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生き物が溢れる知床の海~2014夏・北海道旅行・その5~

北海道三日目。

これまでの旅の記録はこちら。

今日はウトロから知床半島の羅臼側に移動し、海でダイビングの予定です。ダイビングへの出発は朝の7時予定。

私はほの暗い早朝に目が覚め、5時くらいから一人で海岸辺りをうろうろしますが、あまり収穫が無く早々に宿に引き上げます。二度寝もできる雰囲気では無いのでカメラの防水ケースのセッティングをしたり、水中ライトのバッテリーを確認したりして、時間になったら妻を起こし出発です。

アザラシの暮らしている海に潜りたい

さて、知床の海はアザラシたちが暮らす海であり、アザラシを追いかける探究心からは、彼らが暮らす海の中の様子を見たいし、できれば実際に泳いでみたい。幸いダイビングのライセンスも取り、それなりの経験も積んできました。知床では流氷ダイビングが有名ですが、どうやら夏も営業しているらしい、、、ということが分かりました。それなら一度知床の海の中を見てみようと思います。

お世話になるのは知床ダイビング企画さん。多分、知床でダイビングをやろうと思ったら、こちらにお世話になるしかないだろう。。。というお店です。冬は流氷ダイビングもやっているそうです。

知床の夏のダイビング、海に入るまでの準備

今回のダイビングでは私は初めてのドライスーツ着用です。いつもはウェットスーツでダイビング。この違いは海水が肌まで浸入してくるかして来ないかの差であり、ドライは完全に防水されており、基本的には海水が肌に触れることは無い。逆にいうと水が出たり入ったりしないので、オシッコを海の中でやったら大変なことになってしまう。ウェットスーツはオシッコをしてもそのまま大海原に拡散していきますが・・・。ですのでウェットスーツのときは濡れてしまってもいいように水着を着てその上にウェットを着るのですが、今回は極普通の町を歩く格好、、、どころかヒートテックのタイツみたいのを上下、トレーナー、さらにフリース、、、と冬のような恰好になります。

季節は7月で、海水温も上がってきているようですが今でも10~12度とのこと。とてもウェットスーツでは海中で耐えられない水温ですし、ドライでも体温はどんどん奪われていくので着込まないと寒くて辛くなってくるらしく上述のように着込んでくるように指示を受けました。もう海に入る前から冷や水を浴びせられる気分です。

能書きはこのくらいにして海へ。本日のダイビングポイントです。羅臼市街から車で10分もかからない浜です。縦長の岩が印象的なこのポイントの名前は「ローソク岩」。沖の岩はアザラシが上がってもおかしくなさそうな素敵な岩ですが、浜側は人工物が多く、人通りもそれなりにあり、ちょっと厳しいか。
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沖の岩ではオオセグロカモメのコロニーが。繁殖シーズンも終わりかけですが、まだ巣が見えます。
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いよいよドライスーツを着ます。着るのが大変なドライスーツ。天気が良く日が差していることもあり、着るだけで汗が出てきます。さらにフードも被り、分厚い手袋も嵌めます。着用するウェイトはなんと16kg!着込んだ衣類が空気を含んでいるのでウエイトも重くなります。ウェットスーツだと3~4kgくらいのものですが。。。さらにBCやタンクを背負って、装備一式は30kgくらいか?動きにくいドライスーツを着て海に入る前から汗だくになります。

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波打ち際の石も藻が生えてつるつるしてスッ転んだら面倒なことになりそう。さらにマスクで視界は狭くなるし、フードで狭苦しい感じだし、なかなか大変です。入る前から、これで1時間ほど暗くて冷たい(先入観)海に入るのかな、と早くもげんなりします。それにしても暑いからもうさっさと海に入りたい、、、と思いながら入水。

いよいよ知床の海の中へ!

、、、ネガティブな気持ちで海に入った瞬間に広がっていた光景はこれ↓

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海底一面コンブを中心とした海藻が生い茂り、そこに光が差し込んで輝いており、なんじゃこりゃーー!!っという世界が広がっていました。一瞬で知床の海が豊饒の海であることを理解できる風景です。透明度が高くないですが、これも栄養がたくさんある証拠。コンブも光合成をしまくって生産量を高め、海の中も真夏に向かって爆発的に生物量が増えている瞬間です。

知床の海というと、表面が流氷に覆われている印象やそこで取れる魚介類(ホッケやタラ)の印象が強いせいか、「冷たく暗い」という先入観をなんとなーく持っていましたが一瞬で吹き飛びました。

ダイビングをやっていてこんなに衝撃を受けたことはなかったかも。。。そしてこのような感動のために遠くからやってきて面倒なフィールドに出るのかもしれません。

豊饒な知床の海の中の生きものたち

笑っちゃうくらいたくさん群れているエゾバフンウニ。ウニ丼何人前だよ、という勢いです。こんな群れが至る所にあります。。。ウニは単価が高いですし、こんなにあっさりとたくさん群れているとは思わなかったです。
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ウニの餌は海藻。ここらのウニは高級品で知られる羅臼昆布が餌という贅沢な生活です。そりゃウニも旨いわけです。ウニが昆布を食べると穴を開けます。穴が開くとその昆布の価格は下がってしまいます。昆布の味は変わらないですが、コンブ漁にとっては厄介な存在でもあります。

なぜかウニの殻を頭の上に乗せている変わったウニも。
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コンブは他の動物に住処を提供します。左上の丸っこい魚がホテイウオの子供。おたまじゃくしみたいな見た目で愛らしいですが大きくなると鍋の素材になる魚です。下の三角のものも生物で、ヒガサクラゲというクラゲの仲間。コンブにぶら下がって暮らしていました。
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ホテイウオの子供は物にやたらくっついてくるようで、手袋の指先にもくっついてきました。手袋の指の太さと比べてもこの大きさなので、海中でピントを合わせるのが辛いです。
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ウミウシも海藻の上に。
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カレイもいっぱいいて、煮付けにしたら旨そうなのが、あっちもこっちでもひらひら泳いでいます。スナガレイとマガレイがほとんど。
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炎が燃えるようなオレンジの枠に囲まれた、どこに焦点が合っているかよくわからない青い目。分厚いタラコ唇で藻かなにかを食っています。
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カムチャッカモエビ。鮮やかな赤色と白い目が印象的です。(妻が撮影)
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こっちはカラフトシマモエビ。岩の隙間にいてピンが甘いですが。カラフトとかカムチャッカとかが北の海っぽくて素敵。
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ツマベニホンヤドカリ。左がオス、右がメス。手をつないでいるのでオスがメスに受け入れてもらってカップルとのこと。、、しかし、右のメスの体が完全に浮いてしまっていて、オスがハサミ一本で落っこちないように支えている状態。オスが離したらメスは海底(といっても数十cm下の砂地ですが、)に一気に落下してしまいます。オスはせっかく手に入れたメスをなんとしても離したくないけど、でも引き上げることも出来ず進退窮まった状態、、、という瞬間の写真です。撮影後インストラクターのお姉さんによってこの二匹は安全な岩の上に避難させてもらったとのこと。(妻が撮影)
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日本の食卓ではおなじみの二枚貝。名前は分かりますか?
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ホタテガイです。これも羅臼の海底に無数に転がっていました。本気でやれば5分で100枚くらいは捕れるんじゃないかというくらいの密度で砂地の上にばら撒かれていました。写真の黒い点は眼。無数の眼を持つ動物なのです。何気ないホタテも奇妙な進化を遂げた生き物です。(妻が撮影)

そしてこのホタテガイは危険を察知すると泳いだり跳ねたりして逃げていきます。結構なすばやさで動くので、衝撃です。
せっかくですので動画を撮ってきました。一見の価値はあるかと思います。

ダイビングの一本目はこのくらい。

海から上がるころにはすっかり知床の海に魅了されていました。
天気が非常によかった(夏の羅臼は霧に覆われ、晴れ空が出るのは珍しい。事実この日以降、すっきりとした晴れ間を羅臼で見ることは無かったです)おかげもあり海の中は明るく、圧倒的に生物に満ち溢れている海。北の海は暗くて寒い海、、、という勝手な先入観は一瞬で吹っ飛びました。

このダイビングは妻のログブックによると、気温19度、水温11度、最大水深15.6m、平均水深8.4m、潜水時間70分とのこと。
浜に上がって休憩をとってお昼ごはんを食べたあと二本目のダイビングです。

ダイビングの続きはこちら。

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