手法から暴いていきます。

さて、北海道の面積は77,984.42平方キロメートル(北方領土・離島を除く)、九州の面積は36,782.50平方キロメートル(これも離島除く)。九州の約2倍ちょいの面積を持つ北海道、、、という前提で以下の慣れ親しんだ日本列島地図(国土地理院の電子国土webの地図)を改めてご覧ください。

、、、「北海道の大きさは九州の2倍どころではなく、3倍くらいあるんじゃね???」と見えませんか?

このように北海道が実サイズ以上に大きく見せられれるカラクリは地図の描かれ方。確かに北海道は大きいのですが、日本でよく見る地図では本州や九州など南の地域に比べ、実際の比率以上に大きく北海道は描かれており、印象として実サイズ以上に「北海道はでかい」と我々の深層心理に入ってきます。

なぜこのようなことが起こるかですが、ポイントは地図の図法・描き方。
・日本で最もよく目にする上図のような国土全部が入った地図はメルカトル図法(派生したユニバーサル横メルカトル図法等も含む)により描かれた地図が一般的。
国土地理院の地図サイトの電子国土webgoogleマップなどのインターネット上でよく使う地図、NHKの天気予報に用いられる全国の地図もメルカトル図法による地図が採用されている。

メルカトル図法。中学校や高校の地理の時間に地図の図法の勉強はやりましたね。メルカトル図法により描かれた地図はどのような地図になるか、特徴を覚えていますでしょうか?ざっくり言うと方位は正しく描かれるが、両極に近づくほど実際の面積より拡大されて描かれます。(詳しくはwikipediaの記事を参照ください。)

もっと直感的みると、地理院の電子国土webの地図をどんどん引いていって、世界すべてが写り込むくらいに引くと以下のような地図になります。

両極(北極・南極)付近の高緯度陸地が赤道付近の低緯度陸地に比べて大きく描かれているのがよくわかります。南極大陸が世界の陸地の過半数を占める勢いで圧倒的に大きく描かれていますし、オーストラリア大陸や南米大陸より北極に近いグリーンランドが大きく見えます。実際のサイズは
① ユーラシア大陸 54,000,000(km²)(アジア大陸 43,820,000 + ヨーロッパ大陸 10,180,000)
② アフリカ大陸 30,370,000(km²)
③ 北アメリカ大陸 24,490,000(km²)
④ 南アメリカ大陸 17,840,000(km²)
⑤ 南極大陸 13,720,000(km²)
⑥ オーストラリア大陸 9,008,500(km²)
、、、グリーンランド2,166,000( km²)

メルカトル図法により描かれた地図は、両極に近づくにつれ拡大されて描かれることがわかりますよね。

このように、メルカトル図法により描かれる図は、日本国内の地図でも(赤道側に近い)沖縄九州や四国、本州に比して、これが実物のサイズ以上に北海道が大きく描かれていることになります。

国土地理院の地図の全国各地と北海道の見かけの縮尺の違いを可視化する

国土地理院の電子国土webを使って、日常的に使っている地図でどのくらい北海道が大きく描かれているか見てみましょう。以下のとおり、稚内・函館・東京・沖縄の地図を4枚用意しました。

電子国土webは左下に拡大を調整するバー(上下に+-が描かれたもの)と縮尺が左下に表示されます。4枚の地図とも+-のバーは同じ位置にあり、拡大率は一緒、つまり拡大率は変えずに画面をスクロールしまくって、各地の地図をスクリーンショットで採取したということになります。

この地図を北から4枚縦方向に並べて左下の縮尺のスケールに注目すると、、、

同じ10kmの長さでも稚内が圧倒的に大きく描かれていることが分かります私のPCのモニター上で測ると、10kmのスケールの長さが稚内が2.6cm、函館が2.4cm、東京が2.2cm、沖縄が2.0cmくらいで表示されています。沖縄に比べ稚内が長さで1.3倍も大きく描かれています。面積では縦×横になるので1.3×1.3倍=1.69倍ほど拡大されてしまいます。そして北海道内でも函館と稚内でスケールが異なるくらいの歪みが出てきてしまうのです。

小縮尺の図でも比べましょう。北海道・九州・沖縄の地図を用意しました。

プラスとマイナスの拡大率は同じことが確認できます。縦方向に重ねると、、、

北海道の地図は100kmの縮尺から50kmの縮尺になったので二つ並べました。100kmについて私の作業環境では、沖縄は2.6cmで描かれますが、九州は2.7cm、北海道は3.2cm。計算上は長さで1.23倍、面積で1.5倍ほど北海道が拡大されています。小縮尺なので、那覇と稚内を大縮尺図で比較するほどの極端の差にはなりませんでしたが、やはり2割くらいは北海道が拡大されて描かれている結果になりました。

皆さんも電子国土webやグーグルmapで縮尺表示の変化にも注目していじってみてください。

北海道が膨張して描かれているメルカトル図法の地図と比較的まともに面積が正しく描かれている地図を比較するとどうなる?

ではメルカトル図法により誇張された北海道が掲載されている地図と、その歪みを正した地図を比較してみましょう、と思ったのですが、これがなかなか難しい。球体の地球を完全に歪みなく平面に描くことは無理なので。。。

比較的正しく表現されていて、わかりやすいのが、地球儀のように球面の地球を画面上で再現した地理院地図globeかな、と思いまして、これとメルカトル図法の地理院電子国土webの地図を比較したいと思います。同じ地理院の地図なので直感的にわかりやすいですし。

完全に縮尺を一致させることはできないのですが、だいたい北海道の辺りのサイズ感をそろえてスクリーンショットしたのが以下の2地図。

地理院地図Globeのほうは、本州が太っていますし、特に南側の九州のサイズが大きくなっていること、また南側に拡大されているので台湾が写らなくなっています。この辺りに着目し、以下の比較アニメーションGIFをご確認ください。

全体的に下(南)のほうが拡大されていて、特に九州や四国の面積が大きく異なるのがよくわかります。

北海道の面積の広大さや距離の長大さを称えるネット記事やSNS投稿を斬る!

このような地図事情ですので、北海道の面積や距離を称える記事やSNSネタは定番ですが、そのような記事でも地図を使ったものには注意を払わなければなりません。メルカトル図法で描かれた同一地図内の図を用いて、北海道内の面積や距離を本州などの特定の地域と比較するようなやつですね。しっかりと地図の縮尺を検証して、補正をしているような記事は良いのですが、単純にメルカトル図法上の同一地図で比較してしまっているような記事もよく見かけますので。

①北海道を本州のサイズと比較するようなネタには気を付けよう

以下の地図では北海道のサイズはそのままくり抜いて、本州の真ん中あたりに移して、わかりやすいように色を変えました。

北海道の一番左下(白神岬という場所ですが、いまいちマイナーですね。)を徳島に合わせました。すると北海道の右下側(納沙布岬)はちょうど水戸の辺りになります。白神岬-納沙布岬の直線距離=徳島ー水戸の直線距離!「うわー、北海道広い!!」と思ったら負け。この二つの距離は正しくは以下の通りです。

北海道の左下・白神岬ー納沙布岬は510km、徳島ー水戸は約600㎞。(距離測定は電子国土webの2点間の距離計測機能を使っています。)北海道が2割近く水増しされています。

まさにメルカトル図法のマジックですね。なお、徳島‐東京が510kmほどで、白神岬ー納沙布岬ほぼ同じ距離になります。

まぁ白神岬-納沙布岬=東京-徳島の直線距離というのもなかなかのものではありますが。。。

②九州と北海道の長さを比較してみるネタ

もう一つやってみましょう。今度は九州を切り取って北海道の右側に持ってきました。

九州最南端の佐田岬と北海道の南に出っ張っている襟裳岬の南北方向を合わせて置いてみました。南北方向では九州佐田岬~最北端の門司と北海道の襟裳岬~日本海側の天売・焼尻島のちょい北辺りが同じような緯度(南北方向の距離は同じ)にあるように見えます。

しかし、実際にこの距離は以下のとおり。(地理院電子国土webの距離計測機能で測定)

襟裳岬ー焼尻島より、九州の南北方向のほうが40kmほど、1.2倍弱、長いのです。まとめると以下のようなこんな感じ。

北海道がメルカトル図法上では拡大されていることがよくわかりつつ、メルカトル図法で描かれた同一地図内で距離や面積を比較することの危うさが実感できると思います。

北海道の面積や距離ネタで地図を使う場合は縮尺や図法などの差を補正した地図でやりましょう。

③北海道の中に都道県の地図を持ってきて比較するネタにも注意しよう

このような北海道の中に各県を入れて、北海道広いなーという印象を与えるような図。

これもメルカトル図法で描かれた地図のパズルで、距離の補正を考えずに行うと不正確なものになります。

中にはちゃんと距離や大きさを補正されているものもありますが、注意しましょう。

~まとめ~北海道はそんなに大きくないから、ぜひ北海道内の地方へ!

北海道内は、見渡す限り人工物がほぼないような雄大な光景が広がっているような場所も多くありますし、人口密度も小さいので、とーっても広い印象を持ちますが、本州のほうが圧倒的に広大な上に都市や人間もたくさんあるわけで、本州に比したら北海道は小島もいいところ。
島の形状も横長な本州に比べ、北海道は円状に近いですし、人や都市も少ないので北海道は移動の時間距離も圧倒的に短い。半日あれば隅から隅まで行けるくらいの北海道。

そのくらいの小島なので、北海道に行こうかなと思ったら、札幌近郊だけではなく、網走や釧路、根室などまでぜひ足を延ばしてください!!札幌近辺だけで北海道だと思ったらとってももったいないのです。

アザラシ旅視点で考えると東京発で1泊あればオホーツク海側(オホーツクとっかりセンター)と日本海側(おたる水族館)を回って帰ってくることができますし、1日で根室から稚内までアザラシを堪能しながら移動するのが十分可能であります。以下の記事にモデルケースとなるようなコースも示しておりますので、ぜひっ!

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