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国立科学博物館 特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」をアザラシ好き目線で紹介。アザラシ・海獣好きな人は上野へ急げ!

上野の国立科学博物館で特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」が2024年3月16日(土)~6月16日(日)の予定で開催しております。

大哺乳類展3-わけてつなげて大行進
2024年3月16日(土)~6月16日(日)国立科学博物館(東京・上野公園)

特別展の公式サイトのアナウンスにも「キタゾウアザラシのはく製が初公開」とありますし、アザラシ好きな人々にはとーっても気になるこの特別展。我が家も4月の半ばに訪問して参りました。

今回はアザラシ・海獣好きな人の目線で見た「大哺乳類展3」の魅力や必見ポイントを紹介・記録しようと思います。

なお「大哺乳類展3」では、本当にたくさんの哺乳類の展示があり、ゾウ、モグラにコウモリ、センザンコウなど、海獣やアザラシ以外の哺乳類の展示のほうが圧倒的に多て、これもまた興味深いものが多いのですが、今回は海獣にフォーカスします。

海獣のはく製展示コーナー

「大哺乳類展3」公式サイトには以下のような記載があります。

会場中央を横断する大ステージでは、国立科学博物館が誇る哺乳類の剝製標本が「大行進」!

2019年に開催した前回展よりもさらにスケールアップし、陸と海の哺乳類あわせて約200点の標本が、本展のテーマに即して関係性の近いグループごとに行進する様子を楽しめます。

https://mammals3.exhibit.jp/

こちらの記載のとおり本当にたくさんの哺乳類はく製の展示があって圧倒されたのですが、海獣のはく製展示は大哺乳類展3の最後、ハイライトともいえる位置にありました。

大きいものからちっこい海獣までかなりのボリューム感!

ちょっと引いて横から撮影。会場の雰囲気はこんな具合でした。天井に吊るされているのはシロナガスクジラやイッカクなどのクジラの仲間の骨。地平に陸生哺乳類やアザラシなどの鰭脚類のはく製が並んでいます。

我が家は上野公園の桜が散った後、5月の連休に入る前の4月半ばの週末の午前9時台に入場したのですが、それでもこの混雑具合!関心の高さが伺えます。平日の訪問がおすすめです。

ちょっと角度を変えて、アザラシの尻尾・背中側から。坊主頭たちがたくさんいる!多くの種類のアザラシを含む海獣類がいるのが分かります。

アザラシの仲間のはく製

今回の大哺乳類展3で展示されていたアザラシの仲間のはく製は以下のような雰囲気で展示されていました。

日本近海に生息するアザラシ5種(ゴマフアザラシ・ゼニガタアザラシ・ワモンアザラシ・クラカケアザラシ・アゴヒゲアザラシ)をコンプリート!

はく製とはいえ、この5種を一か所で見られるのはとても珍しいことです。

他、今回の大哺乳類展3で初公開となるキタゾウアザラシ、南極に生息するヒョウアザラシ、ウェッデルアザラシ、そして体が大きいミナミゾウアザラシのはく製が展示されていました。

↓展示ラベル。

それぞれの種ごとにはく製を見ていきましょう。

ゴマフアザラシ(幼体)・ワモンアザラシ(幼体)

大哺乳類展3で展示されているアザラシたちのはく製のうち、ひと際小さいのがこちら2体でゴマフアザラシとワモンアザラシ。2種とも幼体の展示になります。

上がゴマフアザラシ(幼体)で、下がワモンアザラシ(幼体)。本当に小さいはく製。ワモンアザラシの顔の前に少しトドの前足が写っていますが、大きさの差は歴然。

小学校2年の娘が自分のデジタルカメラ(CanonのIXY 930 IS)で撮影。私が撮るとどうしても上から見下ろすような写真になるのですが、娘は背が小さいので剥製と同じ目線の高さだったり、見上げたり、面白い写真が多い。今回は彼女が撮影した写真を一部借りております。

ゴマフアザラシは産まれたばかりの白い毛に覆われた幼獣のはく製。ゴマフ模様は全然出てきていません。ワモンアザラシも白い毛に覆われて産まれてくるのですが、この剥製の個体は白い毛は抜けちて、模様が出てきている段階。ただ、やはり幼獣のためなのか、あまりワモンアザラシぽくない模様に思いました。

↓私の中でスタンダードなワモンアザラシの体表の模様はこんな感じ。漢字表記では「輪紋海豹」と書く通りの模様ですからね。

ワモンアザラシ(おたる水族館で撮影)

ゼニガタアザラシ・クラカケアザラシ

続いてゼニガタアザラシとクラカケアザラシのはく製です。両種とも日本近海に生息するアザラシ5種に含まれる種です。

左側がクラカケアザラシ。右側がゼニガタアザラシ。両方ともかなり古そうなはく製。特にゼニガタアザラシは退色が著しい。生きている時は以下の参考画像のような具合ですが、国立科学博物館から歩いて5分くらいの所にある上野動物園ではゼニガタアザラシが飼育されているので、もし余裕があれば上野で生体の実物を見ることもできます。

ゼニガタアザラシ(釧路動物園で撮影)

アゴヒゲアザラシ

次は日本近海生息5種アザラシの最後の登場となるアゴヒゲアザラシです。

名前のとおり口の周りのヒゲが立派なアザラシ。これも古そうな剥製です。

キタゾウアザラシ

続いて海外に生息するアザラシ達のはく製。最初は今回の大哺乳類展3のアザラシ類の展示では目玉である初公開となるキタゾウアザラシのはく製。

確かに日本のアザラシと比べても、鼻が長いアザラシです。

こちらのはく製は加茂水族館で2017年‐2022年に飼育していたキタゾウアザラシのメス個体のはく製のようです。(→https://kamo-kurage.jp/oshirase/post-kurage15521/

キタゾウアザラシは、通常は北アメリカ大陸の西岸(アラスカ~カリフォルニア、メキシコ)に分布する種で、オスとメスで大きさが圧倒的に異なり、オスは体重2000kg前後、メスは体重300〜600kgとのこと。今回展示されているのはメス個体なので小さい、、、とはいえ、隣の日本近海に住む5種アザラシの中で最大のアゴヒゲアザラシより大きい。

ミナミゾウアザラシ

次はアザラシ科、、どころか、アシカ科・セイウチ科を入れたいわゆる「鰭脚類」の中で最大の体サイズとなるのがこのミナミゾウアザラシのはく製。その巨体ゆえに大哺乳類展3の会場全体を見渡しても存在感は圧倒的

ミナミゾウアザラシのオスの体重は3000kgを越えることもある種。ほぼアジアゾウのような大きさ。

↑小2の娘撮影写真。彼女は横から巨大さがよくわかる写真を撮っていた。ミナミゾウアザラシのこの剥製は、4~5人用テントより大きそうで、中でファミリーが1泊できるスペースはあります。

これも娘撮影写真。下から見上げるように撮影。鼻のゾウ部分はキタゾウアザラシのほうが長くなるそうです。

ウェッデルアザラシ

次は南極海に住むウェッデルアザラシ。ゴマフ、ゼニガタ、クラカケに向かって左側にいる大きめのアザラシです。

ウェッデルアザラシは科博の常設展示でも展示されているのですが、常設展示のほうは幼獣の展示なので小さい。大哺乳類展3では大人のウェッデルアザラシを展示。成獣になるとかなり大きいアザラシであることが分かります!

ウェッデルアザラシは2体展示で、もう一体展示されています。キタゾウアザラシ、アゴヒゲアザラシの向こう側で、左側に頭を向けているはく製もウェッデルアザラシ。やはり相当大きいアザラシです。

ヒョウアザラシ

アザラシ科、最後のはく製はヒョウアザラシ。この種も南極海に生息する種。

ヒョウアザラシもかなり大型のアザラシ。アザラシは魚やイカやタコ、貝類、プランクトンなどを食べている種がほとんどですが、ヒョウアザラシだけは、ペンギンやウェッデルアザラシなど鳥類や哺乳類を襲って食べることもあるそうで、なかなか気性が荒そうなアザラシです。そんなイメージのせいか、口も大きく開いて大きな獲物を取りやすそうな構造ですし、表情もどことなく凶悪そう!

なお、「大哺乳類3」では巨体のセイウチやトドのはく製の向こう側に置かれていて、鰭脚類のはく製の中で撮影が最も難しい種がヒョウアザラシでした。↑写真の下に写り込んでいる茶色いのはセイウチの背中です。

アシカの仲間のはく製

次いで鰭脚類でアザラシ科と双璧をなすアシカ科のはく製。アシカ科からはトド、カリフォルニアアシカ、オットセイ(キタオットセイ)の三種が展示されていました。

オットセイはキタオットセイとも呼ばれます。(私はキタオットセイの呼び方の方が馴れている)

トド

日本近海にいる海獣の中で最大の体を持つトド。大哺乳類3では大型のオス個体のはく製が展示されていたので、かなりの存在感。

写真右側にツキノワグマのなかなか立派な個体がいますが、トドのほうが圧倒的にでかいですよね・・・?

オットセイ

日本近海に住むアシカ科のもう一つの種がオットセイ(キタオットセイ)。今回の大哺乳類展3の展示はく製は幼獣でした。相当小さい個体です。

この写真は小2の娘撮影。はく製と同じ目線で撮影して、良い写真を撮っていました。

カリフォルニアアシカ

アシカ科の3種目はカリフォルニアアシカ。名前のとおりカリフォルニア、アメリカ大陸西岸にいます。はく製はヒョウアザラシの前、トドの後ろ、セイウチの横の辺りにいました。

周りが普段見ない大型種に囲まれてるので感覚がおかしくなるけど、これも比較的小型の個体のはく製かな?

セイウチのはく製

鰭脚類の最後に紹介するはく製はセイウチ科を一種で構成するセイウチ。長い牙と髭が特徴的です。

大哺乳類3ではアザラシ達を率いるようなポジションに鎮座していました。牙が短めなのでメス個体のはく製かな?

大人のセイウチの前には子供セイウチの2頭のはく製がいました。子どもでもそこそこ大きさがあります。さすがセイウチ。(※娘撮影写真)

ラッコのはく製

次は海獣のはく製紹介では最後で、ラッコのはく製です。

このはく製を見た瞬間、昨年の科博の特別展「海ー生命のみなもとー」で展示されていたラッコの剥製か!と思いました。しかし、海展は2024年3月から6月は名古屋で開催しているので、なんでこの剥製が大哺乳類展に??とも思うし。似ているけど海展のラッコのはく製とは異なるはく製かな?

アザラシ・海獣の骨格標本

大哺乳類展3ははく製だけではなく骨格標本の展示もあります。これも面白い視点で展示されていました!

ミナミゾウアザラシの全身骨格標本

巨体のミナミゾウアザラシの骨格標本。圧巻です。

飼育されていたオスのミナミゾウアザラシの全身骨格標本。

標本のラベル↓

江ノ島水族館で1960~70年代に飼育されていたオスの骨格のようです。60年前に超大型のミナミゾウアザラシを水族館で飼育していたことも驚きです。

骨格の前足のアップ。人間でいうならば人差し指の骨が一番長くて、次いで長いのが親指なんですね。

鰭脚類3科(アシカ科・アザラシ科・セイウチ科)の骨格標本の比較展示

鰭脚類のアシカ科・アザラシ科・セイウチ科のそれぞれの全身骨格標本が比較できるように並べられていました。何気に3科並んでいる骨格標本は珍しいように思います。

左下がゴマフアザラシ、中央上がセイウチ、右下がカリフォルニアアシカ。アザラシだけ明確に後脚が寝たままで四本足で歩けないことが骨格レベルでもわかります。

カニクイアザラシの頭骨標本

南極に生息するカニクイアザラシの頭骨標本の展示。

名前はカニクイですが、このアザラシが食べるのはナンキョクオキアミ。そしてこのアザラシの最大の特徴は、解説にもある通り複雑な形状の歯です。

歯の部分をアップしましょう。

まるで彫刻のような複雑な形をしたこの歯!いや、よくこんな形の歯に進化したな、と驚きます。この歯の隙間で海水を濾してオキアミを食べるようですが、納得します。大哺乳類展3の海獣展示の中では比較的地味な展示ではありますが、アザラシ好きな方は必見です。

クジラやイルカの展示

スペースの関係と私の興味の強弱の関係で省きましたが、「海獣」にはアシカやアザラシの仲間だけではなくクジラやイルカの仲間も含まれます。実際この大哺乳類3の海獣展示は、アザラシやアシカなどの鰭脚類より、クジラ・イルカの仲間の展示のほうが力が入っているように思いました。クジラやイルカ好きな方にむしろおススメ。

↑アカボウクジラの胃の展示。(※娘撮影写真)

↑スナメリの陰茎の展示もありました。ほほう。

大哺乳類展3を監修されたお一人が田島木綿子さんで、田島さんはやはりクジラなイメージが強いですし、クジラやイルカ展示からはアザラシ展示以上に熱を感じました。

【大哺乳類展3】監修者インタビュー

大哺乳類展3の感想・まとめ

何より日本近海に住む5種のアザラシが勢ぞろいしているのは本当にレアですし、何なら日本周辺に住むアシカ科のトドと(キタ)オットセイもいたので、現生の日本近海に住む鰭脚類コンプリートです。これに近年絶滅したであろうニホンアシカのはく製でも一緒に置いてあれば日本の海獣好きな人にとっては失禁ものになります。大哺乳類展4では失禁を期待しましょう。

大哺乳類展3はアザラシ好き、海獣好きな人はとっても楽しめると思います!2024年6月16日まで国立科学博物館でやっています。東京・上野公園に遊びに来ている方は上野動物園だけに行ってる場合ではありません!同じ上野公園内にある国立科学博物館もぜひ!!

、、、と、ここで終われば美しいのですが、しょうもない指摘を2点ほど。

しょうもない指摘① ウェッデルアザラシさん…

大哺乳類展3のはく製展示でアザラシ科の中で唯一2個体展示されていたのがウェッデルアザラシ、、、。なのですが、この種は2頭の展示必要??南極近海に生息する種で日本人にはなじみは薄いし、2体の展示が必要だったのかなぁ。

私が自由に展示を変えられるなら上の赤枠の個体をout(もしくは奥の逆向きウェッデルをoutにして最前の赤囲みウェッデルを奥に移す)にして、日本で最もスタンダードなゴマフアザラシ成獣をinさせたいっ。ウェッデルアザラシはでかいので、なんならゴマフアザラシ成獣+ワモンアザラシ成獣くらい置けそうですし、最前線の良いポジションを日本のアザラシで占めることができます。

しょうもない指摘② ミナミゾウアザラシの前になぜか鎮座するこの剥製

とーってもでかくて目立つミナミゾウアザラシの剥製の前にいるのが、、、

なぜかセンザンコウ。赤丸で囲ったのがセンザンコウのはく製。周りはミナミゾウアザラシをはじめ完全にアザラシたちに制圧されているのに、ぽっとセンザンコウ。

確かにこの写真左側にセンザンコウ関連の展示があり、それはそれで面白いのだけども、そちらにもセンザンコウのはく製があるので、このミナミゾウアザラシの真ん前、周辺は完全にアザラシたちの王国となっているこの場所にセンザンコウを置く必要はないような…?

引いてこの辺りの写真を撮ると、アザラシたちの中にセンザンコウが一匹紛れ込んでいる感じになるので、とってもシュール。。。センザンコウもせめてもうちょっと陸生動物の集まったそれっぽいところに置いてあげたくなります。

以上2点、私のしょうもない指摘ですが、ただこれも含め、海獣好きな方にはとても楽しめる企画展だと思いますのでぜひ上野へ!

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国立科学博物館は常設展でもアザラシ関係の展示が充実しています。未訪問の方は特別展と合わせてぜひ常設展も!特別展のチケットがあれば常設展も追加料金なしで見ることができます。科博常設展のアザラシ関連展示の紹介は以下に載せています。

時間があったら同じ上野公園内の上野動物園にもぜひ。科博から歩いて5分くらいで行けます。ゼニガタアザラシをはじめたくさんの生きた哺乳類たちが待っています!

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