26個のPRO TREK実機を使って高度計測を行ったところ、想像以上に計測の精度が高かった

CASIOのアウトドア時計シリーズのPRO TREKが好きで手持ちのコレクションから、何度か記事にしました。

CASIO PROTREKの歴代各モデルを勝手に紹介&機能比較①(1990年代黎明期モデル編)(DPX-500・PRT-40・PRT-50・PRT-1400など...)
CASIOのPRO TREKマニアが1990年代に発売された各モデルの機能を比較したり紹介したりしています。

そして一度PRO TREK実機を集めてやりたいことがありまして、それは

PRO TREKの各モデルの高度計測機能はどのくらいの精度で計測できているのか。

PRO TREKの多くのモデルに高度を計測する機能が搭載されていますが、この機能について新しいモデル、古いモデルで計測精度に差があるのか、やはり最新モデルが正確なのか、古いモデルでもなかなか頑張るものなのか、もう少しマニアックな見方だと、新しいセンサー搭載モデルと古いセンサー搭載モデルで計測値にどのような差が出るのか、、、等々、PRO TREKマニアとしては確かめてみたいと思っていたのです。(メーカーのCASIOさんにとっては嫌なファンかもしれません。)

PRO TREKの高度計測の仕組みとセンサー

PRO TREKの実機を使って高度計測機能の検証の前に、PRO TREKの高度計測機能の仕組みをおさらいです。

PRO TREKの高度計測は高度に応じて変化する気圧の変化から、高度を計算して表示するものです。気圧は標高が高くなるほど低くなり、海面上では通常約1013hPaとされ、約1500mでは850hPa、3000mでは700hPa(気象条件によって変化する)が目安。このように高度と気圧は密接に関係しており、PRO TREKはこの気圧の変化をセンサーで感知し、高度の変化を計算しています。

高度を計測するセンサーは3つのバージョンがある

PRO TREKのセンサーは、大まかに3回のバージョンアップがなされており、その中でもさらに2~3回の改善がなされています。以下のCASIOさんの公式サイトを見つつ、まとめます。

独自のセンサー - テクノロジー - プロトレック - 腕時計 - CASIO
3つの小型センサーで方位、 気圧/高度、温度を腕時計で計測。刻々と変わる自然現象を的確に感知する プロトレックのコアテクノロジー。 トリプルセンサーVer.3では、計測精度を高めることで、より速く、正確な気圧/高度計測を実現。
トリプルセンサー Ver.1(第一世代)

PRO TREKが産まれる前からCASIOの時計に搭載され、初代PRO TREKにも搭載されたセンサー。名前の通り、「温度」「方位」「気圧」の3つを測定できるセンサーです。発売当初は富士山の標高を想定し、4000mまでの測定範囲だったようです。1999年発売のPRT-1400で高度6000m、2000年発売のPRG-40では高度10,000mまで測定範囲が広がりました。

トリプルセンサー Ver.2(第二世代)

PRO TREKもソーラー充電システムが搭載されるようになり、ソーラー駆動に対応したセンサーとして出てきたのが第二世代のセンサー。2002年に発売されたPRG-50で初搭載。2009年発売のPRW-2000から圧力センサー部分の直径が5.8mmから4.0mm・体積比60%と小型化したセンサーになっているそうです。

トリプルセンサー Ver.3(第三世代)

2013年発売のPRW-3000から第三世代のトリプルセンサーが搭載されています。私がこの第三世代のセンサー搭載製品を初めて手に取って、一番驚いたのが高度計測機能の高機能化でした。これまでのPRO TREKの高度計測は5m単位だったのですが、このセンサーは1m単位での計測が可能になっています。さらに高度計測にかかる時間も短く、きびきび動くな、、、と思った覚えがあります。

この第三世代センサーは小型化(95%のダウンサイズ)、低消費電力、計測精度の向上が図られたそうです。確かにこれ以降のPRO TREKはより薄く、小型化されています。

 

今回のPRO TREKの高度計測機能の精度検証方法

次いで高度計測機能の正確さの検証方法ですが、きわめて単純。”高さの変化量が正確にわかっている2点の場所を短時間に移動し、PRO TREKが計算した高さを記録します。簡単に言ってしまえば”高さが分かっている低い地点と高い地点で高度を測って、実際の値と比べるだけ”です。

山頂の標高が正確にわかっている麓から山頂まで移動しても計測はできるのですが、PRO TREKの高度計測機能は気圧の変化から高度を計算しているので、天候の変化、具体的に言うと気圧の変化の影響を受けます。なので天候の影響を受けながら何時間もかけて山に登って検証するのではなく、なるべく短時間のうちに正確に標高を変化させるのが今回の検証の肝です。

そして現代日本には、高いビルや塔に展望施設というものがたくさんあり、(東京ならスカイツリーや東京タワー、横浜ならランドマークタワーなど)これらの施設は展望台の高さは〇mとアナウンスされているので、比較的正確な高さがわかりやすい。なので、この手の施設を利用しようと思います。

そして、私が検証に選んだ場所はこちら↓


東京都庁!(正式名称は東京都庁第一本庁舎。この写真の撮影は2021年3月頃)

こちらを選んだ理由は、この手の高層建築物の中では我が家から最も行きやすく、入場料が無料なので何度でも検証ができるからです。あと知名度が高い建物ですし、イメージもしやすいかなと。

なお、この都庁の展望室の高さは、都庁展望室の公式サイトに

地上202メートルの高さから東京のまちを一望できます。

展望室のご利用案内|東京都庁見学のご案内
東京都庁見学のホームページ。都庁舎の見学についてのご案内をしています。

とあります。

今回の検証では、都庁の根元の地上でPRO TREKの標高計測機能を0mに設定して、その後、展望室に上がったらPRO TREKは何mを指し示すか、を記録していきます。
この時に”202m”に数字が近いほど、PRO TREKの高度計測機能は優秀、、、というわけです。

検証場所へ!

ということで、新宿に行ってきました。いきなり都庁の展望室に登って、PRO TREKで高度を計測しても検証はできません。上述の通り”地上202m”の展望室なので、地上0mでPRO TREKの標高計測機能も0mに設定しなければなりません。

そして、少し迷ったのが、”東京都庁の地上0mはどこに設定すればよいのだろう?”という点。以下写真が都庁舎の脇の玄関ですが、、、


歩道から数段の階段を上がると1階の入り口があるんです。都庁の守衛さんがいる入口を0mにするか、歩道にするべきか、少し悩みましたが、PRO TREKの高度計測機能も最新モデルで1m単位、以前のモデルなら5m単位なので、階段数段という細かいことを考えても仕方ない、、、と割り切ります。

都庁の玄関付近で、多くのPRO TREKの0m設定作業を行うのも不審者っぽくて、やりたくありません。なので、都庁の向かいにあって、都庁の根元と標高差がほぼ無さそうな新宿中央公園の”水の広場”を今回の”0m”とすることにして、公園の中でじっくり0m設定を行うことにしました。


↑都庁側から撮影した新宿中央公園の水の広場。奥に人工の滝があります(撮影は2021年3月頃です)

↓が新宿中央公園側から見た東京都庁。
手前のアスファルトが水の広場。道路を挟んで少しわかりにくいですが、三角屋根の建造物が都営地下鉄の出口で、2枚前の写真を撮影した都庁の入り口付近になります。

↓付近の位置関係。(google map)

黙々と26個のPRO TREKの高度計測機能の0m設定作業を行う

さて、今回の検証はPRO TREKの様々なモデル間で高度計測機能の精度に差があるのかも見たいので、一個のPROをTREK持ってきてそれで終わりというわけにはいきません。そこで持参した高度計測機能を持つPRO TREKの数は26個(具体機種は検証結果とともに後述します)。新宿中央公園に佇み、延々と各モデルの0m設定を行います。


鞄の上に広げたPRO TREKたち(写真に写っているのは一部。)。傷防止のため一個一個をビニール袋に入れて持ってきした。袋は密閉せず少し開けてあります。


高度計測機能を0mに設定したもの。写真はPRW-6000です。操作方法が各モデルで微妙に異なるので少々手間取ります。ビニール袋から取り出しては設定して戻す作業。26個を終えるのに20分くらい掛かりました。

あと念のためスマホのGPSで高度計測もしておきます。高度計測アプリ「正確な高度計 バージョン2.2.33」を起動し、参考のため新宿中央公園の標高は↓のとおり。


スマホのGPS計測だと標高30m。地理院のサイトで調べると新宿公園の水の広場は34m~35mほど。多少の誤差があるのかな。無料のアプリですしGPSは上空の人工衛星の位置から位置を特定するので、水平方向の位置出しに比べ、高さの計測は苦手でしょうし、参考記録ということで。

都庁45階の展望室へ!

PRO TREKの設定を終えたら、いざ都庁へ!45階の展望室へ向かいます。

都庁の展望室は新型コロナウィルス感染防止のため、昨年12月から閉鎖されていました。そして、2021年11月8日から久しぶりに南側展望室のみで、一般向けの入室が再開されました。(北側展望室はコロナのワクチン接種センターが開設されており、11月20日現在でも一般向けの入室は再開されていません。)

そのような状況なので、登るのは南展望室。


荷物検査や検温を受け、手首の消毒をしてエレベーターの中へ。

約11カ月ぶりに再開した展望室。PRO TREKの検証の前に展望室として再び楽しむことができることに対して、感慨深いものがあります。きちんと展望を楽しまないともったいない。

丹沢や富士山方向。丹沢の稜線ははっきり見え、富士山は山頂は見えずでしたが雪の被っている中腹部が見えました。

南側には明治神宮・代々木公園方面。

青いマークがついている建物がコロナワクチンで名前を馳せたファイザー社。新宿にあったのか。コロナが無ければ特段注目することもなかっただろうな・・・。

西側の足元には先ほどPRO TREKの0m設定をした新宿中央公園の水の広場も見えます。


景色を楽しんでからは展望室内のベンチに座って、PRO TREKの高度計測機能の検証です。

PRO TREKの各モデルの高度計測機能で測定高度を記録

PRO TREKを鞄から取り出し、高度計測機能を発動させ、表示される高度を記録、、という作業を延々と繰り返します。この時に測る高度が202mに近い数字ほど優秀というわけです。


PRG-240の計測画面。200mと表示されました。この機種は5mごとに表示されるので、極めて優秀な数字。

26個の計測を終えて撤収、、、の前に、新宿中央公園と同様、スマホのGPSでも展望室の高さを記録。


232m。先ほどの新宿中央公園の標高が30mなので、都庁の45階展望室の高さは差し引くと202m。公式サイトのアナウンスどおりの202m。もう少し誤差が出るかと思ったのですが、計算したかのように一致するとかえって気持ち悪い&ヤラセ臭くなってしまう(^^; が、事実は事実ですので仕方ない。

PRO TREKの26個の高度計測結果

では結果発表です!今回の検証では、”202m”が検出されうる実際の高低差になりますが、PRO TREKの古い機種は5m単位での測定になります。計測値が200mか205mなら非常に優秀ということで機種名を赤文字にしてあります。

機種名センサーのバージョン計測値(m)平均(m)標準偏差
1
PRT-30
Ver.1(※1)200207.72717.37
2PRT-311Ver.1(※1)185
3PRT-40Ver.1200
4PRT-50Ver.1(※1)210
5PRT-500Ver.1(※1)225
6PRT-60Ver.1(※1)205
7PRT-70Ver.1(※1)215
8PRT-70Ver.1(※1)235
9PRT-71Ver.1(※1)175
10PRT-1400Ver.1(高度6000mに対応220
11PRG-40Ver.1(高度10000mに対応215
12PRG-50Ver.2195200.7695.34
13PRW-1000Ver.2195
14PRW-1000Ver.2200
15PRW-1000TVer.2205
16PRW-1200Ver.2205
17PRW-1300Ver.2200
18PRW-1300TVer.2195
19PRW-1500Ver.2200
20PRW-500Ver.2(※1)215
21PRW-5000Ver.2(※2)200
22PRG-240Ver.2改(※2)200
23PRW-2500Ver.2改(※2)200
24PRW-2600Ver.2改(※2)200
25PRG-300Ver.3203202.50.71
26PRW-6000Ver.3202

※1…方位計測機能がないツインセンサーの機種です。同時期に発売されているトリプルセンサー搭載機種ののバージョンを参考に記載しています。

※2…Ver.2は、2009年に圧力センサーが体積比60%に小型改良されています。この改良センサーが搭載されている機種は「Ver.2改」と記載してあります。

 

測定結果は一目瞭然。

最新のVer.3センサーの精度は素晴らしいです。PRW-6000を測定していた時にピタリと「202m」の数字が出たので驚いて思わず写真に撮ってしまいました。↓

・最新のVer.3センサーではなくても、Ver.2改センサー(計測は5m単位)も今回使用した個体全部で202mに最も近い「200m」を表示していたのでとても優秀な成績です。

・Ver.2センサー全体でみても、PRW-500だけは215mでしたが、他はすべて195~205mの範囲内に収まっていたのはとてもすごいことだと思います。

・初代トリプルセンサーのVer.1センサー搭載機種の測定結果について、値のばらつきを示す標準偏差を計算したところ、Ver.2より高く、明らかにばらつきが多い。Ver.2や3はVer.1の改良版なのである意味当然かもしれません。またセンサー自体の性能もあるのかもしれませんが、なによりVer.1搭載機種は、すべて製造から20年以上経過、下手をすれば30年近く経っており、機械としては単純に経年劣化が進んでいるはずです。そんな中、時計として動くだけではなく、気圧・標高を計測してきちんと傾向は追っているのは褒めたたえるべきのように思います。中には「200m」をピタリと当ててくる個体もいましたしね。

測定結果まとめ~PRO TREKの高度計測機能は思っていた以上に優秀でした

実は実験前は、「高度計測は気圧の変化量から計算しているので、正確な数値から1割くらいの範囲(今回の数字で言えば±20mくらい)でずれるのでは?」と考えていたのですが、全然そんなことはなく、とても正確に計測できるものでした。CASIOさん、疑ってごめんなさい。。。

総論としてはPRO TREKの高度計測機能は、”最新のセンサー搭載機種はとても精度が高い、古い機種でもVer.2以降の機種なら精度は高く、Ver.1の機種でもそこそこやる”というところでしょうか。

これからはもっと信頼して使っていこうと思います。

 

それにしても最新のPRW-70の金蔵ベルトモデルが欲しいなー、当然センサーはVer.3が搭載されています。

以下で歴代プロトレックを紹介しています。

CASIO PROTREKの歴代各モデルを勝手に紹介&機能比較①(1990年代黎明期モデル編)(DPX-500・PRT-40・PRT-50・PRT-1400など...)
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